イー・ギャランティ(8771)についてのメモ(1)
その他金融セクターの会社は、既存の金融機関系か独立系か、というところに最初に注意すべきかなと思っている。なぜなら、既存の金融系列だと、銀行業法とか保険業法とかの縛りを気にして自由な企業活動が行いにくい面があるから。独立系はそれらの既存の金融業を縛る法律の適用範囲外で、自由に企業活動を行えて、新しいサービス、商品が出てきやすい。というわけでその他金融業種に属する同社の分析についてはまず大株主から。株探より。
伊藤忠商事が筆頭株主。総合商社であるが、業法のしばりはない。帝国データバンクも5%以上の大株主。帝国データバンクといえば、与信情報の大手なので、それが大株主になっているということは、この会社の倒産可能性は心配ないということになるか。
四季報 ONLINE より同社の特色など。
【特色】企業の売掛債権保証で成長。リスクは再保証先に移転。地銀との業務提携積極化。伊藤忠系【連結事業】事業法人向け保証サービス97、金融法人向け保証サービス3 <20・3>
売掛債権保証というのは、商品を販売した顧客や取引先が倒産するなどして、売掛金が回収できなくなったときに、同社がその分を保証して代わりに支払ってくれるサービス。上記を見ると、同社は、そのようなケースが起った時は、倒産先に追い込みをかけるのではなく、リスクを再保証するので同社も未回収額を丸ごとかぶるわけでなく、再保証先にリスクを薄めていくことでビジネスを成立させている、というのが上に書いてあることかな。
株探から業績
上場以来赤字なし、毎期営業利益率とROEが二桁、売上、営業利益、経常利益が毎期増加、という凄い業績を残している。
財務
有利子負債なし。自己資本比率70%台まで改善してきている。金融系の会社としては驚くほど高い自己資本比率である(たとえば、その他金融セクターで時価総額最大のオリックスの自己資本比率は20%台)
年足
昨年に上場来高値 2803円を使た後、株価は休養中、といったところ。
Ullet で同社の「対処すべき課題」をチェック。
中長期的な業容拡大に向けて8つの課題に取り組むとしている。ここではその一部を取り上げる。
同社の認識では、昨年5月にこの有価証券報告書を出した時点では、「当社グループは本事業分野において先行者メリットを有しており、幅広い販売網を構築していることが競争力の源泉の一つ」ということ。今後、競合がどんな対抗措置を取ってくるかが同社の先行きを見るうえではひとつの重要なカギとなる。
同社は、「膨大な企業の信用情報データベースを保有する日本でも有数のビッグデータ企業」と自認している。ここで大事なのは既存金融のように業法の縛りがないことで、同社は比較的自由にそのビッグデータを活用して新たなビジネス展開をしていける可能性が高い。
フィンテック企業をリスク受託の面から下支えしていく、と。新興のフィンテック企業のサービスが安心して使えるかどうかを裏で支える企業なわけだ。
あと、筆者はこの会社はある意味国策会社ではないかと思っている。というのは今年になって以下の記事を読んだから。
約束手形は、上記記事では手数料が高いの、回収までの期間が長いのなどの批判があったことが書かれている。もちろんそういう側面もあるが、元来は取引の安全を確保するために使われてきた有価証券制度である。その制度をなくすのだから、約束手形の代わりに取引の安全を担保する仕組みが電子的に代替されていくことが考えられる。ここに同社の大きなチャンスがあるのではと筆者は思っている。