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緑蛍光の町、曳舟

今日も一日オカルトさまです。(挨拶)
東京オカルトカレー会調査員、まぼろしパンダのポイポイです。

これは私と友人のささやかな休日の思い出であると同時に、オカルト調査員が「緑魔の町(筒井 康隆・著)」を訪問した際のレポートでもあります。考え方ひとつで、日常が少し(S)不思議(F)に。

その日は、同会調査員のA氏と曳舟駅で待ち合わせ、平和な休日を過ごす予定でした。あの色に出会うまでは。

coffee shop はなや

曳舟駅を下車してすぐ目の前、強烈な色彩の外装が目に飛び込んできます。とても目立つ。緑地に白抜き文字で「coffee shopはなや」と店名が記されており、おそらくこの緑が本来はbotanicalやnaturalを意図したものであった事を想起させます。というか、この手印が気になりすぎる。手話か何か(たぶん店名?)だと思われますが、この印が我々のオカルト嗅覚を刺激してくださいます。意味をご存知の方がいたら、ぜひご教示ください。A氏も大はしゃぎ!

この手印なに?

ついでに空腹も刺激されたので、入店します。赤い皮張りソファーにウッド基調のインテリアは自然体な純喫茶という風情で、和みます。ランプの光が僅かに通常の橙色より緑がかって見えるのは、こちらの思い込みの可能性があります。注文しようとすると、90度に腰の曲がった店主が「早く動けないですからね〜」と伺いに来てくれます。急がないので長生きしてください。コーヒーと手作りのサンドイッチ、付け合わせにサービスの艶やかなメロン。わぁい!でも、珍しい。そして、また緑色…。付け合わせが必ずメロンなのか偶然なのか、それを確かめる為にも、また行きたい喫茶店です。サンドイッチも心温まる美味しいお味でした。

大道芸術館
素敵な喫茶店で一息ついたところで、真の目的地、失われた文化の祭典「大道芸術館」へ。平和な休日とはなんだったのか?ひらめく黒ベルベットのVIPルームから、無礼講お花見パラダイス、宇宙人による拉致人体実験ルームなどなど珍奇怪奇よりどりみどり、屋上への扉を開けるとそこはグリーンガーデン…。思えば、この怪しの館のチケットをくれたのは、こちらで剪定を一任されている植木屋「沖造園」の鶴岡さんでした。恐るべし緑の連鎖。

LE PETIT PARISIEN(ルプチパリジャン)
再び曳舟駅周辺にひき返し、企画展を観に行きます。場所は「ルプチパリジャン」蔵書票研究家、石川さんの「オープンな書斎」です。時々作家さんを招いて展覧会も開催されており、この日は鉛筆画家、渡邊光也氏のボックスアート展にお邪魔しました。小箱の中に凝縮されたプチ・ワールド。まるで持ち歩ける”脅威の部屋“。繊細で耽美な鉛筆画とオブジェ達が鑑賞者の心に不思議な心理作用を及ぼし、懐かしく儚い思い出へと誘い出します。ふと、自分の居るこの書斎も、誰かに覗かれているミニチュアールではないかと錯覚を覚える頃…。ベッドサイドに倒れたグラス、脇には緑の酒瓶。その名も悪魔の酒アブサン!画家ゴッホや詩人ヴェルレーヌを虜にした緑色のお酒。退廃の緑色…!

居酒屋 雪国
ルプチパリジャンと曳舟駅の中間あたりに、怪しい緑蛍光灯を灯した、「雪国」という居酒屋。目に飛び込んでくる情報がぜんぶ緑。緑に愛されし店。看板が異色すぎて入店まで踏切れませんでしたが、ネットでの評判はすこぶる良い様子。いつかチャレンジしてみたいお店です。今回は、外装だけでお腹いっぱい。この辺りで我々の緑センサーが完全に振り切れています。ベストオブグリーンカップが開催されたら断然優勝、曳舟=緑という印象を定めたお店です。A氏も嬉しそうです。

スカイツリー
この日の〆に、曳舟からソラマチまで歩いて行く元気な我々。てくてく。目指すはスカイツリーのお膝元、ソラマチの「チーズガーデン」。チーズケーキの食べ比べをしに行きます。ふと夜空を見上げると、そびえ立つスカイツリー。その色は…緑!普段の七色の輝きは何処。霧の中に潜むのは、何度見ても緑の摩天楼。巨大なアブサンボトルが見せる緑の悪夢は、我々を退廃の淵へと沈めるのであった…。(シラフです。)

アブサンボトルに見えました

その時、我々の背後に議員ポスターがひるがえる。大きく印刷された議員さんの名前は○○(伏字)みどり…!A氏、発狂!緑のスーツを着こなしたフェアリーのウィンク。緑の魔法にかかったような、素敵な午後の出来事でした。

カラーバス効果
特定の色を意識すると、その色がやたらと目に付くようになる「カラーバス効果」という心理現象があります。本来はスルーしてもよい不要不急の情報だったとしても、興味関心の次第では、脳が反応してくれるという興味深い現象です。

「幽霊の正体みたり、枯れ尾花。」幽霊に見せるも枯れ尾花に見せるも、脳の情報処理次第ではないかと考えさせられます。オカルトへの憧憬は、この「見たけど見ていない」のパラドックス間に存在している、というロマンなのかもしれません。ちなみに筆者は霊感ありません…。おしまい。

チーズケーキ美味しかったです




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