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売り手支援のプロに聞く、仲介とFA【ブルームキャピタル・宮崎社長】|Vol.235-338

よくご質問をいただく「FAと仲介の違い」、 同じM&Aの支援者ではありますが、何がどう違うのか、 どちらに頼むべきなのかはなかなかわかりにくいもの。
今回はFA代表、売り手側に特化して支援を行うブルームキャピタルの宮崎さんをお招きし、言いにくい?業界の事情を伺いました。

▶宮崎社長の出演動画 一気見はこちらから◀

■宮崎淳平 株式会社ブルームキャピタル 代表取締役社長
ライブドアグループ、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社社楽にてM&Aアドバイザリー業に従事。その他にもプライベートエクイティ投資案件、資金調達案件、及びファンド組成・運営を多数経験。2012年にブルームキャピタルを創業。同社は会社売却に特化した日本随一のファームとして知られている。『会社売却とバイアウト実務のすべて』著者。

最初のご出演回▶「売り手専門アドバイザー登場」
二度目のご出演回▶「新体制!M&A BANKに「あの方」が顧問として帰ってきてくれました
三度目のご出演回▶「売り手の味方!あの名アドバイザーに聞くM&Aノウハウ②
【特別・長編】▷「成立したばかりのM&Aを振り返るZOOM座談会


 

【M&A支援】売り手専門FAに聞く、仲介とFAの違い〈No.335〉


売り手が仲介に依頼すると、よくないことが多い?


仲介ではなくFAに頼るべきケース

修正後の営業利益が5,000万円以上
成長中で強みを訴求するとEBITDAの5倍以上の価値を訴求できる
信頼できるFAがいる


価格交渉が必要ないなら仲介でも問題ない

営業利益やEBITDAの2~3倍で売れればいい(条件の最大化を希望していない)ケース
純資産が大きく、その点で主に評価されるケース
ハードな交渉をしない、相場で価値をはかりやすいケース

条件をよくしにくいケース、小規模サ―ビスの場合も、買い手が「自分でも作れそう」と思うレベルだと倍率は大きくならない


仲介の目的はマッチング


仲介の仕組み

買い手・売り手両側と契約する(チームを分けている場合もある)
プロのM&Aファンド、銀行・証券会社ではおそらく利益違反のためできないこと


売り手と買い手は利益が相反することがほとんど

一方の利益になることを提案すると、もう一方を不利にしてしまう
例:売り手からすれば多くの買い手に打診したいが、買い手はそれを嫌がる


仲介は売り手に親切にしにくい

買い手は継続顧客になりやすいので、買い手が嫌がることはやりにくい
買い手は売り手より経験があり、知識も豊富な場合が多い
そのため、アドバイスせずに仲介すると、売り手側が不利になることが多い


望ましい買い手にあたってもらえないことも?

買い手の中には仲介契約を嫌ったり、着手金の支払いを嫌がる会社もある
仲介手数料を支払ってくれない会社を紹介するのは仲介者にとってメリットが小さい
結果、適した買い手を紹介されないことも起こる

仲介でも買い手に隠れて売り手にアドバイスしてくれる人はいるが、宮崎さんが仲介をやった時は難しいと感じたそう。



【M&A】その案件、適切なのはFA?それとも仲介?〈No.336〉


FAに頼みたくても頼めない?


実際には仲介に頼るケースの方が多い

FAは売り手のみから手数料を得る分、大きな案件を優先して対応する
高く評価されそうな案件でなければ、仲介に頼むのが現実的?
規模がかなり大きく、買い手が多い場合はFAに頼んだ方がいい


売り手FAはディールの成立に固執しない?

売却価値の最大化交渉・売り手の不利のカバー・交渉プロセスの進行を担ってくれる
ただ、片手からしか手数料をもらわない分、大きなディールしか受けられない
ただ、FAでもダメな人はいるので、FAならいいというわけでもない


大きな案件なら、FAに頼まないと危ない

大きな案件ほど、契約内容の違いによるダメージは大きくなる
細かく、確かな契約交渉ができる人に任せる必要がある
仲介の場合、のまなければいけないリスクが増えるので不安も増えやすい


「買収額が2桁億円以上ならFAがいい」?
宮崎さん的に、FAに依頼する基準は「年間営業利益5000万円以上」
小さな案件なのに「FAにしか頼まない」というのは不適切かも
条件にこだわらず、多少安くする分早く決まるならそれでいい、というケースなら、仲介方式は適合する。



【M&A】本当の仲介報酬の仕組みについて【リアル】〈No.337〉


買い手側の仲介報酬も実質売り手が負担している説


例:会社の価値が30億円と評価された場合

▼買い手側の支払い
仲介報酬:30億円×5%=1.5億円
買収金額=30億円-1.5億円=28.5億円
▼売り手側の支払い
仲介報酬:28.5億円×5%≒1.4億円
(残る金額:27.1億円 ※税別)
▷仲介報酬:計2.9億円


評価額と残額を比較すると、実質売り手が負担してる?

売り手は30億円の価値を持っていたが、残る額は27.1億円
買い手は仲介報酬分、買収対象の価値を下げることでチャラにする
売り手からすれば、売り手が買い手の分も二重に負担する感覚になる
※買い手側にFAが付く場合も同じ


FA/仲介どちらに頼むべき?


FAに頼んだ方が、仲介に頼むより割安?

FAは100%売主側に立ち、かつフィーが半分で済むとも言える
※ただし、手数料は単純に仲介の半分になるわけではない


同じ仲介会社から、買い手と売り手に異なる担当がつくこともあるが…

別の担当やチームがついても、株主が同じなら目指すことは同じなはず
仲介はそれぞれの立場のサポートではなく、マッチングを優先して行動すると言えるのでは

買い手なら仲介に、売り手ならFAに頼るべき?
買い手は、仲介会社からの紹介案件だとより優位に話を進めやすい
売り手なら、できれば自分の味方になってくれやすいFAに頼みたいところ



【M&A仲介・FA】優秀な担当者を見分ける3つの質問〈No.338〉



仲介でもFAでも、大事なのは人 


担当者個人の能力が大きくものを言う

ディールをまとめ上げる力、投げたボールを強引に取りに行く力
気概は大事だが計りにくいもの
せめて、頼れるだけの知識を持っているかをチェックするべき


M&A支援を依頼する人にたずねるべき質問リスト


①「絶対に譲れない条件はどう交渉すべきか?」

→(答)先に提示して、それを承諾しないとディールを進められないようにする


②「表明保証の内容が確定しているとき、売り手側のリスクを限定する4つの方法は?」

→(答)期限の設定、上限金額の設定、下限金額の設定、時効の設定

他にも、「知る限り」「知りうる限り」といった表現での限定や、対象を重要な点のみに絞る方法、DDで知った事実を除く(表明保証ではなく価格に盛り込む方へ誘導する)といった方法でも売り手側リスクの限定が可能。


③「自社の価値をDCF法で計算したシートを見せてほしい」

…ただし、純資産が多くその部分が価値となっているケース、成長段階でないケースではあまり効果はない


プロのFAであれば以下の質問にも回答できるので、確認するとよい

「ベータが0の会社の株主資本コストは無リスク證券と同じでよいか」
「ベータがマイナスの場合はどうなるか」
「割引率を求める際に節税効果を加味するが、WACC上でそれを呼び込む理由は何か」


FAはもちろん、売り手もある程度の知識は持っておくこと

買い手側が出してくる数字や計算が間違っていることも0ではない
特に10億円を超えるディールの場合はそういった指摘ができる人に支援してもらうべき
ロジックが通っていれば、値上がりにつながっても応じる買い手もいる




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