見出し画像

人質って言うな!マカピーな日々#0195

マカピーです。

ウズベキスタンでのことでした。

息子と教師の問題で学校のダイレクターだったケビンと向き合って話した時の事です。

「学校の先生の質をあれこれ言うのは気が進みません。それは自分の子供たちが学校にいる間は人質みたいなものだからです」

この言葉を聞いたとたん、ケビンは顔を真っ赤にして

「人質っていう言葉は受け入れられない。撤回してもらいたい」

「もちろん不適切な言葉だったかも知れないけれども、親として勇気を奮って来ているんです」

「だから、直接その教師に言えばいい事です」

「息子がですか?それとも私たち親がですか?」

「どちらでも構いません。教師はそうした事に慣れています」

「待ってください。人間には感情があり教師といえども誰かに非難されたら気分が悪くなります。そして教師が息子を嫌い、息子も授業を嫌いになってしまうかもしれません」

「...まあね」

「親が学校の責任者に相談に来る気持ちを、あなた自身考えたことがありますか?」

「僕は各国で学校教育にかかわったプロです」

「ナルホド。しかし私たち親の立場がよくわかっていないのかも知れません。事の発端は息子が学校のトランペットを借りたことでした。引っ越し荷物の到着が遅れていて借りしていたのに、早く戻せと言われています」

「問題ありません。学校はしばらく楽器を貸し出せる余裕があります」

「でしょう。でも教師は何が気に入らないのか、授業中に息子にすぐ買ってこいと催促するのです。楽器を楽しもうとしている生徒につらく当たるの如何でしょうか?」

「どうして問題となったのですか?」

「息子にも事情を教師に説明したのですが拒絶されらちが明かないのです」

「両親としてこの状況を人質というのですか?」

「そうです。生徒だけでなく親もおなじです。学校側にストレートに不満を言える人がどれほどいるのでしょうか? 誰だってそのしっぺ返しが生徒の成績に影響すると思えば怖いですよ。穏便に黙っていようとするのが自然です」

「いや、このような事で成績に影響することはありません」

「そういわれても、確証がないんです。だから生徒は学校の人質なのです。私たちは教師に子供の教育をお願いしています。しかし同時にこの狭い空間の中で中立的立場で評価できない難しさがあると感じています。それは私たち自身がかつては生徒の立場だったから良く分かるじゃないですか」

「・・・・わかりました。この件は私から当該教師と協議して早急に結果をお知らせします。そしてそのことが息子さんの学習態度に影響しないように努力します」


あの相談のあった翌週、学校でケビンに会うと「ちょっといいかい?今度PTAの役員に立候補してもらえないかなあ?」と突然誘われたときは驚きました。

そして、マカピーの代わりに口説かれたマカピーの奥さんがPTAの役員となり、翌年からは3年間PTA会長をすることになりました。彼女はケビンと最強のコンビを組んで学校を盛り上げ生徒と父母から喜ばれました。

そう、すべてはあの「人質」発言から始まったのでした。


ケビンはその後彼自身に子供が3人できました。風の便りにはそしてやんちゃな息子のおかげででしょっちゅう学校に呼び出される立場となったそうで、今頃「人質」の意味を味わっていると事でしょう。

マカピーでした。

ここまでお時間を割いてお読みいただき感謝します。毎日エッセイを更新しますのでどうぞ引き続きよろしくお願いします。

もしもサポートいただければとても嬉しいです。そのサポートは感謝のバトンタッチとして使わせていただきます!