新光電気工業(6967)に関するメモ(2)

同社の財務を見てみる。

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ここで見るのは、有利子負債が増えているのか減っているのか、剰余金が増えているのか、減っているのか、自己資本が増加傾向なのか、減少しているのか、自己資本比率が厚くなっているのかどうか、1株純資産が増えているのかどうか、である。

ぱっと見で、前年度と今年度に有利子負債が比率は小さいながらも発生している。剰余金、自己資本は2008.03 の1432億をピークに1300億台をうろうとしていたが、今期に1400億台を回復見込みの様である。自己資本比率は、この2期有利子負債が発生したためか、70%台を切っているがまあ問題ない範囲であろう。問題は、2006.03期に2600台まであった1株純資産がなぜ1000そこそこまで減ったかである。自己資本は1300億~1400億台が続いているので、株式分割などの資本異動があったことが考えられる。資本異動を調べるのは株探では厄介なので四季報を調べる。

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なるほど、2006年の4月に1:3の株式分割をしているわけか。分割後の1株純資産は1/3になる勘定である。2600 / 3 = 867 なので、分割後の2007.03 から900~1000台をうろうろしているのは理屈にあっている。では、なぜ、2007.03から昨年度まで自己資本と1株純資産が増えたり減ったりしているのかというと、自己資本が減るのは赤字があったか、1株純利益よりも高い配当を払ったかだからそこをチェックしよう。

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2009.03と2012.03期が赤字になっている。リーマンショックと東日本大震災の影響か。ただし、赤字になっても無配にはならず、2012.03は前期の配当を維持している。また、2011.03、2017.03、2019.03、2020.03も1株純利益以上の配当を出してその前期の配当を維持している。この履歴から、株主配当を大事にして安易に減配をしない会社であることが窺える。

続いて、キャッシュフローを見よう。

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実に面白い表である。なにが面白いのかというと、財務キャッシュフローがプラスになったのはこの20年間で2020.03の1期だけしかなく、同じ期のフリーキャッシュフローのマイナスがこの20年で最大となっている。また、2020.03期の投資キャッシュフローのマイナスが356億とこの5年間では突出している。投資キャッシュフローがマイナス、財務キャッシュフローが20年で初めてプラス、ということは、製造業の場合大型の設備投資(工場新設など)を借り入れをおこしてやったことが考えられる。昨年度の設備投資の結果が、今期の急改善につながっているのかどうか、そこを調べるのが肝かな。というわけで、決算短信や、四季報、有報などの定性情報をチェックしないと。

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