『離レ姫』関係者インタビュー 〈第2弾/照明 しらいほのかさん〉
先週終幕しました、
劇団幻ノ國第11回本公演『離レ姫』。
作品を共に創り上げた多彩なメンバーへおこなったインタビューを、
全7回にわたり連載しています✨
今回は第2弾!
お相手は、
『離レ姫』にて照明を担当された
「しらいほのかさん」です。
作品を新たな角度で楽しめること間違いなし!
照明のおもしろさや魅力も垣間見えます👀
🌻演劇の舞台照明の楽しいところ、難しいところ
楽しいところは、とにかく頭を使えることです。ここはこうだからこの明かりをつける、とか、ここにはこの伏線があるから明かりでも伏線作っとこう、とか。何日もひとつの作品に向き合える時間が作れるのはとても楽しいなと思います。
難しいところは、どこまで現実を取り入れるか、どこまで舞台っぽく作るかの加減です。例えばダンスだと全てが舞台です。ミュージカルだと、歌は舞台で芝居は現実とか。境界線がはっきり見えているものは分かりやすいですが、演劇は作りすぎても良くないなとかその塩梅が未だに掴めないです。
🌻 今回、照明をプランニングする上で意識されたことは?
舞台が主に深夜の美術館ということで、それをどう表現したら面白いかを考えました。また、美術館と研究所で重なっていく物語をどう区別をつけたりつけなかったりしていくか、その塩梅に気を遣いました。
また、今回「色」がポイントになっているので、ほとんどの明かりに色を入れず、色温度変換フィルターを使用してさらに無機質さを目指しました。
色を手に入れるために奔走する人、色がわからない人、色を奪われた人。役者さんとその役どころの「色」が既にあるので、照明には必要ないと判断しました。悪く言えば全部投げです。よく言えば信頼です。
🌻照明をプランニングする際、やはり台本は相当読み込まれますか?
大変失礼で申し訳ない話であるのは承知なのですが、台本を読み込むのが得意ではなくて、なるべく役者さんの通し稽古などの動画を見ながら、セリフのニュアンスや場面の雰囲気を探ることが多いです。
幻ノ國さんの台本は大変複雑怪奇なことも多いので笑 台本を書かれている主宰の福地さんに尋ねることもしばしば。
🌻今まで幻ノ國作品で照明をされる際、大事にしていたことがあれば教えてください。
まだ前回、前々回の「背神」と今回の「離レ姫」しか照明デザインを担当していませんが、幻ノ國さんは役者さんの地力がすごいので、あまり盛りすぎないようにしています。
照明をいい具合の薄味にして、上手く役者さんの濃い味を濃すぎないように見せられたらなと思っています。
🌻特にこだわったシーンはありますか。
美術館の作品に当たってる明かりとしてサスを乱用したのですが、シーンによってはほんとに演劇らしいサスだったり、無機物的なサスであったり、物語に出てくる点と線だったり、雨だったり、爆撃であったり、放射線であったり、ゴッホの心理世界の中であったり、、、、ほんとに色々です。これらをサスという共有事項でそれぞれのシーンが繋がってきたらいいなと思って作りました。
サスの数は全部で11個。この芝居の中で言う「11個の作品」とは「11人の役者さん」を指します。私よりも長く作品と向き合い、作り上げたそれぞれの役はまさしく作品であることに間違いはないでしょう。それを私は大切にしてあげたいと思いました。
Twitterにサスについて書いた翌日の千穐楽、役者のみなさんが私のツイートを見たのか、サスのことが好きすぎて、いつもより入ってました笑
映像販売もされるみたいなのでぜひご確認ください笑
あと個人的には爆撃シーンの彩りがある世界から2つ目の太陽が色を奪っていくくだり、我ながら実直ではありますが良いシーンになったなと思います!
最後、カーテンコールや客出し時に色をつけたのは、見に来た方の日常に色が溢れるようにとの私からのプレゼントでもあります。受け取っていただけましたか?
🌻ここは苦戦した…!というシーンはありますか。
奈落の使用シーンですね。奈落明かりが美味しくなくなってしまってどうしたら美味しく見えるだろうかと悩みました。
奈落から手を出してる女性陣や、引きずり込まれる館長さんの演技のおかげでなんとか見られる構図まで持っていけました。
あの手のシーン、凄くいいですよね。我ながら!笑
🌻知ったら面白い、照明雑学を教えてください!
ほんとに思いつかなくて、面白いかどうかは分からないんですが、照明のカラーフィルターには番号が打たれていて、10番台はピンク、20番台は赤、30番台はオレンジ、、と色相の順に10番ずつ分けられています。そして、その中でもより若番の方が色が濃い傾向にあります(たまに違う場合もある)
舞台でついてる照明を見て、何番くらいだろうと想像したら楽しい??楽しくない??微妙ですね笑
私は職業病なのでこの時期街中のイルミネーションを見るとどれぐらいの割合で色が混ぜられてるか、フィルターで言えば何番くらいかを考えています。
うん、気持ち悪いですね笑
今回も、素敵な明かりをつくってくださった
しらいほのかさん。
観客だけでなく、座組メンバーも驚かされる凝った照明演出をしてくださいます🌱
お忙しいなかインタビューにお答えくださり
ありがとうございました!
次回は、音響を担当された「青木駿平さん」です。
公開をどうぞお楽しみに!!
文責 : 幻ノ國 広報