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テロの記憶 in New York (5): タワーからの生還者

▶シリーズ初回
テロの記憶 in New York (1): 始まり
https://note.com/maca39inches/n/n37d2051568e3
▶前回
テロの記憶 in New York (4): タイムズスクエア
https://note.com/maca39inches/n/n370fc8ea5404


ここまでずっと北へ向かって歩いていたのですが、Queens にある自宅に帰るためには East River に架かる橋を渡ることになるので、東に方向を変えて歩くことにしました。

歩いていると、どの通りだったか、ニューヨーク市の青いバスが無料で人々を乗せているのが見えたのです。 運転手が人々に合図して “Get on!” “Free ride!” とやっていました。 普段はバスには前から乗って先に運賃を払い、中ほどのドアから降ります。 でもその時は、両方のドアからどんどん人が乗っていっていました。 ひとつのバスだけではなくて、どのバスもそうでした。

先ほどのボランティアの水と同様、こういう不測の事態が起きたときに、「すぐに」 このような対応が出来るということに、ニューヨークの行動力と懐の大きさを感じました。 目の前の状況に対して何が必要なのかということに、自然に反応できるのですよね。 市バスだからといってまごまごとお役所対応をしているのではなく、むしろ一番に人々の助けになっているのでした。 ここでは社会というものを信じられる、と思いました。 日本では感じたことのない、信頼感、安心感、といえるものでした。

そのバスを見て思い出していました。 そういえば、 Harlem からうちの近所まで、バスが通っていたじゃないか! それに乗れれば、このままずっと歩くよりは楽だよね!

早速、その無料のバスに乗り、ハーレムへ向かうことにしました。

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