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インベスター・リレーションズを「国の政策に」
こんばんは、馬渕です!さんまのIPOさんから素晴らしいバトンを受け取りとっても光栄です。どうぞよろしくお願いいたします。お声がけくださいましたシゲマツさんありがとうございます。
■日本金融経済研究所のごあいさつ
IRのご担当者の皆さま、いつも、お世話になっております。学びのご機会をいただいていること。この場を借りてあらためて感謝の気持ちをお伝えさせてください。急な取材のお願いや、企業訪問のお願いにご対応いただきありがとうございます。投資家の皆さまからの、色んな考えやお声から、いつも新しい気付きをいただいております。
今日は、あらためて、日本金融経済研究所(ジェリフェ)のごあいさつをさせてください。
日本金融経済研究所(ジェリフェ)とは、非営利の団体で研究機関であり、政府に政策提言を行うシンクタンクです。
副代表はFiNX株式会社 後藤 敏仁 さん
理事は 株式会社IR Robotics 金 成柱 社長
株式会社日本証券新聞社 伊藤 明 さん
ログミー株式会社 CRO 秋元洋平さん
株式会社FUNDINNO 執行役員 CMO 向井純太郎さん
政策顧問には霞が関へのパイプを持つ 山本雄史さん にご就任いただいております。
こころざしを同じくした仲間の組織です。
副代表の後藤さんのnoteはこちら
【IR向上委員会】今年のテーマを振り返る。企業価値を高める方法の模索。|後藤敏仁 (note.com)
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■日本の企業政策にはムラがある
こころざし=課題意識
「IRって力を秘めている。だけど、国の政策にも入っていない。IR活動の重要性を業界外に伝えていく必要がある」そんな感覚をみな持っているメンバーです。
企業が成長していく時に、IRの存在は欠かせません。
一方で、日本の企業政策にはムラがある。中小企業や、スタートアップ、大企業には手当サポートや政策が存在します。ぽっかり穴が空いているのが「上場中小型企業の政策」です。
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上場はゴールではなく、そこからアクセルを踏むステージであれば、このフェーズの企業に対して骨太の政策があるべきだという考えです。
実際、今年は多くの政治家、行政の方にお会いしましたが。特に、政治家の皆さまにとってIRはカジノのイメージで、インベスター・リレーションズをご存知ではないのが現実です。
スタートアップが、かつて「村社会」であったのと同じ構図だと思います。ベンチャー、スタートアップも熱い想いをもつ人の集まりですが、一歩外に出ると、ほとんど興味が持たれない。あるいは、ITバブル崩壊以降、危ないイメージが定着していました。さらに、リスクマネーの供給の必要性などGAFAMの急成長を目の当たりにするまで議論の余地すらなかった。だけど、長年、スタートアップ業界に熱い想いをもつ方が、活動し、業界を育ててきたわけです。
今や、スタートアップの政策は「骨太の方針」に入るようになりました。村社会から国政へ大きく飛躍したことで、資金の流れが変わり、国全体で業界を応援する向きには変わってきました。長年、ベンチャーキャピタルや経済界含めてみなで、スタートアップ政策の必要性を国に届けたことで、今のスタートアップ業界の姿があると思います。
IRは、一部ではとても盛り上がってきていて嬉しいです。しかし、国という単位でほどんど知られていないし、どれほどのパワーが眠っているかも、伝え切れていません。価値のある分野は政策と連動することで、世の中がプラスの方向に循環します。
世の中が大きく動く時。それは、国や行政が「この業界が国の経済のために大事だ」と認識して初めて動くことが多いです。最近の例で言えば、半導体戦略や、国産のクラウドを政府が採用するという動きでさくらインターネットが注目されているのは分かりやすい事例でしょう。
そこで、IRの現場の課題や、成功事例を行政に共有していく活動を日本金融経済研究所で行っています。
課題意識を疑問のままで放って置かずに、色んな方にお話をしたところ。皆さんも同じ課題意識を感じていらっしゃったのです。上場新興市場に対する政策がない。IRは経験者が少ない業界なのでそもそも、何をやればいいのかわからない。事例を共有できる場所が欲しい。など色んな声が出てきました。
■IRに関する政策提言 企業価値向上サミット
今年は、「企業価値向上の中でIRが果たす役割」について加藤勝信厚生労働大臣には2回ご説明させていただきました。また、衆議院議員 牧原秀樹氏が政策委員長を務める「有隣会」では「企業価値向上と日本の新興企業の抱える課題」について登壇させていただきました。
マクビープラネットの前橋さんには、プレゼン内容にご協力いただきました。
また、8月には、日本金融経済研究所で、初のカンファレンス「国際金融都市東京 企業価値向上サミット」を開催。まだ、設立まもない社団法人にも関わらず、特別講演には小池百合子都知事がご登壇いただくという東京都の皆さまの異例のご対応に、心より感謝申し上げます。
サミットで、小池百合子都知事から「IRの重要性」に言及いただいたことは、ここから先の日本において非常に重要な意味を持つと思います。スタートラインです。
■都市の魅力発信に向けたIRと題してご登壇いただきました。
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サミットではIRに積極的な企業の経営者の皆さまに、自社のお取り組みをお話いただきました。学術の視点や理論だけでなく、成功事例の企業から学び、共有の場を作ることも1つのミッションです。
会場はベクトル社のご厚意により、お借りいたしました。都知事の導線確認など幾度に渡る事前準備のご協力に心より感謝申し上げます。また、ログミーファイナンスの全面的なバックアップによりサミットを開催することができました。
■「トップ自らIRに注力する理由」について
株式会社ベクトル 代表取締役会長兼社長 西江肇司 さん、株式会社チェンジホールディングス 代表取締役兼執行役員社長 福留大士 さんのご登壇いただき、モデレーターは株式会社IR Robotics 代表取締役 金成柱 にお願いしました。
■「経営戦略としてのIR」について
株式会社Macbee Planet 代表取締役社長 千葉知裕 さん、note株式会社 取締役CFO 鹿島幸裕 さんにご登壇いただき、モデレーターは日本金融経済研究 副代表の後藤敏仁さんにお願いしました。3名ともCFO経験者であることから、また新しいご視点を頂きました。
時代を先行くそれぞれのトップ経営者にIRに対する「思想~実務」までお話いただき、これらのセッションは、まさに資産であり宝です。セッションの内容はログミーさんの書き起こし記事をご覧ください。
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(日本金融経済研究所 オープニング)日本企業の価値向上を目指し、現場で再現可能かつ効果的なIR手法を実務と学術の両面から研究・提案
小池百合子氏が語る、東京都の目指す国際金融都市像と、持続的成長の核を担うスタートアップの成長支援
(ベクトル、チェンジHD)IRは企業価値とリンクする トップが語る、投資家との「信頼を蓄積するコミュニケーション」の重要性とは
(マクビープラネット、note)経営戦略としてどのようにIRを位置付けてきたのか?最新のIR発信の潮流や効果について、事例とともに語る
こうした動きは、上場新興市場の課題意識が、少しずつ行政にも届き始めている証なのだと思います。2年前に一人で日本金融経済研究所を立ち上げた時には、想像もつかないほどに、多く皆さまからお声をいただくようになりました。
1つだけ、皆さまにお願いがあります。現場のIRの実務に携わっていらっしゃる声が一番の主役です。色んな、現場の課題意識をぜひ、教えてください。
もしよろしければ、政策提言の現場などにも一緒にご活動いただけると嬉しいです。
来年は、日本金融経済研究所の理事のメンバーやチームを増やしていきたいと思っています。後藤さんともお話していますが、日本金融経済研究所は「誰かのモノ」ではなく、日本の上場企業の価値を高めるために政策を届ける「みんなの場所」でありたいと思っています。
なので、非営利の団体にこだわっています。
私自身の思想として、世の中には色んな価値観があっていい。それぞれの価値観を持ちながら、完全に交わらなくてもいい。だけど、光を感じる方向にみんなで向かう。これだけが共通していれば、いい。そんな緩やかなシンクタンクです。
来年もカンファレンスを開催予定です。一緒に活動したいと思っていただけた方は、ぜひ、ご連絡お待ちしております。私でも、副代表の後藤さんでもお声がけいただけますと幸いです。
日本をいい方向に、企業が連続的な成長ができるためにも。IR発で、変えて行きましょう。
■失われた30年で何を失ったのか
日本が低成長で、日本企業の利益率は悪く、世界的に伸び悩んでいることに対して、効率化やガバナンスの議論を何年もしています。では、ガバナンスを徹底すれば企業は成長するのでしょうか。疑問が湧いてきます。
最近の議論は経営者を「決まりごと」に縛り付ける流れで、経営者の意思決定が萎縮している瞬間を感じます。
そして、アナリストの関わり合い方はある意味、企業に対して「型にはめる」質問をし続けていることではないかと胸が痛むことがあります。
ガバナンスが「決まりごと」に縛り付けるという意味ならば、アナリストの仕事もその一端を担っているのではないかと思うようになりました。
・ROE、PBRは改善できそうですか?
・グロース企業で増収減益は厳しい評価になりますよ。
・KPI未達の理由は。
・解約率が上がってきてますね。
・増配は?自社株買いは?
さらに、こうした数字だけでなく。
・ESGは?
・女性活躍は‥‥?
これらの質問は、マーケットに対して説明するためで、必要なことです。(私の場合は、ストックボイス、マネー誌、ラジオ日経、ウェブニュース執筆、EXPO登壇などで投資家の皆さまへのご説明の際に、取材で伺ったことを活用させていただいています。)
なぜ、このようなことを思ったか。金融業界は上場経営者に四半期ごとの業績を増収増益であることを求めます。自身も年間100社の取材で、常にそれを求めてきました。上場経営者の皆さまは、それに対してしっかりと回答を持ち、答えてくれます。
一方で、今後の未来へのアクションやビジョン、この会社をどうしていきたいかという問いには、少し揺らぎ・迷いがあるように感じることがあります。これは、取材で面と向かって話すなかで、感じ取るものです。
コンサルを通じて経営戦略に落とし込むことや、株式市場から求めることに答えることがゴールになっていて、本来の「経営者として成し得たかったこと」が遠いところに霞んでいっている姿。足元の業績に答えることがゴールになっている企業が多いです。金融業界が企業を発展させる側面もありますが、経営者の思考回路を固める側面もあるのではないかと思うようになりました。
IRの視点からであれば、リード株主を誰にするのか。どんな人に株主になって欲しいのか、そんな議論が成熟する世界が必要だと思います。
金融業界から形式を求めることで、経営者を縛り付けるのではなく。経営者がリスクを取れるために議論したり、経営を飛躍させるために存在できないだろうかと思います。
そんなことに悩んでいる矢先に、上場企業の社外取締役を複数、務めさせていただくことになり。今年から、自分なりに社外取締役としてチャレンジをしています。毎月の役員会議では、様々な提案を出しています。
取締役会では1つの議題に1時間近く議論を重ねることもあり、毎月の取締役会は2時間をゆうに超えることも多いです。CEO、CFOの考えに対して、役員が経営判断をサポートをしながらも、もっといいアクション、アイデアについて前に進める議論を続けています。
業務に携わっている以上、具体的な詳細が記載できない点が心苦しいですが。ある役員の素晴らしい考えが採用されていく過程を見て、これまでのアナリスト視点では見えていなかったものを目の当たりにしています。リスクを取りながらも、そのリスクは安全であり、物事を前に進めていく判断は「企業統治」そのものです。前向きな決断をしていく現場を目の前でみて、ガバナンスとは、経営者を縛るものではなく、より先鋭化された組織に成長していく時に役割を果たしていると実感しています。
そして、金融業界がIRに求めるものが、いつしか経営を縛るものにならぬように「飛躍の一助」になるような存在でありたいと思います。
日本金融経済研究所(ジェリフェ)の活動にご関心をお持ちいただいた方は、色々とお話させてください。
あすは、スパイダープラスさんです。
以前、noteさんのイベントでご一緒させていただいたご縁もございます。
バトンを渡したいと思います。とっても楽しみです。
お付き合いくださり、ありがとうございました。