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何度も繰り返し観た映画をまた観ている。そしてぼくは祈る。主人公はやがて死ぬだろう。それを知りながら、エンディングが近づくにつれてぼくはいつものように新鮮な絶望を経験する。今度こそ生き残らないだろうか。違う道を選ばないだろうか。そう思っている間にまた彼は死んで、物語は終わった。新しい一秒をぼくは生きている。絶対などはない。ないはずなんだ。その絶望的な祈りをもってぼくはまた同じ映画を再生した。

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