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やれるところまでやりたい。次こそは、不完全燃焼では終わらない――新城悠也さんインタビュー
新城悠也さんは、2017年のオダイバカップにほぼ練習なしで臨んだところからフレスコボール人生がはじまっています。1年間で点数も順位もぐっと上げ、2018年5月のオダイバカップでは男子部門4位。6月のビギナーズカップでは、会社の先輩とペアを組み、準優勝しています。
2018年シーズンも折り返し、日本代表の切符争奪戦も熱くなってきました。その中で、残りの大会で新城さんがどんなプレーを見せてくれるのか、期待は高まります。
高校時代にはサッカーで千葉県の国体メンバーに選ばれ、Jリーグからのオファーも複数受けていたというアスリート。なぜ、それほどの選手がサッカーを辞め、フレスコボールに熱中しているのか。今回はその部分も、詳しく聞きました。
オダイバカップでの芝・斉藤ペアのプレーに、撃ち抜かれた
― フレスコボールと出会ったきっかけは何だったんですか?
新城 きっかけは芝(芝卓史:日本代表)です。会社の飲み友だちだった芝から、2017年の4月中旬くらいに突然、「ゴールデンウィーク、スポーツして飲みませんか?」って言われて、内容も聞かずに「いいよ!飲もう!」って返信しました。それで、少し経ってから、「エントリーしておきますね!」って。オダイバカップ。
― え、もうエントリーですか?(笑)
新城 そうそう。「本番当日GOで行ける感じです」って聞いてたから、そういう感じで行こうと思ってたら、「さすがに1回は練習しませんか?」って言ってきて。僕はサッカーもやってたので、唯一空いてた土曜の午前中2時間だけ練習して、翌週本番。で、177点(笑)。
― 無茶(笑)。いきなり大会に出て、どうでしたか。
新城 ぶっちゃけここで終わるかなって思いました。でも、大会も終盤にかけて盛り上がってくるじゃないですか。特にラスト3ペアぐらいを見たときに、すごい!と思って。最後に誘ってくれた芝がいい感じの西陽を浴びながら出てきて。
芝たちがやる時は、MCの力もあるけど、周りから人が集まってきて、歩いてる人が立ち止まって、みんなかたずをのんで見てるんですよね。そのときに、すごい感動しちゃって。撃ち抜かれた感というか、単純に嫉妬したんです。
周りで泣きながら見ている人もいたし、それを見て、感動してるの俺だけじゃないんだって思って、素直にやりたいなと。あの大会がなかったら、僕は今こんな風にやってないです。
― すごいですね。はじめたばかりの人も大会に出てみると、感じるものがあるっていう。
新城 本当にそうで、あの大会の空気は、大切な営業の場でもあると思う。だから僕にとってお台場カップは特別で、自分の成長のバロメーターになっています。僕が1年間目指してたのは、芝・亮太ペアのそのときの姿というか。みんなに見てもらえるフレスコボールプレーヤーになれたらいいなと思ってました。
「あの時Jリーグを選んでいれば」、と思ったことも・・・
― でも、オダイバカップのあとは、サッカーもあってあまり練習に参加する感じではなかったですよね?
新城 サッカーは、自分が選手兼監督をしてるチームがあって、毎週末試合があったから、その合間をぬってくらいしかできなくて。ペアの諏訪はちょこちょこ練習出て、みんなと仲良くなっていったけど、僕はまだそこに入りきれてなかったですね。
― 新城さんと言えばサッカーの実力者というのは聞いていますが、サッカーはいつからやってたんですか?
新城 最初は小1です。小中は完全に無名で、中学のサッカー部は1回戦で負けるようなチームだったんですけど。ある日突然、高校の有名なチームからお誘いを受けて、舞い上がっちゃって。でも、その時に親と約束したのは、「サッカーで選ぶのは自由だけど、親のすねかじってやるのは高校までにしなさい」って。だから3年間本気でやろうって高校に入学しました。
高校では本気でサッカーをして、Jリーグからも、大学からもお誘いをいくつかいただいてました。でも、選択したのは社会人チームだった。というのは、高3のとき、千葉県の国体メンバーに入ったんですけど、そのときのメンバーの9割ぐらいがJリーガーになってるんですよ。そんな環境に入ったときに、「違う」って。本当のトップの人にはかなわないって、完全に心折れちゃって。
Jリーガーとして食っていけると思えなくて、自信がなくて、「辞めます」と。かといって、大学のサッカー部に行けば、親のすねをかじってやることになるので、その選択肢も切りました。それで、社会人チームで細々と続けてきて。2010年頃からは、正式に監督兼任でチームを受け継いでいました。
― すごいですね……。未練はなかったんですか?
新城 やっぱり、あの時Jリーグを選んでいれば、という気持ちになったこともありました。でもずっと考えてきたのは、「最終的に、Jリーグを選んでいった人よりも、俺の方が正解だった」っていう人生にしたいということ。そのためにはどうしたらいいんだろうっていうのは今も考えてます。
だからこそ、ここ数年、サッカーが第一線でできなくなってきたことがすごく歯がゆくて。体が衰えてきて、ただ下がっていくだけっていうのがわかってる状態で。人ってこういう時に引退するのかなって思ってました。
― そんな中、フレスコボールに出会ったと。
新城 そうです。フレスコボールに出会って、初めてかもしれないです、サッカー以外にハマったの。スポーツに限らず、サッカー以外に何かにハマるってことがなかったので、そんな僕がハマることができたことは感動すら覚えますよ。
惹きつけたものが何かといわれればまだわからない。けど、日本で一番を目指せるスポーツというところでグイってきたものはありました。もうワントライできるっていう。それがタイミングとしてちょうど良かったのかな。
1番下からはじめられて、あとは追い越すだけの「ワクワク感」
― 今年に入ってからは毎週やってますよね。今や7位ですよ。(2018年6月現在)
新城 1年で500点上げましたね。177点から681点(笑)。
― 上げ幅すごい(笑)。
新城 今、成長期だと思ってます。それに、サッカーばかりやってきて、交友関係も広くなかったから、フレスコに来て、こんなに人と友だちになれるんだっていう。そういうレベルです(笑)。本当にサッカーのことしか考えてこなかったから。第2の目標が見つかった感はありますね。
― フレスコボールは、サッカーの時と気持ちは違いますか?
新城 わかりやすく言うと、目線が変わりました。サッカーだと、やっぱりある程度上にいる自分がいて、周りからはできる人として見られて、そこにいなきゃいけない。落ちたら恥、じゃないけど、そういう立ち位置でいたから、居苦しかったところはあって。それで引退を選んだのもあります。
だけど、フレスコに関しては、1番下からはじめられて、まっさらな気持ちで追い越すだけ。後ろには誰もいないっていう楽しさがある。だからそこを全力で楽しみたい気持ちですかね。ワクワク感しかないんじゃないかって。
― ペアの諏訪さんとのエピソードはありますか?
新城 諏訪はなかなか内面を見せなくて、練習でも、闘志は見せないし、勝ちたいとかいうワードは一切出たことがない。そこに関しては僕と気持ちの面でギャップがあるのかなって思ってました。けど、サクラカップが終わった後にそれが変わって。
サクラカップ、男子部門で5位だったんですけど、4位の松浦・山下ペアと1点差だったんですよ。「1点差かー!」って思ってた当日の夜に、5,6人うちに泊まりに来て、みんなでわいわい飲んでました。
そんな中、諏訪だけ2時間ずーっと、自分の動画見てたんですよ。何言ってもずーっと見てて。それ見て、「こいつこんなにフレスコ好きなんだ」って、本当に嬉しかった。「お前、そんなにフレスコ熱あったんだな」って冗談交じりで言ったら、「だって悔しいじゃないですか!」って。初めてあいつから出てきた素直な言葉で、そこは感じるところがありましたね。
― その話いいですね。
新城 内に秘めたものとか、情熱的な気持ちってみんななかなか見えないですよね。でも、インタビューとか見てるとみんな、勝ちたい、真剣にやりたいって言ってて。そういうところはすごく「いいな」と思っていつも読んでます。
― 確かに、日本代表になりたいとか、インタビューすると出てくる人が多いですね。
新城 僕は今フレスコで心がけていることが2つあって。1つは、上を目指していることとか、頑張って上手くなりたいとか、恥ずかしがらずに素直に言うこと。気持ちを全面的に出すのは大事かなという気はしてます。だから、自分がどんなに下手でも声を張って言おうと。
2つ目は、必ず1日の練習のうちに打ったことない人とか、初めて来る人に自分から「打ちましょう」って声をかけていくこと。自分がどんなに練習一直線で、それしか見えてないって時でも、それは心がけてます。
今、自分がある程度上手くなってきたから思ってるのかもしれないけど、「広めたい」っていう気持ちは僕にもあって。こっちから声をかけるって大事なんだろうなって。これは僕自身が感じたこともあったので。
人生のターニングポイントをつくってくれた芝を抜きたい
― 今後の目標は?
新城 今年、日本代表になりたいです。そのために今必死でもがいてるし、そのための努力はします。長期的なところで言うと、やっぱり誘ってくれた時に日本で一番だった芝を抜きたいですね。僕にとっては夢であって、最近やっと目標だと思えるようになったので、次は並んで、あわよくば抜きたい。あんなやつだけど、人生のターニングポイントつくってくれた人ですから。
あと、フレスコはじめて本当に良かったって思うから、広めたいというのはもちろんあります。フレスコボールの人って、みんなすごいと思うんですよ。だって、自分のライバルをつくろうとしてるじゃないですか。誰でも日本代表になれるよって言って(笑)。
― 確かに、ライバル増やしてますね(笑)。
新城 何でこんなに広めようとするんだろうって思いますよね。上手い人に片っ端から人に声かけて、ライバルどんどん増えて、って思うんですけど、でもそこがすごく魅力で、おもしろいスポーツだなって。僕も、楽しいって思うからいくらでも広められるというのはあります。
でも今は競技としても一生懸命やりたい。やれるとこまでやりたいです。今までサッカーも全力でやってきたけど、結果的には不完全燃焼で終わったから、「次こそは」というのは強くあります。それと、このスポーツは生涯スポーツだと思っているので、将来的には夫婦でやったり、家族でやりたいっていうおぼろげな思いも持っています。
― ありがとうございました!
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