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M&Aと「従業員の反乱」ー実例から学ぶM&Aノウハウ④

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M&Aの現場では実際にどんなトラブルが起こるのか、その乗り切り方、経験者の後悔や反省など……過去の事例を読み解いて得られた教訓を、これからM&Aにのぞむ皆様へお届けする連載です。
貴重な事例と支援ノウハウを教えてくださるのは、売り手支援歴20年のプロ・ブルームキャピタル社の宮崎代表です。

宮崎淳平 株式会社ブルームキャピタル 代表取締役社長
ライブドアグループ、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社社楽にてM&Aアドバイザリー業に従事。その他にもプライベートエクイティ投資案件、資金調達案件、及びファンド組成・運営を多数経験。2012年にブルームキャピタルを創業。同社は会社売却に特化した日本随一のファームとして知られている。『会社売却とバイアウト実務のすべて』著者。
▶M&A BANK出演動画 ①「売り手専門アドバイザー登場」②「新体制!M&A BANKに「あの方」が顧問として帰ってきてくれました」③「売り手の味方!あの名アドバイザーに聞くM&Aノウハウ」④「成立したばかりのM&Aを振り返るZOOM座談会



ディール進行中に対象企業が解体


ーディール進行中のトラブルで印象的だったものはありますか?

以前私が買い手側のアドバイザリーについた案件で、M&A進行中に対象会社(売り手企業)が解体されてしまったことがありましたね。ディール中に役員以下が一気に退職してしまい、M&Aが成り立たなくなったんです。

買い手側としては困りますから、訴訟に発展して最終的に数億円の賠償金を請求することになりました。



ーなぜそんなことになってしまったのでしょうか。

売り手側についていたアドバイザーのM&A経験が豊富ではなかったため、会社の売却について社内に伝える方法について適切にアドバイスできず、執行役員以下に不満を感じさせてしまったのだと思います。
そのため、会社はもぬけの殻になってしまいました。彼らは退職して、同業の新しい会社を作ってしまったんです。


その会社のオーナーは当時50歳くらいで、彼は現場からほとんど離れていました。「社長がいなくても回る」状態というやつです。
オーナーは年齢的に事業承継を考えるようになってM&A事業者に依頼をし、我々はその事業者から案件紹介を受けて、買い手を探すアドバイザーになりました。

我々が現場に訪れた際、その空気感から社長とその他の従業員との関係が親密でないことがわかりました。また、執行役員が経営会議で問題発言をするという話もあり、社長自身も彼らを信用できていないことも伝わってきました。
会社を売却する際には社長とキーマンの関係性は非常に重要ですから、その時点で危うさは感じていました。



ー「社長がいなくても回る」状態でも、大量退職が起こらない会社もありますよね。何が違うのでしょうか。

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