テロの記憶 in New York (9): 9月12日、あの人が犠牲に
▶シリーズ初回
テロの記憶 in New York (1): 始まり
https://note.com/maca39inches/n/n37d2051568e3
▶前回
テロの記憶 in New York (8): 9月12日、一夜明けて
https://note.com/maca39inches/n/nc417544cac56
テロ直後のこの時の私は、大学が休みだということもあり、一日中テレビのニュースをつけっ放しにして、テロのことだけを気にしながら過ごしていました。 崩れたタワーの下に閉じ込められた人の救出がどうなっているのか、この事件についての捜査で何が明らかになったのか、リアルタイムで見ずにはいられませんでした。
そして、新聞に載っている哀悼広告の、”We express our condolences to all those who grieve,” (深い悲しみの中にいる全ての方々へ哀悼の意を表します) とか “Our thoughts and prayers are with you,” (心と祈りはあなた方と共にあります) という文面を読むことに、ものすごく救いを感じていました。
自分が哀悼を送る側でもあり、受ける側でもあるような、両方の気持ちで読んでいたのです。 直接の犠牲者の家族や友人などに対しては送る立場だけれども、企業や諸外国や有名人などからのほとんどのメッセージは、読みながら、お悔やみをいただいたように感じていました。 喪失の悲しみに深く沈んで傷ついているときに、こうやって言葉をかけてもらうことがどれほど慰めになるかということを、自分の身をもって知りました。 自分の悲しみを言葉にしてもらって、共にいるよと言ってもらうのは、その立場になってみるとこんなにも救いになるのか、と身にしみました。
街なかではテロ翌日からすぐに、あちこちで星条旗を見るようになりました。 喪に服す意味での半旗掲揚はもちろんのこと、個人のお店やアパートメントの窓にも、外に向けて紙の星条旗を貼っているところがいくつもありました。
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