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病気がちの母がめずらしく針仕事をはじめた。出来上がってみるとそれは蝶々だった。編んだ蝶は母に似てかよわく、羽ばたく力もないようだった。だからわたしは絵を描いてその中に閉じ込めた。蝶はすこし生気を取り戻したように絵の中で舞い始めた。

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