フーテンの寅

『男はつらいよ フーテンの寅』(シリーズ3作目)は
寅さんの50あるシリーズの中でも
珍しく 山田洋次以外が監督の作品だ

(ちなみに 別監督の作品は2作しかなく もう一つは4作目の『新・男はつらいよ』)

当時の人が どう感じたかはわからないけど
後から知って 全作品 当たり前のように
ループ再生してきた僕にとっては
(3作目も4作目も 初期の作品なので 違和感のある表現になるが)
なんだか 寅さんのリブート作品 
もしくは カバー曲みたいで とても好きだ

山田洋次色は 少ないかもしれないが
オリジナルに対する 愛は感じる

この『フーテンの寅』で
僕が個人的に 特に素晴らしいと思うシーンは
シリーズ定番の いつもの喧嘩のシーン

この喧嘩をきっかけに
寅は 再び 柴又から旅立っていく

いつものシーンなんだけど
サラッと交わせられる やりとりが
実は とても熱い

寅『おじちゃんは 俺だけ幸せになりゃあ それでいいってのかよ』
おじちゃん『そうよ!そうだよ!』

これ いつもの喧嘩の中で
当たり前のように発せられる台詞なんです

これらの台詞で 寅もおいちゃんも
当然のごとく ヒートアップ
なんなら 博もヒートアップ
そのまま 口喧嘩から 取っ組み合いになり・・・

彼らにとっての
いつも通りの大げんか

このことが 僕には とてもうらやましく感じる

だって こんな台詞
つまりは 彼らにとって なんともないことなんだから
天と地がひっくりかえっても 覆らない 圧倒的な真実というか
だからこそ 当然のように 口から出るし
いつもの喧嘩の火種にもなるし
それを疑う人はいない
そんな世界線の上で 彼らは生きている

誰かの幸せを願って
その思いの強さが原因で 大げんか
ここには 愛憎の愛しかない

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