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<MaaS解体新書>オンデマンド交通 前編(概要編)

こんにちは。MaaSHack編集部の中村です。
今回は「MaaS解体新書」と銘打ちまして、
事業開発的な視点から二回にわたってオンデマンド交通を大解説していきます!

1.そもそもオンデマンド交通とは

まず初めに、オンデマンド交通の概要について解説していきます。
オンデマンド交通とは、利用者の要求(デマンド)に対応して運行する形態の交通サービスのことです。
路線バスとタクシーの間に位置するサービスであり、特に交通空白地などのバス路線が少ないエリアや、コロナ禍における新たな通勤手段として需要が増加しています。
従来はサプライヤーロジックでの運行が主でしたが、オンデマンド交通ではユーザーが望むタイミングで望む場所に来てくれて、望む場所に連れて行ってもらえるようなサービスとなっています。

ちなみに豆知識ですが、「オンデマンド交通」という単語を使う方と「デマンド交通」という単語を使う方がいらっしゃいますが、厳密にはニュアンスが異なります。
"On"という英語の前置詞に「~してすぐに」という意味があるため、”オン”デマンドの方が要求に対して即時性があるニュアンスが追加されます。
最近は要求してからすぐに来てくれるサービスが大半だと思うので、概ね"オン"デマンドサービスですね。逆に、デマンド交通というのは予約制移動サービスの総称ということになります。

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2.なぜ今、オンデマンド交通なのか

さて、なぜ現在オンデマンド交通が注目されているのでしょうか。
それは、「利便性」「補完性」「生産性」の3つの観点から説明することができます。

「利便性」…ユーザー側からすると、移動の出発点も到着点も自由に決めることができるため、極めて利便性の高い交通サービスであると言えます。

「生産性」…タクシーは1組の乗客に対して移動サービスを提供するのに対し、オンデマンド交通では乗り合いで複数組の乗客にサービスを提供するため、事業者の稼働生産性を高めサービス利用料も安く抑えることができます。

つまり、一言でいうとバスとタクシーの間に位置するサービスであるために、タクシーのように自由に移動ルートを選べるが、乗り合い要素によりそこまで料金が高くないというユーザーメリットがあり、既存の公共交通が充足できていない移動ニーズを補完できるサービスであるために、注目されています。

3.オンデマンド交通の分類

ここまでで、オンデマンド交通の概要についてお話して参りました。
とはいえ、ひとえにオンデマンド交通といっても様々なパターンが存在します。
ここでは、カテゴリ別にパターンを紹介し、皆様によりイメージを掴んでいただければと思います。
我々は、オンデマンド交通は大別すると2パターン存在すると考えています。
「社会課題解決型」「事業課題解決型」です。
それぞれについてみていきましょう。


**社会課題解決型
基本的には、地域の移動課題の解決を主としたサービスモデルとなります。
具体的には人口が多い都市部では「渋滞の解消」、過疎化が進んだ地方部では交通サービスの維持・代替などの課題を解決するために事業を展開するイメージです。

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特に、地方部の交通課題は深刻な状況です。
多くの地方部ではStage5に位置しており、この状況が続いてしまうと
公共交通の空白地帯が発生・拡大してしまいます。

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実際、年々地域公共交通への行政負担額は増加しています。

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こういった"移動弱者が生まれてしまう土壌"を解消するために
社会課題解決型のオンデマンド交通の導入が検討されているのです。
導入の課題としてドライバーの高齢化などがありますが、自動運転や地域コミュニティの活用によって解消される見込みもあります。詳細は別の機会にご紹介させていただきます。

実際の社会課題解決型オンデマンド交通の事例としては沖縄県浦添市の”うらちゃんmini”をご紹介させていただきます。
"うらちゃんmini"は2020年11月より実証実験をスタートさせました。
公共交通空白エリアの解消や市民利便性向上、既存の公共交通との連携による相乗効果や各交通事業に与える影響を検証しながら、相互の公共交通の利用を実現するサービスを目指しています。

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**事業課題解決型
こちらは企業・大学などの事業者が持つ移動ニーズに対応するためのサービスです。
近年は"BtoBtoE(Employee)"というワードも生まれつつありますが、
まさにこのタイプです。

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事業者が移動の出発地または目的地となるケースにおいて、同じ出発地または目的地を持つ人々をまとめて移動サービスを提供することによって、事業者としては移動を効率化させてコストカットをすることができます。
元来こういった移動サービスが提供されていない場合においては、ユーザーの移動の選択肢が増えるというメリットも存在します。

具体的な事例としてわかりやすいのは、やはり従業員向けの乗り合い通勤サービスでしょうか。
2020年11月より、KDDI、国際自動車、大和自動車交通、未来シェア、みんなのタクシーは、ニューノーマル時代の通勤スタイル 相乗りタクシーサービス商用化に向け実証実験を実施しています。

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4.まとめ

今回は「<MaaS解体新書> オンデマンド交通 前編」ということで
「そもそもオンデマンド交通とは」という概要を中心にお伝えして参りました。
オンデマンド交通が注目を集めている背景や、どういった方向性で課題を解決するサービスなのかという本質的な提供価値についてご理解いただけたかと思います。
基礎知識の確認も済んだところで、次の私の担当回では「<MaaS解体新書> オンデマンド交通 後編」にてオンデマンド交通のKSFは何か?収益モデルはどうなっているのか?事業開発上のプロジェクト推進ステップは?など、より込み入った事業開発上のお話をして参ります。
ぜひ、noteをフォローいただいて続報をお待ちください!
最後までご覧いただきありがとうございました!

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▼オンデマンド交通の導入サポートについても詳しく紹介しています。
  ぜひDLしてご覧ください。

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<作成者プロフィール>
株式会社リブ・コンサルティング
コンサルタント
中村 仁哉

東京大学法学部卒業後、リブ・コンサルティングに入社
モビリティ業界を主として事業開発・マーケティング系コンサルティングに従事
《主なコンサルティング実績》
MaaS事業開発支援
ヘルスケア新規事業開発・企業支援
SaaS系ベンチャー 事業開発支援
マイクロモビリティメーカー マーケティング戦略策定・実行支援
カーディーラー デジタルマーケティング戦略策定・実行支援

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