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カフェで書き物をしていると、若い男女に連れられた女児が「猫壁やりたい!猫壁〜!」と駄々をこねはじめた。若い母親はしょうがないといった表情で「はいはい猫壁はお外でやりましょうね」と娘をなだめつつ外に出ていった。ゲームか何かだろうと思って書き物に戻った。すこしして窓の外に目をやると、猫がきれいに積み重なっているのが見えた。何の催し物だろうと思ってしばらく観察していると、さっきの女児がどこからともなく猫を運んでくる。そしてはしごにまたがって待ち受けていた父親にその猫を渡して厳しい顔で指示を与えていた。積み重ねられていく猫の集団はたしかに猫壁というべきものだった。