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妻が「あら、咲いてるわ」と言って、飼っている猫の背中から何かもぎ取った。それまでその背中から何か特別なものが生えているとは思わなかったけれど、妻の手にはたしかに白い花があった。妻はそれを電子レンジに入れて一分間温めた。妻は「できたわ!」と場違いなほど嬉しそうな声を上げて、取り出した花を私の口に押し付けてきた。妻は出会ったときから一貫しておとなしい女で、間違ってもこんな強引なことのできる人間ではなかった。「食べなさい!食べるの!あなたのためを思って言っているのよ!」と騒ぎ立てる彼女の目は完全に逆上していて、ああこれは私の知っている妻ではないのだという奇妙な納得感があった。

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