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銀ちゃんといっしょ 68

介護って…12 人脈

私は恵まれていました

その日

母がおかしい
ずっと寝てる

と 兄から連絡が入ったんです
その3日前に子どもとお泊まりしたばかり

訪ねて行くと高熱を出して寝ている母
何度も起き上がろうとしては倒れこむ…の繰り返し
トイレに行こうとしていたようです
下着が汚れていました
後から思えば身体がパンパンに膨れていました

真っ赤になって物凄い形相の母

主人は朝一番から遠方の現場へ行っていました

〝落ち着け〟
〝落ち着け〟

と1人で声に出して言いながら考えを巡らせました

母の30年来の主治医は国立病院の院長だったので
電話をしてもつないでもらえないかもと思い
私の胃がんをみつけてくれた町医者のN医師に
(母も受診歴あり)
電話をして状況を説明すると
いろいろと指示をして下さり
私はだんだんと落ち着きを取り戻しました

救急車を呼ぶほどの事ではなく
主治医のいる病院へ行く手配の電話をし
介護タクシーをしている友人へ連絡し
内科医をしている女医の友人へ電話をしながら
病院へ伴走していきました

感染症を起こしていたようです
詳しい事はわかりません

入院中に狂いだしました
〝せん妄状態〟
退院して治るかどうかわからないとの診断
認知症?

思い返してみれば
生活においておかしな事がたくさんありました
同じ物を大量に買っていたり
綺麗好きな母の部屋が汚れはじめていたり

身内は頭から否定してしまうんです
ボケてる訳じゃないって

入院してせん妄を起こしてるだけって

でも女医の友人は
自宅に帰って元に戻る確率は限りなく低いよ…と


ちょうどその時
その女医の友人は
院長をしていた病院を退職するところでした
自身のクリニックを開院し
そこにはサ高住が併設されているという事でした

友人がいた病院は普通の総合病院でしたが
老人病院のような感じで
併設されている老人向け施設があり
新しくサ高住も作ったりしていました

母の様子を話すと
いろいろアドバイスをしてくれたり
便宜をはかってくれました

介護認定の事やなんやかや…
施設の見学やらなんやかや…
いろんな情報も
全く無知だった私に一気に入って来ました

ほんとうに恵まれていました

全ての事が スムーズに流れていきました

一番はじめの介護タクシー1つでも
人脈がなければ何時間も待つ事になっていたかも
知れないのに
連絡をしたら30分もたたずに来てくれました
その後も数回いろいろと便宜をはかってくれました

私の人脈でもあり
母の人脈でもあったんです

私は友人が数少ないので
母にはわりとよく話して聞かせる方でした

その友人たちに
私が何かをしてもらった話などをすると
母は何かしら買って来たり作ったりして
渡すように言うんです
1つ1つたいした物ではありません
クルミに鈴を入れて紐をつけた物とか
ちょっとした小さな袋とか

正直私はそれが物凄くめんどくさくて
毎回ブツブツ文句を言っていました
そんな友人との話を母にいちいちしてるって事も
恥ずかしかったりして

〝悪いけどもらってね〟って

そんなつながりのあった人たちでした

母は倒れる半年ほど前から
家中の物の整理をしていました
いろんな物をあげる あげるとくれました

木工をしていた時の彫刻刀セットや
皮革細工のセットは主人に

調理器具のアレコレなんかも

元々転勤族で物の少なかった母ですが
ほんとに寂しいくらいに整理されていました

連れ合いを見送り
自分の身の回りを整理しつくし
倒れ
たくさんの人脈に助けられ
最期の1年間
新築のピカピカの部屋に住まい
血は繋がっていないけれど
優しい人たちに四六時中囲まれ
子どものような事を言い
聞いてもらい
お金の心配も食べる心配もせずに過ごして
葬式代と永代供養代だけきちんと残し
逝った母

見方を変えれば……

いくら新築でも馴染みのない部屋に入れられ
薬でおとなしくさせられ
知らない人たちに囲まれて
不安の中で怪我をし
旅立った

〝この役立たずがまた迷惑かけてる〟
と悲愴な顔で叫んで

私は私の都合の良い事しか
人に話していないかも知れない

実は
〝片付いてなくてもなんでも良いから家に帰る!〟
と叫んだ事がありました

〝またおうどん食べに行く!〟
と言われていたけど
めんどくさくて延ばし延ばしにして行けなかった

そんな話は思い出そうとすれば
たくさん出てくる

その時その時の私の決断は
実は全て自分自身のためばかりだったかも知れない

ただ間違いないのは
心強い人脈に支えられ
母と私の行く道を導いてもらえた事

私の判断が間違っていただけだと思う

間違っていたのかな

きっと
間違っていたんだと思う

☆☆☆

まとまりのない文章になりました
またいつか書き直します

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