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銀ちゃんといっしょ 17

銀ちゃんの事 ③

私はあくまでも〝預かりさん〟
銀ちゃんに里親さんが見つかるまでの家族です
本当のところは主人が我が家に迎える事を
承諾してくれるのを待っていました

里親探し会が保護団体によって
毎週日曜日に開かれています
一応それには参加させます
でもボサボサの銀ちゃん
去勢手術のおかげで少しは温厚になったとはいえ
まだまだ触ろうとすると噛みついてきます
ボサボサの噛みつき犬なんて
溺愛するのは私ぐらいでしょうか

とりあえずシャンプーだけでも…と
移動シャンプーのお兄さんに来てもらいましたが
血が滴るほど噛みついたため無理

トリミングの店に連れて行ったけれど
台に乗せただけで大暴れして無理
口輪をはめようとしたけれどそれさえも無理

すこーし臭い銀ちゃんを抱いて悩んでいました


そして魔法使いに出会いました
トリマーの養成もしている店の人
里親探し会に寄付の品を持って来るというので
銀ちゃんを連れて行きました
すると初対面のお姉さんたちに囲まれた銀ちゃん
噛む事一切なしで代わる代わる近寄って行きました
すぐに予約を入れて綺麗にしてもらう事にしました
彼女たちにはその後もずっと愛情を注いでもらい
銀ちゃんの犬生の中で
とても大切な人たちとなりました


別の犬のようになった銀ちゃん
きっとはじめてのシャンプーはじめてのトリミング
ほんわかシャンプーの香りのする銀ちゃん
その香りを銀ちゃんはどう感じていたでしょう

多くの小型犬は家の中で大切に飼われて
トリミングされ 可愛らしい洋服を着せられて
買い物やドッグランのお出かけに連れて行かれて
それが幸せなのかどうかはわからないけれど
お尻のまわりにカピカピになった糞尿をつけ
炎天下 熱いアスファルトの道をお腹をすかせて
とぼとぼと歩いているよりは幸せでしょう

うちでは頻繁にトリミングに連れて行ったり
高い洋服を買って着せたりはできないけど
毎日必ずオムツをはずして外の空気に触れて
冷たい風や土や草
流れる水 溜まってる水
小さい生き物 大きい生き物
たぶん10年もの間
見た事もないはずのものに触れさせて
たくさん一緒に歩いて走って…

銀ちゃん中心の私の毎日を見て
主人が銀ちゃんを家族に迎える事を
許してくれました

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マボ
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