2024年4月3日の雑感ーPCE加速は利下げを遠ざけるのかー
前提として
米商務省が発表した2月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比2.5%上昇と、予想と一致しました。1月の2.4%上昇から加速しました。
前月比では0.3%上昇と、予想の0.4%を下回りました。1月は0.4%(改定値)上昇していました。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年同期比2.8%上昇と、予想と一致しました。1月の2.9%上昇(改定値)から減速しました。
前月比では0.3%上昇と、予想と一致しました。1月の0.5%上昇から減速しました。
注目点
米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを判断する上で重視しているのがPCE価格指数ですが、2月の結果は「まちまち」といった印象を受けました。
まずネガティブな面から言及すると、同総合指数が前月比で加速した点です。同指数の加速は5か月ぶりとなります。先のFOMCにて、パウエル議長は「インフレ率は過去1年間で著しく緩和したが、長期目標である2%を依然上回っている。委員会はインフレ率が2%に向けて持続的に低下しているとの確信が深まるまで、目標レンジを引下げることは適切でないと考えている。」と述べていました。したがって、2月のPCE価格指数の加速は、金融政策の緩和を目先行う理由がないことを改めて肯定しています。
一方、ポジティブな面としては、FRBが特に重視する「基調的なインフレ」では、ディスインフレ圧力の継続がみられました。例えば、FRB当局者が「スーパーコア」として注目する住宅・エネルギーを除くPCEサービス上昇率は前月比0.2%上昇と、1月の0.7%上昇から減速しました。そのほか、これまでインフレ圧力として影響が強かった医療費や金融サービスの価格についても、1月から大きく減速していることが確認できました。
これまではサービス価格の上昇がラストマイルを達成するための大きな壁であったことから、今回のスーパーコアが低下した点には注目したいです。さらに重要なのは、スーパーコアが低下するなかでも個人消費支出は前月比0.8%上昇と、1月の0.2%上昇から加速した点です。
(基調的な)ディスインフレが進行するなかでも、個人消費が強いということは、景気後退の可能性が低下、または先送りされるとみることができます。したがって、短期的には「経済が良好に推移している証」とみることができる一方、長期的には「高水準な金融政策の長期化が経済を必要以上に冷まさせる(景気後退を呼び込む)」原因となります。
以上のことから、2月のPCEは米国市場にとって良い面、悪い面「まちまち」だったと考えています。
投資戦略へ影響
2月のPCE指数を経て、目先の資産運用に調整が必要かもしれないと感じました。
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