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ニューヨークのおしゃべりな日常:ご近所編

ニューヨークには、人見知りというものは存在しないんじゃないか。 と思ってしまうぐらい人々はオープンマインドで、ちょっと近所に買い物に行くだけでも、いろんな会話が生まれます。

部屋を出てエレベーターで1階に下り、ドアが開いたら、乗ろうとしているほかの住人がいて ”Hi!”

そのエレベーターホール、またはビルを出たあたりのところで管理人が仕事をしていることもよくあって、”Everything’s OK?” と訊いてくれます。 ちょっとした会話になることもよくあります。 Bed bugs が流行してるから気をつけろとか、x階の誰々が引っ越したとか、コーヒーテーブルが余ってるけど要るか、とか。 抜群に仕事ができて、気さくなおじさんです。

ビルひとつぶん通り過ぎて信号を渡った目の前に、最寄りのスーパーマーケットがあります。 ニューヨークの人たちは知らない人にも、自分の家にいるかのように話しかける。

何かを買おうかどうしようか、棚の前で迷っていたら、”You’re thinking, huh?” とか言われたり(知らない人ですよ)、ヨーグルトを手に取っていたら、”Is that good? American yogurts have too much sugar!” みたいに話しかけられたり。 本当だよね、でもこれは良いよ、と返します。

レジに並んでいたら、私のかごの中を見た人が、「それ何?」 とか 「それどこにあったの?」 とか訊いてくることも珍しくない。 ほかにも、もし前の人がたくさん買い物していて、私の買い物が少ないとき、どうぞお先に、と順番を譲ってくれることもよくあります。 男性女性関係なく、自然にそういうことをしてくれる人は多いです。 なので私も譲るほうの状況になったときには、それに気付けるようになりました。

レジでは自分で商品をかごから出して、ベルトコンベアに並べます。 順番が来たら、キャッシャーとは必ず “Hi, how are you?” と挨拶します。

キャッシャーとも何かとおしゃべりしてしまいます。 私の買ったものを見て、「私もこれ好き!」 と言ってくれたり、「これは週末に安売りするよ」 と教えてくれたりします。

キャッシャーにひとり、確かバングラデシュ出身と言っていた20代ぐらいの若い女性がいて、いつも私を見るたびに髪のことをコメントしてくれました。 日本人としては何の変哲もない黒くてまっすぐな髪が、”So beautiful,” なのだそうです。 確かに、インドやバングラデシュの人の髪は、ちょっと硬くてウェーブがかかっている感じですよね。 そう言われてみれば、ストレートでさらっとしている髪は、美しいのかもしれない。 そこら中に金髪やら赤毛やら栗毛やらアフロやら、いろんな髪がわんさかいる中で、黒くてさらさらした髪はexoticで美しいのです。 彼女はそのことを教えてくれました。

レジではキャッシャーがその場で袋詰めまでやってくれます。 今は違うかもしれませんが、私がいた頃はお店が Plastic bags を用意してくれていました。 この袋が薄くてすぐ破れるので、「二重にしてね」 と頼まなければなりません。 日本のビニール袋の感覚でいて、一枚でいいだろうと思っていたら、帰り道で見事に崩壊してしまったことがありました。 なぜキャッシャーが 「二重にする?」 と訊いてくれていたのか、こういうことかとその時に納得しました。

自分のアパートメントに戻るとき、今度は1階でエレベーターを待っていると、ほかの住人と一緒になったりします。 たいていはもう顔見知りです。 “Hi, how are you today?” “Long time no see!”

自分の階に着くまで、会話は相手によっていろいろ。 こないだまで妊娠していたモロッコ出身のお母さんが、今日はStrollerで赤ちゃんを連れている!女の子、3人目なんだ。 おめでとう! とか。

「今日は長い日だった、、」 と疲れているお兄さん。 とか。 メールボックスから取ってきた3通ぐらいの郵便が 「これもこれも全部請求書!はぁぁ~」 と若いお姉さんががっくりしていた時には、その気持ちの入ったため息に私も笑ってしまいました。

どんな人が何階に住んでいるか、ぐらいはこれで自然に覚えてしまいます。 降りるときには “Have a nice day!” “Take care!”

スーパーマーケットのほか、近所のいろんなお店が私の食を支えてくれます。 ベーグルを買うお店、ベーカリー、ダンキンドーナツ(マクドナルドの朝食メニューみたいなセットが一日中ある)、チャイニーズのファストフード(ニューヨーカーの生活に溶け込んでいる)、などいろいろ。

どのお店に行っても、挨拶と注文する会話がありますね。 ベーカリーだって、イタリア式(かな?) のところは、自分で取れるようになってなくて、カウンターの向こうの店員のそのまた後ろにパンが並んでいるので、あれちょうだい、って店員さんに頼まないといけません。

そんな感じなので、よく行くお店の店員さんとは、すっかり顔なじみになってしまいます。

ベーグルを買ってたお店の店員さんはみんなラティーノなので、Spanish(Portugueseかもしれない) の オラ、コモエスタ~、グらシア~ス とか教えてもらうし、チャイニーズの店では にぃはおマー、シエシエ。

食べ物ばかりじゃなく、電球やらの日用品を買ってたお店もよく行きました。 ラティーノの店員さんたちと仲良くなって、一緒に遊びに行くようにもなりました。

気がつくと、ご近所は顔なじみでいっぱい。

学校や仕事へ行くときも、自分の部屋から地下鉄の駅までの間に、10人ぐらいと “Hi!” とか、店の中にいる人には手を振って挨拶するのが日常になってました。 知り合いでなくても言葉を交わす場合もあるしね。

そんな毎日だと、外に出るのが楽しくなって、疲れていても元気になります。


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