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癒すもの
西川勝さんの『ためらいの看護』
何度めかの読み返し中
看護師をされていた時代の病棟のエピソードから…
認知症の老婆が
青い瞳の人形を自分のベッドに寝させ
自身はベッドの端に横たわる
頬をなぞり髪を撫で話しかけ面倒をみている
「人の悩み苦しみは九〇パーセント以上が人間関係に起因している。だから、この苦しみはやはり人間関係のなかでしか解消されない」という話を聴いたことがある。けれども……。
と西川さんは書いている
アマノジャクの私は
人が人に癒されたり救われたりするのは
実のところそんなには多くないのではと思っている
良い事を言われても悪い事を言われても
神経を逆撫でされるのは人からの影響
ただいてくれるだけで良い人と一生のうちに
何人出会えるのかと思う
横に並び私の向くべき前を見ていてくれるだけ
ただそれだけでざわつく心が静まっていく
そんな人と何人出会えるんだろう
温かい言葉も気づかいも
解消のきっかけにはなり得ても
解決するのは自分自身にしかできない
人間関係で解決しようとすれば
また余計にこじれるような気がする
それならごん太と散歩している方がいい
彼はただ歩く
そして時々ふと顔を上げて私を確認する
また前を向いて歩き出す
ただただ歩く
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