夫の土産で思い出した父のこと
夫の尾道出張土産,TEA FACTORY GENさんのお茶。
「無農薬で,肥料も使ってないんやって。木の根っこが2mまっすぐ下に伸びとって・・・・・・」
少々興奮気味に話す夫。余程刺激を受けたことは想像に難くなかった。
気になって翌日,HPを見たら,特別なこだわりを持っていた。
HPより
“農薬を使用しないことで、益虫が増えます。そして土壌微生物もいきいきしてきます。知らない間にその畑の中で一種の生態系ができあがります。虫が虫を捕食し、人間にとっての害虫が減ります。そうすることで、余計な防除は必要なくなります。・・・・・・そもそも栄養過多になることがないので、虫が出る絶対量も少なくなります。お茶の味も化学肥料によるチッソ成分が少ないので、「旨み」はありませんが、その分お茶本来の糖分の「甘み」が際立ち、渋み、苦味、えぐみが極端に少なくなります。”
まるでビオワインのような土壌に対するこだわりと,お茶への思い。
お土産のお茶は確かに美味しかった。初めて飲んだ「和紅茶」(和の紅茶)というジャンルもまた新鮮で,確かに紅茶のようで紅茶でない,日本茶のようで日本茶でない,素人ながらも独特の感じを受けた。
私は会ったこともない彼に,尊敬の念と好感を抱いた。
私は職人が好きなのかもしれない。
ふと父のことを思い出した。
私の父は職人だ。
年をとり,今でこそ殆ど稼働してないが,父は住宅の襖や障子の張り替えや,掛け軸,屏風を表装する仕事をしていた。
父の仕事場は自宅の中にあって,そこには襖や障子,工具や表装に使う材料がきれいに整頓されていた。作業台の上には木くずと少々の釘が転がっており,その反対側から襖を貼ったり,木枠を打ったりする父を見ていた。
当時,劣化した表具が父の手によって綺麗になっていくのを見るのは,とても興味深く,そして出来上がったそれをお客様へ届ける父の後ろをついて行く小さな私は少しだけ誇らしかった。
父は社会に交わるのがあまり得意ではなかった。いつも自分の世界を大事に,作業台で襖や障子と向き合っていた。でも本当は話好きで,仕事の話を聞くと,得意げにいろんな事を教えてくれた。「もういいよ」と思う位,仕事の話は長かった。
思い返してみると,これまで私が職人に心を動かされることはかなり多くあった。
着物の会社に勤めていた時は商品部に属していて,たくさんの着物作家の仕事風景を見せてもらった。その後,着物デザイナーの下で販売員をしていた時も,側でその思いや製作過程を見られたのがとても刺激的だった。
今職場の隣で建設されている市役所が,徐々に出来上がっていく過程を見ているのだって面白くて仕方がない。
モノが造りあげられていくプロセスはとても興味深く,そしてそれを成し遂げる人の力は本当に素晴らしいと思う。
私が,職人に触れて心が動くのは,確実に父の影響だ。
私は職人が好きなんだろう。
そして,自分が思ってる以上に父のことが好きなんだろう。
そんな事に気付かせてくれた,TEA FACTORY GEN さんのお茶。おかげで良いティータイムが過ごせた。
ありがとうございます。
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