ファーマフーズ(2929)に関するメモ(1)
7月決算企業である。5日に上半期の決算発表予定。2月8日に配当修正、2/15日に上期赤字縮小の上方修正を出している。
この上期の赤字縮小の上方修正でわかることは、上半期累計でなく、第2四半期単体の業績は前の前年同四半期と比べて大黒字になることである。四半期ごとの業績を株探から持ってこよう。
同社の第2四半期は11月から1月までなのだが、過去5回の第2四半期のうち、15.11-01, 16.11-01, 17.11-01, 19.11-01 と4回が赤字になっている。要は、同社のビジネスの特性というか季節的要因というか、広告費を上期に集中投入するモデルなので、第1、第2四半期は営業赤字になりがちだったというのがこの表の読み方。唯一黒字になった 18.11-01 だって、1億そこそこの営業黒字なので大した金額ではない。
ところが、2月15日の上方修正である。会社の説明を引用する。
通信販売事業において、広告宣伝を上期に集中投資し、下期で利益回収する「通期黒字化モデル」を継続して実行いたしました。当第2四半期累計期間においては、ニューモ育毛剤を中心に、前期と比べて高い顧客獲得効率で、過去最高額の広告宣伝投資を実施することができました。この結果、クロスセル施策及び解約率の低下効果もあわせ、「通期黒字化モデル」の「利益回収の早期化」及び「利益水準の上昇」が、利益の増加につながりました。バイオメディカル事業では、田辺三菱製薬株式会社との共同研究の成果が高く評価され、同社との独占的ライセンス契約締結に伴う契約一時金が、当初想定以上の金額となりました。さらに、機能性素材事業では、ファーマギャバが大手飲料メーカー向けに記憶力を向上させる素材として出荷されるなど、好調を維持しております。以上の結果、当第2四半期は四半期の営業利益として過去最高を記録し、前回予想と比べ利益が大幅に増加する見込みです。
上方修正後の上半期見通しはこうである。
さあ、上の表とよく比べてみよう。今期の第1四半期の営業赤字が14億あって、上半期の営業赤字が8千万に減る、ということが2つの表からわかる。小学生でも暗算できるが、3月5日に発表される上半期決算の結果をもとに株探が計算して出す同社の上半期累計でなく第2四半期だけの営業黒字は13億強ということ。なるほど、会社の説明にある「当第2四半期は四半期の営業利益として過去最高を記録し、前回予想と比べ利益が大幅に増加する見込み」というのもうなづける。
はたしてここまで読み込んでいる人はどれだけいるかなあ。上方修正のヘッドラインだけに反応している人の方が多いのではないか。ちなみに株探の上方修正のヘッドラインは
ファーマF、上期経常を赤字縮小に上方修正
要約記事は
21年7月期第2四半期累計(20年8月-21年1月)の連結経常損益を従来予想の14.5億円の赤字→0.5億円の赤字(前年同期は15.7億円の赤字)に上方修正し、赤字幅が縮小する見通しとなった。
なお、通期の経常利益は従来予想の21.4億円(前期は7.8億円)を据え置いた。
そう、会社の説明まで読んでない人は、「ああ、上期赤字縮小するのね、前年同期より良くなっているのね」くらいにしか思っていないかもしれない。
年度業績の推移
2010年の7月期から毎年売り上げの伸びは凄かったのだが、なかなか利益がでなかった。しかし、2017.07期から営業黒字がでるようになり、増益基調が続いている。
財務も見てみよう
最後の行は今期の第1四半期だけのものなので、利益剰余金が一時的にマイナスになっていても年度を締めたときにはプラスになるのではと思っている。2008.07 から累損があったが、2019.07 に累損を解消し、これから大きく羽ばたこうというところではあるが、自己資本比率は落ちてきており、有利子負債の倍率は高くなってきている。日本はゼロ金利状態が長く続いていたが、少しは金利がつくようになってきている(少しの変化でも変動率は高いので支払金利の額は借入金が多いと結構増えるはず)。その辺をどう判断するかが同社のポイントかな。
というわけで、キャッシュフローも見よう。
営業黒字体質になってからも、フリーキャッシュフローがマイナス(しかも前期は14億のマイナスだ)で、キャッシュフローの創出に四苦八苦している様子がうかがえる。現金等残高は約33億弱あるのでまあ大丈夫なんだが、財務体質改善のための新株発行などのファイナンスをやってくる可能性は高いかもしれない。自分が保有していないときにファイナンスをやってくれて、株価が落ちたときに買えると理想なんだが、こればっかりはわからないからね。だから悩ましい。
一応、年足も貼っておく。
2008年の最安値で買って、ずっと保有していると100倍株になってたんだ。
同社の資金借り入れについての過去1年の開示も貼っておく。
20/02/17 13:30 資金の借入に関するお知らせpdf
20/10/08 11:07 飛躍的な成長へ向け総額100億円の資金枠確保 主力4行とコミットメントライン契約を締結pdf
20/10/12 12:00 コミットメントライン契約に基づく資金の借入に関するお知らせpdf
東証2部から1部に最近指定替えを果たしたし、自分が証券会社の人間だったら「指定替えで株価が上がっているいまがチャンス。ファイナンスしましょうよ」と営業をかけると思うが果たして、、、、。