次々に売却して、次々と買収⁈【リアルワールド・菊池社長】|Vol.370-373
今回は、先月2件の事業譲受を発表したばかりのリアルワールド社・菊池社長にお越しいただきました。
2019年からほとんどの事業を売却し、その後立て続けに買収を行った同社にいったい何があったのか? 冨岡が根掘り葉掘り伺いました。
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■ 菊池 誠晃氏 株式会社リアルワールド 代表取締役社長
1978年生まれ愛媛県出身。大学時代に個人でWEB制作を始め、WEB企画・制作・運用を行うAKURIを立ち上げる。サイバーエージェントにて勤務後、2005年にリアルワールドを設立し代表取締役に就任、2014年9月東証マザーズ上場。2020年11月にはGAFAメディア戦略の一環としてWebメディアの事業譲受を2件実施。(Twitter)
■冨岡 大悟 M&A BANK株式会社-代表取締役/公認会計
KPMG/あずさ監査法人のIPO部、フロンティア・マネジメント株式会社でのM&Aアドバイザー業務を経て、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後にTOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IdeaLink株式会社のCFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員も務める。
【アフィ市場変化への対応】リアルワールド社の大胆で大変な選択とその理由〈No.370〉
菊池代表、今につながる経歴
在学中にWebの受託運営会社を設立
愛媛出身、大学時代にインターネットに出会う
HPを作れる人も少なく企業からの依頼が相次いだ
サイバーエージェントでポイントメディアを立ち上げ
2001年に入社、事業立ち上げを中心に担当
CA社初のオリジナル事業・ポイントメディア『ライフマイル』をオープン
ポイント・クラウドソーシングの2軸を突き詰めるため独立
新規事業立ち上げの環境が変わり、2005年に独立
時間・場所にとらわれない働き方の実現にも取り組み始める
2020年、コーポレートアクションが盛り沢山になった背景とは
ポイントメディアとクラウドソーシングの掛け合わせで上場
ライフマイル買収で、会員が1000万人を超える
会員数を活かし、クラウドソーシング事業も開始
アフィリエイト市場の利益率が低下、身売りを考えることも
出た利益を事業の投資に回していたが、アフィリエイト市場が変化
利益が上がりにくくなり、会社ごとの売却も頭によぎった
1年半かけて、ほとんどの事業を売却することに
2019年春から、買収した事業・利益率の低い事業を次々売却
250人いた従業員も20人弱に
1600万円/月近い泉ガーデンのオフィスも、5年の定借を追えて解約
大変でも、「上場会社を残す」形を選択した
※限定公開…詳細はこちら
【上場企業の事業立ち上げ】買収の意思決定の背景とは〈No.371〉
菊池さんは「ギフト配り」社長?
唯一残したポイント事業に関連するデジタルギフト周知のため
ツイッターで毎日ギフトを配布中
2件の買収を実行、「GAFAメディア戦略」って何ですか?
GAFAすべてからトラフィックを集める
ポイントメディアは19年続いている強いビジネスではあるものの、自分たちで囲い込むだけでなく、GAFAの活用も考える必要があった
ネーミングは飲み屋で⁈
方針転換を分かりやすく示すため、もともとあった「クラウドメディア」とは違う、新しいネーミングが必要だった
GAFAメディア戦略として、2件の買収を実行
買収理由も上場会社ならでは
上場維持に2億円のコストがかかるため、利益を早く出せる事業が必要
ゼロからつくるのではなく買うことに
「事業だけ」買って、自力で伸ばす
責任を持って事業を育てるため、人は引き継がず事業のみを買収
同じ事業態なので業務やビジネスモデルの理解が深く、人数が減った後でも対応はしやすかった
「もっと伸ばせる事業」を狙って買収
小さな組織や個人でできる限界まで伸びているメディアを、さらに伸ばすために買収
日程調整中にも1件買収⁈
11月末にも格安SIM比較メディア「すーちゃんモバイル」の買収を発表
EBITDAの1.5倍の価格で打診して9月末に交渉決裂した案件
2倍で再度交渉し、11月末に成立
政権交代で伸びしろを確信⁈
政権交代で通信料の値下げの可能性が出てきた
掲載する企業を増やすのにいいタイミングだったため、買収を即決
事業立ち上げは波乗りも大事
創業当初、アフィリエイト・ポイントメディアは追い風だった
波が落ち着いた状況で戦う中で、トレンドに乗る重要性を改めて実感
【上場企業ならでは】「売り手に自らアプローチ」を選んだ理由〈No.372〉
漫画大陸買収はダイレクトソーシングで
膨大な数のダイレクトソーシングが背景に
ソーシング部隊が3か月で8000件のサイトにアプローチ
1000件近くと連絡を取り、うち100件ほどと話をした
仲介の利用をやめた理由、聞いていいですか?
仲介の利用をやめ、ダイレクトソーシングにした理由①
いい案件もあったが、どうしても受け身になってしまう
上場会社としてスケジュールをコントロールする必要もあった
仲介の利用をやめ、ダイレクトソーシングにした理由②
着手金・中間手数料だけで数千万円の費用が発生した
「成功報酬」を鵜呑みにしてはいけません
「成功報酬」を鵜呑みにしてはいけません
最終契約・クロージング後に辿りつく前、基本合意段階などで一定金額の支払いを求められることも
著作権を侵害しない形と確認できた
テキストの一部の引用(創作性のない短い台詞)や感想であれば著作権の侵害には当たらないと確認
著作権者の広告効果になる本サイトへの誘導・送客を行うメディアとして運営
テコ入れで事業拡大を実現
属人的だったコンテンツ制作過程をルール化
チェック体制を導入し、コンテンツの量産を可能に
【質問】リリースの気になるところ、つっこんでみました〈No.373〉
子会社リアルXのポイントサービス「Gendama」の譲渡
上場企業の事業売却は難しい
インサイダー情報にならないようにするのが大変
買い手は友達づてで探した
決意してから売却するまで1年かかった
売ろうと思って早々売れるものではない
最初決まっていた相手企業から半年間保留にされ結局探し直す工程があった
ポイントサービス「Gendama」の譲渡背景
①ポイントメディアの利益率の低下・運用負荷の大きさ
②ポイント引当金の潜在負債2億円を活用するため
『新株予約権買取契約:TIP』って何ですか?
11月末に締結した、『TIP(ターゲットイシュープログラム)』とは
目標株価・それに対する新株予約権を設定
到達すると資金調達できる仕組み
『TIP(ターゲットイシュープログラム)』のいいところ
現在の株価ではなく目標の株価で資金調達が可能
インサイダーのリスク、手続き期間(1ヶ月)の長さを解消
今のバリュエーションを超えられる自信があったから
一般的には既存株主に株を売られるリスクがあるが、多くの事業を売却したことで株価がかなり落ちたため、これからの戦略でバリュエーションを上げていける確信はあった
資金が調達できたらM&Aしたいのは…
YMYL以外/運用体系が似ているエンタメ系・通信系
買収する際の評価
EBITDA2倍が目安、営業利益1000万円/月前後が基準
一つの記事への依存度が低いもの
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