読書レポート『三位一体の経営』
全体所感
こうした普遍的な知見が示されている書籍は定期的に読み返し、
現状分析に用いたい。
各指標の参考値も出ているので事業部、自社の数読でも使えそう。
1.学んだこと
● 日本経済の長期低迷の理由
=資本生産性が資本コストを長きに渡り上回ることができなかった
(P.68)
※超過利潤を出していないと皆が等しく貧しくなる、
企業価値が毀損される
● 4つの型(P.77)
事業の再編成・提供価値をずらし市場をピボットすることの重要性
(共有コストを下げ、固有コストを意識する)
”What kind of business?”の観点
→事業の型を理解し、その分類によって生じるコスト構造、
打ち手を見ていく
● 必ずしもブランドへの投資は、利回り上割に合うとは限らない(P.119)
Branded(すでにブランドを確立したもの)と
Branding(これからブランドを作ろう
とする試み)は全然違う。
ブランドがその企業に競争上の優位性を与えているという思い込み。
└ブランド価値とブランドの経済価値は明確に区別すべき
※投下資本に対して生じている利回りが出ているか?
※ブランドづくりには投下資本が発生し確率論が絡み、
高い利回りが出せるかは簡単ではない
● 製品の素晴らしさも障壁にはなり得ない(P.122)
※人気製品は短期的な利益を作れるが、
他社が参入できるため長期的には見通せない
● 3つの参入障壁【=戦略とは障壁を築くこと】(P.125)
①供給面でコスト優位に立てられているか?
└競合にマネできない低コスト構造。ただし、中続きしない
②需要面でお客様を囲い込めているか?
└特許や技術
③その囲い込みと規模を組み合わせられているか?
└(1)習慣化
└(2)スイッチングコスト
└(3)サーチコスト
→最強の戦略
※インフラ化、組織内でのルーチン化
(オペレーションが回っている状態)が大事
サーチコストは確かにあるがMAツールやSaaS系は
WEB上での情報も公開されている
情報が溢れかえる中でカオスとなっているところから、
いかに製品のメッセージを分かりやすく
明快にリーチさせるかが重要
どうしても障壁を築けない場合は、「効率化命」を磨きこむ
(機能を改良し効率化を図る、地道な作業)
● 儲けのメカニズム=プロフィット【採算】とリターン【報酬】の違い
(P.148)
※採算…
あきれるほどのコストをかける(障壁が立つ→プロフィットが持続)
※報酬…
腰を抜かすほどのリスクを取る(障壁が立つ→リターンが持続)
● 日本企業はリスクテイク水準が低い(P.200)
※また、取ったリスクに対してリターンを得られていない
● 日本企業は設備投資の削減が目立つ(.172)
この25年間、ぬるま湯につかっていたことで海外企業と差をつけられている
● 「Idiosyncratic Vison」(=事業仮説)の重要性(P.178)
※大衆の話し合いから生まれるのではなく、
個人の内面から沸々と湧き出るもの
※極端でなければ仮説とならない
※経営者は大きな事業仮説を立てるだけではなく、
仮説が大きければ大きいほど
生じる猛反対を論理と人徳で説得し組織を前に向かせる
※仮説的に考えること、論理的に考えることは違うということ
● 企業価値を大きく左右する6つの重要要素(P.224)
①中期経営計画
②大規模なM&A
③撤退を含む事業ポートフォリオの再構築
④大規模な投資(設備投資、R&D、IT投資など)
⑤資本政策、BS最適化、株主への還元
⑥意思決定プロセス/ガバナンス構築の設計
※特に日本は②③が弱いとのこと。
ウェットな人道主義から距離を取り、
冷静に事業判断をすることが重要と感じた。
※積極的に企業とのアライアンスや協賛もやるべきだし、
一定の撤退基準を設け
事業の新陳代謝を厭わないことも忘れてはならない。
● みさきの黄金比(P.250)
●総人件費の2年分が現金保有の一つの目安(P.265)
※キャッシュを保有し、未曾有の不確定要素やリスク、脅威に備え
現金を生み出すことの大事さを改めて感じた
●PBRが1以下の企業はアクティビストに狙われる(P.283)
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