千代紙を貼った小箱

夢に少し若返っている母が出てきた

ツイードのスーツをゆずってくれるって

手にとってながめていたら
何かポケットに入っていて

カラカラ…カラカラ…って
乾いた音がする

ポケットの奥深くで取りにくくて

出てきたのは
千代紙を貼った小さな小さな
綺麗な紙の小箱

百貨店のシールでとめられていて

そのむかし
母が買ってポケットに入れたまま
忘れ去られていたものみたい

カラカラ…カラカラ…って
乾いた音がする

母が遠くで微笑んでいた





きのう娘が面接試験を受けた会社から
内定通知をいただきました

18歳で一人暮らしが始まります


寂しいんですよね
一人暮らしって

胸がキュッとなる



小箱には何が入っていたんだろう

子どもたちの乳歯を思い出しました

〝妖精がコインと交換するんだって〟って
寝る前に枕元に置かせて集めてあります



そうか
アレを小箱に入れて
子どもたちに渡す時期なんでしょうか

それぞれに巣立って行く子どもたちに
彼らが生まれ出でた証の１つを


早いな

本当に早い…