イギリス英語にびっくりしたときの話

ニューヨークに長年住んで、英語をそれなりに使えるようになった自分だけど、アメリカ以外の英語がこんなに違うんだ!と驚いたのは日本に帰国してから。
 
そのとき仕事をしていたのはヨーロッパに本社がある会社。 社内システムの開発ベンダーがイギリスにあったので、そちらのオフィスと電話会議をするというときのこと。
 
ヒトデとよばれた 3本足(だったかな) の会議システムにつなぎます。 コロナ前なのでこんな感じだったけどすでに詳細は思い出せない(笑)。
 
“Welcome to xxx conference system,” (おー、アクセントが違う~、これがイギリス英語なのか?)
 
発音の違いだけでも驚いていたのに、とどめがありました。
 
“.., to proceed to join your conference, PUSH HASH.”
 
ぷっしゅはっしゅ!???
 
「ぷっしゅ」 はわかるけど、「はっしゅ」 って何!??
 
その時すぐには本当に何だかわからなくて、今までの経験上、これは 「#」 ではないかと思い、押してみたら当たり!でした。 ほっ。
 
その後よく考えると、「はっしゅ」 とはハッシュタグの hash だなと。 そうか 「hash = #」 か。 Twitter やら何やらをやってた人ならぴんと来たかもしれないけど、自分にはわからなかったよ。
 
なんでこんなにびっくりしたかというと、アメリカでの言い方は、まっったく違うから。
 
イギリス英語の人が聞いたら、反対に、何じゃそれって思うのではないだろうか。 意味わからんと思うかも。
 
アメリカ英語では


 
“press pound” (ぷれす ぱうんど)
 
です! これ以外の言い方はない!と思う。 少なくともニューヨークでは。
 
イギリス 対 アメリカ、“push hash” と “press pound”、 1語も合ってないぞ!!
 
アメリカで何かボタンを押すというときは “press” を使う。 電話のボタンとか、エレベーターのボタンとか。 “push” を使うのは聞いたことない。 “push” という単語だとちょっとニュアンスが違ってきて、人を押すとか、人に何かをするように(無理やり)仕向けるとか、そういう意味のほうが強いような気がしますね。

[後日補足: “push” は一般的な 「押す」 の意味で間違いないです。 物を押すでもいいし、体を使って何かを押すときも使うし、意見を押すみたいなことにも使う。 ただ、ボタンを押すときには “press” になるのですねこれが。 何かこう、「指で押す」 って感じが “press” なのかも。 昔からアメリカ人って手先が不器用で、アジア人が箸を使う姿に驚愕した、みたいなことがあるじゃないですか(今のニューヨーカーは上手に箸を使える人が多いですが!)。 だから、ただ押すことと指先で仕事をすることは、意識の上で違いがあり、使う単語が違うのではないかと思いますね。]
 
“#” が “pound”(ぱうんど)。 「# = ぱうんど」 だとしか思ってないところにいきなり予想外の単語をぶち込まれて、この時はほんとに驚いた。 同じ英語とは思えない。 

アメリカで “#” が 「ぱうんど」 になっちゃうのも面白いですよね。 自分はいつのまにか自然にそれを覚えて、そうなんだなと納得していたから、不思議に思うひまはなかったのだけど。 何でなのかは今でも知らん。
 
考えてみたら、日本では 「#」 は 「シャープ」 ですもんね。 宅配の再配達をお願いするときなんかの自動応答では、「終わりましたら、シャープを、押してください」 て言ってる。 ちょっと昔の日本語では 「井桁(いげた)」 とか。 どっちにしても、「#」 の読み方は、イギリスとアメリカと日本で全部違っているということだな!
 
その後 CNN サイトなど見るようになり、これがイギリス英語なんだな~という感じで、アメリカ英語とはだいぶ違うと思いました。 動画を見ていると、正直、イギリス英語の発音はなんか奇妙で聞き取りづらい、というのが最初の印象でした。 使っている単語も違うし、言い回しも違っていて、受ける印象がだいぶ違う。 国民性の違いも現れているように感じます。 国民性が言葉に現れているのか、言葉が国民性を作っているのか。 両方だな。

日本人にとってどっちがわかりやすいかというと、きっとイギリス英語のほうですね。 表現のしかたとか、発音とか、イギリス英語のほうが何かと日本語の感じに近いような気がする。
 
アメリカ英語では、重さの単位の “lb” (ポンド) も 「ぱうんど」 と発音するんだよね。 “lb” も “#” も同じように 「ぱうんど」 になってしまうワケわからなさ。 それがアメリカの可愛いところ。
 
ちなみに、ニューヨークには世界中から来た人々が住んでるから、それぞれの国の訛りが残ってる英語が日常にあるのだけど、不思議と、イギリス訛りとかオーストラリア訛りなんかを感じたことはなかった。 そういう、英語ネイティブの人って、アメリカ英語に寄せることができるのかな? そういえば、ご近所で仲良くしていたIreland出身の人がいるんだけど、いわゆるアイリッシュアクセントはなかったなぁ。 イギリス英語もオーストラリア英語も、本物を聞いたのは日本に帰ってからなのです。
 

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