アウトローのアウトドア(26):灯りの話②
岩倉キャンプ場(今はもう無い)は、本当にまっ暗闇だった。
この体験のおかげで、「ちゃんとしたランタンがどれほど重要か」を身をもって理解したよ。
それ以来、キャンプに行くときは灯油ランタンとLEDランタンを持っていくのが当たり前になった。
まっ暗闇の中で唯一頼りになるのは星の灯りだ。
その日も、満天の星空が広がっていて素晴らしい光景だった…と言いたいところだが、残念ながら運悪く月の無い夜だったんだ。
頼りになるのは、しょぼいキャンドルランタンと、急いで焚きつけた焚き火の明かりだけ。
小さなマグライトはまるで頼りにならず、辺りは漆黒の闇に包まれていた。
もちろんなんだが、この日、このキャンプ場にいたのは・・・俺一人だ。
闇の中の音と気配
静寂の中で突然「ガサガサッ」と音がする。
耳を澄ますと、「キューン」という鳴き声が聞こえる。多分、鹿だろうと思った。
でもな、暗闇の中で何かが目の前を横切った時のあの緊張感。
野生動物って、やっぱり少し怖いんだよ。
鹿ならいいけど、クマだったら…?(笑)
実際、売木村みたいな山深い場所なら、クマやイノシシが出てもおかしくない。
そう思うと、暗闇が急に心細く感じられる。
焚き火とぬるいビール
そんな時、俺が頼ったのは…ぬるくなった缶ビール(笑)。
当時の俺はアウトドアを舐めてたから、食料もあまり持たず、装備も最低限だった。
でもとりあえず、ビールを飲むと少し気が大きくなるもんだ。
♪あ〜る〜日、森の中、熊さんに出会った〜♪
なんて、冗談半分に口ずさみながら、「クマが出たら一緒に飲もう」とか考えてたんだから、若かったよな(笑)。
でも心のどこかで、「焚き火を絶やしたらマズいだろうな…」と思ってた。
焚き火をしっかり焚きつけて、テントの中に潜り込んだ。
灯りと安心感
テントに入っても、やっぱり闇の中から「何か」の気配を感じる瞬間があった。
この経験以来、俺のキャンプには欠かせない相棒ができた。それが、一晩中灯し続けられる灯油ランタン、いわゆるハリケーンランタンだ。
どこへ行っても、俺のキャンプサイトにはこのランタンが灯っている。
それが、俺流の「夜の安心感」だ。
(2025-01-05)