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ReCodaの歌詞から読み解く「響け!ユーフォニアム3」

狂ったように書いた前回の記事から約三週間が経とうとしている。

もう満足したかと思いきや
ReCodaを毎日リピートしていたら、ふとこの曲って結局何を伝えたかったんだろう?と沸々と疑問が湧いてきたため、こうしてまた筆を取っている。
正直こうゆう考察は物語が終わる前にやるのが一番楽しいのだが、私がこのアニメをリアタイせず、完結後に一気見したため完全に時期を逃してしまった。アホである。
今更感がすごいが、暇な人は読んでもらえると嬉しい。


ReCodaとはTRUEさんが歌う
「響け!ユーフォニアム3」のOP曲のタイトルである。

過去のユーフォ主題歌もかなり本編を連想させるような歌詞が多かったように思うが、ReCodaは特にそれが顕著であると私は感じた。
この記事ではReCodaという曲は一体何を伝えたかったのか?
私個人の解釈と共に綴っていきたいと思う。

この先は「響け!ユーフォニアム」の原作とアニメ両方のネタバレを大いに含むためネタバレ勘弁して!って方はブラウザバックを推奨する。





ReCodaの意味

この曲のタイトル

ReCoda

大文字で区切られていることから ReとCodaは二語に分けて意味を考えるのが妥当だと判断した。

Reと聞いて最初に思いついたのはメールの返信の時によく見る Reː
「~に関して」という意味であるが、本当にこの意味を表したいならコロンの記号:が付くはずだ。なので候補からは除外する。
次に連想したのが"Re"turnや"Re"memberなど英単語の前に付く
接頭辞としてのRe
これは再び、後ろ、戻るといった意味がある。
英語で言うAgainとBackだ。

次にCoda
Reも英語で考えたのでCodaも英語の意味を調べてみたところ

フィナーレ、楽曲の最後の部分

という結果がヒットした。
先のReと併せて意味をなんとなくつなぎ合わせると

繰り返されるフィナーレ?戻るフィナーレ?

これだけではやはり要領を得ないので歌詞の中からリコーダという言葉を探してみた。

超えていけ リコーダ!
死にそうなほどに悔しくて泣いた
曇りない青さに眩しさに 負けないように
放つ光輪の輪 女神は 気まぐれ 報われない

ReCodaの歌詞より

「超えてけリコーダ!」以降の歌詞を読み解くことで何かヒントが得られないか試してみる。以下にて一つ一つ見ていく。

まず、これらの歌詞から連想するのは、やはり3期12話の大吉山での麗奈と久美子のシーンだろうか。
オーディションで敗北した久美子が大号泣して叫んだ

私も大号泣した

このセリフは作中で何度か登場したが3期の主題歌ということを鑑みれば
「死にそうなほど悔しくて泣いた」という歌詞
間違いなくこのシーンを意識している。

更に久美子の言葉

この気持ちも頑張って誇りにしたい。

そしてこのシーンのストーリービジュアルである

青春とは
希望や理想の実現を追い求め、時にそれは実現し、時には現実の厳しさに打ちのめされることもある。
人生で最も活力のある時代で最も心身共に成長する時代であると言える。

最後まで二人は理想を貫き通した。
久美子は最後まで真由の甘言に屈せずソリを譲ることはなかった。
麗奈は忖度なく正しく実力を見極めて真由を選んだ。
それは北宇治は実力主義であるという理想であり、
それは1期11話で麗奈と交わした"上手い人が吹くべき"という盟約だから。

愛の告白だから

盟約は守られたのだし、恥じることはないむしろ誇っていいこと。
だが本音は悔しい。最後の大会、麗奈と一緒にソリを吹きたかった。

この気持ちも頑張って誇りにしたい。

この言葉には、今は正直「そんな自分を誇りに思う!」なんてカッコいいことは言えないけど、この"悔しさ"をいつか"誇り"だと思える自分になりたいという希望的観測、完全に気持ちを割り切ることができない、だって悔しいもんは悔しいもん!という久美子らしい正直な言葉だなと私は感じた。

「曇りない青さに眩しさに 負けないように」という歌詞
正に久美子のこの言葉に集約されていると言える。

「放つ光輪の輪 女神は 気まぐれ 報われない」という歌詞について

これは1期12話の最後の久美子のモノローグが関係している。

努力した者に神様が微笑むなんて嘘だ。
だけど運命の神様がこちらにウィンクをして
そして…次の曲が始まるのです。

麗奈は圧倒的な奏者としての実力を持っているが、それは彼女の父が有名なトランペット奏者であり家に防音室があり、いつでも練習に打ち込める環境を生まれながらにして獲得していたことが大きなアドバンデージとしてあったからだ。
釜屋すずめは楽器経験はないが音量の大きさは他の経験者をも凌駕する才能。そして莉子と後藤が卒業してチューバの層がたまたま手薄となり滝先生もその穴を埋めたいと思っていた。だから始めて数カ月でもコンクールメンバーに選ばれた。
努力だけが必ずしも自身の望む結果を手繰り寄せるとは限らない。
才能や運など様々な要素がそこにはある。

久美子だって真由が転校してこなければ…ソリを吹けたかもしれない。
久美子が部長にならずに練習に打ち込める時間をもっと増やしていれば真由とのソリオーディションに勝てたかもしれない。
そんな現実の残酷さをこの歌詞から感じた。

さて、ここまで「超えていけ リコーダ!」
の後に続く一連の歌詞について私なりの解釈を説明してきた。
これらは一貫してオーディション問題に関係する内容であり、「超えていけ リコーダ!」という歌詞はこれらのオーディション問題を超えていけ?という意味にとることもできる。
ここで過去のオーディション問題について
今一度簡単に振り返っていこうと思う。

1年生編では
中世古香織 VS 高坂麗奈 
のトランペットソロをかけた再オーディション問題
本来なら実力で勝る麗奈がソロを吹くべきなのだが、誰よりも香織が部のために尽くしてきたことを知っている優子は納得できず、更にオーディションに不正があったのではという噂まで広がり、耐えかねた滝先生が再オーディションを開催した。

2生編では
中川夏紀 VS 久石奏
久石奏は、副部長であり部のために尽くし、練習も真面目に取り組んでいる先輩を差し置いて自身がコンクールメンバーに選ばれて、もし結果が伴わなければ落ちた先輩が報われない。努力が無駄になることが怖くてわざとオーディションで下手に吹き、夏紀にコンクールメンバーを譲ろうとした。

3年生編では
黄前久美子 VS 黒江真由
のユーフォのソリパートをかけた再オーディション問題
府大会のオーディションでは久美子がソリに選ばれたが、関西大会では真由がソリに選ばれた。真由に限らず、他のパートのコンクールメンバーにも変動が見られ、オーディション結果に納得できない人が続出し部の雰囲気はどんどん悪くなっていく。更に部内でどちらがソリを吹くのがいいのか久美子派 VS 真由派で割れる事態にまで発展した。

1~3年生編で起こったこれらのオーディション問題
それぞれ全く状況は異なるが、
頑張ってる人が吹くべき VS 上手い人が吹くべき
の構図に当てはめることができる。

頑張ってる香織 VS 上手い麗奈
頑張ってる夏紀 VS 上手い奏
頑張ってる久美子 VS 上手い真由

最期の久美子 VS 真由はアニメと原作で結末が違うので
この構図に当てはめてしまうのは一概に正しいのか悩むところだが
ReCodaはアニメの主題歌なので今回はこのままいかせてもらう。

これらの問題は本質的には感情と理性のせめぎ合いであり、人が人である限り完全に折り合いをつけるとことが難しい永遠の課題であえると言える。
なぜこの話題を出したかは後に説明する。
さてそろそろ結論に入る。

Codaとは、一年の部活動生活のフィナーレ
全国金賞を取るためにコンクールに出場する一連の道程を一つの言葉で表現したものである。


高校吹奏楽の集大成、全国吹奏楽コンクール
そこで全国大会金賞という成績を勝ち取るために部員一丸となって挑む。
それは1年間の吹奏楽部としての活動の中で
正に最終楽章、フィナーレとも言うべきイベントではないのか。
それをCodaという単語に込めたのではないか。
そしてその頭にReを付けた。
Reとは冒頭でも説明したようにAgainBack
繰り返すことと戻ること。

先に説明したオーディション問題
仮に全く同じメンバーで毎年コンクールに臨むのであればここまで大きな問題には発展しなかったのではないか。
新1年生の麗奈が入ってきたから、新1年生の奏が入ってきたから、転校生の真由が入ってきたから。
2、3年は去年一緒に全国金賞を目指してきた歓びや悲しみの記憶、想いも共有している。戦友というやつだ
しかし、全くその想いを知らない新1年生が入ることによりあの時の音楽の完成度も一体感も精神の醸成もまた一からスタートを余儀なくさせられる。
これを滝先生は賽の河原の石積みに例えていて、千尋に違うよ人だよと指摘されたエピソードを3期11話で明かしていた。

正にAgainとBack。
毎年繰り返され、そして1年経てばまた一からやり直し。

そんな理不尽に負けんな!打破しろ!
「超えていけ リコーダ!」
これがReCodaの意味であると私は思う。

ReCodaは何を伝えたかったのか?


さてReCodaの意味が分かったところで、次はこの曲は一体何を伝えたかったのかについて語っていく。

先に結論を一言で表すと
受け継がれていく限り、永遠に続く夢と音楽

3期アニメは主人公である黄前久美子の高校最後の年であり、この響け!ユーフォニアムという物語の終わりを飾るラストシーズン。
しかし、歌詞は殊更"終わらない"ことを強調しているように思えた。

終わらない 夢を
鳴り止まぬ 歌を

ReCodaの歌詞より

曲中で4度も繰り返されたこの言葉。
ここでいう夢とは
北宇治がこの3年間目指してきた全国大会金賞。
あすか世代、優子世代、先輩たちが全力で挑んだが届かなかった悲願。
久美子世代の北宇治はアニメ3期13話で全国大会金賞を勝ち取ったが、それは全て久美子世代の部員たちだけの力であったのか?
否である。
前回の記事でも語ったように、田中あすかと出会わなければ久美子は他人を傷つけるのも傷つけられるのも怖くて何もできず見守ることしかできない昔の自分のままだったかもしれない。吉川優子が、アンコン出場を提案しなければ、北宇治のクラリネットパートがあんなにも上手かったことに気づけず、もしかしたら自由曲の選択も変わっていたかもしれない。加部友恵がマネージャー業に専念してくれたおかげで、部長、副部長の負担が減り、部の運営が円滑に回った。この成功体験が部長、副部長と兼任だったドラムメジャーが、専任制に変わり、久美子世代の部活運営に良い影響(特にドラムメジャーである麗奈が演奏指導に専念できたのが大きい)を与えた。

生きることに夢中になれた日々が
今を生きている私へと繋がっている
365日の軌跡で受け継がれる想い
次のあなたへと向けた
終わらない 夢を
鳴り止まぬ 歌を

ReCodaの歌詞より

この歌詞は正に久美子の3年間そのものである。

これまで積み上げてきた全てのことが今の私に繋がっている。
北宇治を全国金賞へと押し上げたのは、敗北から学び、部を良くしようと研鑽してきた過去の自分であり卒業していった先輩たちなのだ。
そしてその想いは、先輩から後輩へ受け継がれる。
あすか世代が優子世代に全国金賞の夢を託したように
優子世代が久美子世代に全国金賞の夢をを託したように
久美子世代から梨々花世代へ…To be continued.
夢は受け継がれていく。受け継がれる限り
北宇治の演奏は永遠に鳴りやむことはない。

原作によると、同じ曲でも学校毎に演奏の癖というか色というものが出るらしい。北宇治らしい演奏というのは現実として確かにある。
受け継がれるのは夢だけではなく、北宇治らしい演奏もまた先輩から後輩へ受け継がれていくのではないだろうか。
"響け!ユーフォニアム"を吹いてる時の久美子があすかの演奏に似てると言われたように。それを聞いた奏がその演奏をまた真似て吹く。
そうやって"響け!ユーフォニアム"という曲を通して北宇治らしい演奏が後輩へ受け継がれていくのかなとふと思うなどした。


以上、月並みでしたが私なりのReCodaの解釈でした。
もっと一つ一つの歌詞について細かく語っても良かったんですが
収拾付かなくなりそうだったので涙を吞みました。
この解釈に共感してくださった方は、この内容を踏まえて
もう一度ReCodaを聴いて頂けると嬉しいです。
最後にここまで私の駄文にお付き合い頂きありがとうございました。
ではいつかまたお会いできるのを楽しみにしております。



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