旭化成(3407)についてのメモ(1) - 旭化成ってDX先進企業だったんだ
なんというか、旭化成、DX先進企業みたいである。10/11に公開された[DX白書」は、以下のような4部構成になっていて
このうち、第2部から4部のそれぞれの末尾にさまざまなDX先進企業へのインタビューが載っているのだが、それら3つの部のすべてでインタビューが取り上げられているのが旭化成なのである。他には3つの部すべてで取り上げられた企業はなかった。つまり、「DX白書」の編集者たちの推しは旭化成と見てとれるのである。では、彼らの推す旭化成のインタビューに集中してみよう。
同社が DXの活動を開始したのは2018年以降のようだが、まずは、機能別にDXを推進してきたとのこと。全社横断的なことをいきなり始めたということではない。2021年以降はより大局的な取り組みを進めていくということだ。
さすが、大企業だねえ。導入期で約400件のプロジェクト。数が多い。ステップが3つ設定されていて、「デジタル導入期」「デジタル展開期」「デジタル創造期」とステップアップのロードマップが敷かれている。
旭化成はトップの小堀社長が DX推進の旗振り役である、ということは株式投資家にとって財務諸表に表れてくる数字以上に重要な情報かもしれない。覚えておこう。
VALUENEXを使っているのかなあ。あの会社、なかなか利益が出る体質にならないのだが、、、。
トップ以下、やるべきことが明確になっているので、旭化成の利益総出力は四季報予想やアナリストコンセンサスを上回ってくる可能性が高いのではないかな。
組織論。それぞれの事業部門ごとにDX担当組織を置いていた。2021年からそれらに横串を通すため全体を視るデジタル共創本部を設立。
こういう組織図になるのか。
DXをリードする既存社員の人材育成教育に注力するだけでなく、外部の人材を積極中途採用し、登用していることが窺える。
小学生の時以来、慣れ親しまされた5段階評価に大人になってからもさらされるのはどうなんだろうという気もするが、全員がレベル3必達ということは各レベルの基準が絶対基準なんだと思う。そこが、相対評価で無理やり割合で5つの段階を配分する小学校以来の評価方式との違いである。
ふむ。隙がない。
ほう。サランラップはAIの画像認識による製品検査は実装済みとな。”すでに社内で実績が多いため、勘所を押さえてPoCを実施し、社内事例をふまえて実装検討を行えるため、実装が加速” って何気なく読み飛ばしそうだけど、凄くないか、これ。
なるほど。内製率の向上が明確な方針となっているのか。今年の1・5にオープンしたCoCoCAFE についての同社リリースへのリンク。から以下引用。
マーケティング、R&D、生産技術各部門のデジタル人財を集結させ、社内外の交流を促進し、DX基盤の強化とビジネスの創出を目指し
ふむ。Garage ってなんだろう。IBM のこれのことだろうか。
「これまでにないもの」をカタチするためには、試行段階であっても検証可能な精度まで実際に構築し、本番リリースの可否判断を行う必要があります。そのためには、特にユーザー側の目的に合致した適切なテーマの設定、テーマに応じた適切な知見や感度を持っている人材の集約、そして、早期に仕立て上げるためのシステム環境やソリューションを利用できる場、すなわち「Practice」「People」「Place」の3つが重要に
全社的なデータ活用基盤の整備はまだまだのようである。しかし、総合的に見てここまで DX 化が進んでいる日本の大企業はそうそうない、ということだろう。株探のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連が株式テーマの銘柄一覧 には、旭化成の名前はない。また、同社の関連テーマについて見てみても
株探の同社のテーマをみても、DX先進企業であることは窺われない。要は、とにかくいろいろなものを作っている大企業製造業という像しか浮かばないのである。これが平均的な投資家の同社へのイメージだとしたら、実は DX 先進企業だったということが明らかになってきたときの株価の評価がどういうことになるか楽しみなのは筆者だけであろうか。
以下、旭化成の DX について筆者の目についた記事にリンクする。
2021年08月19日の記事。
人工知能(AI)を用いた素材開発手法のマテリアルズ・インフォマティクス(MI)と自動実験設備を組み合わせる。人が介在するよりも広範囲で材料探索を行う。先駆的な取り組みで化学業界のデジタル変革(DX)をリードする。
と記事にはある。
上記記事は2021.10.07のもの。
これは2021/10/13の記事。
今後は、2022年頃から「デジタル創造期」に入り、2023年には「デジタルノーマル期」へと向かう予定だ。「デジタル創造期」は無形資産の価値化により新しいビジネスモデルを創造するフェーズであり、「デジタルノーマル期」はデジタルが当たり前の時代を指している。その頃になると、社内にもデジタルネイティブ世代が増えてくる。当然、「彼らを生かす組織づくりをしていかなければならない」(原田氏)のだ。
慶応藤沢の卒業生を初代の卒業生が輩出された頃に日本企業はうまく使えなかった歴史が筆者の片隅をよぎる。デジタルネイティブをいかす組織づくりを社員4万のグローバル製造企業が目指している意味をあまり株式市場は織り込んでいないのではないだろうか。
「IPランドスケープの取り組みによって自社や競合他社の立ち位置を明確化でき、新領域進出への決断の後押しとなった」
「経営トップがIPランドスケープを正しく理解し、強力に推し進めてくれているのが大きい」
「今後は経営陣や事業部門から依頼を受けてからIPランドスケープに取り組むのではなく、知的財産部が自らIPランドスケープによって新規事業の創出や既存事業の強化を提案できるような取り組みを進めていきたい」。
メモ(1)はここまで。メモ(2)では、現在の同社社長、小堀秀毅氏について深掘りしてみたい。