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旅の扉_journey

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旅行は見知らぬ世界へ接近するひとつの方法だと思います。 旅行体験が、現在を、過去・未来へとつなげるはず。 自分の心にしまっておかず、皆さんと共有できれば嬉しいです。
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#南フランス

【フランス旅行】 『ソーグのひと夏』に思いを馳せるフランス・ドライブ紀行

「#わたしの旅行記」の企画に参加させていただきます。 市の図書館で、とある小説に手が伸びた。タイトルに、なんとなく感情が動いたのだ。 借りて読むと、そこから連想されるフランスの旅を思い浮かべた。 とある小説とは、 ロベール・サバティエ『ソーグのひと夏』(福音館文庫) である。 『ソーグのひと夏』を借りたのはほかでもない、「ソーグ」という音の響きにどこか懐かしさを感じたからである。 なにゆえそう感じたのか。 本を手にしたときには分からなかったのだが、本の末に載っている地

【フランス旅行】 中部フランス・オーヴェルニュ地方、クレルモン=フェランの2日間_1日目(その1)

ドン、という鈍い音がしてま間もなく、ゴーっと呻きをあげキャセイ・パシフィクの機体はしばらく震えた。成田発・香港乗継ぎパリ行きのキャセイ・パシフィック機。窓からは等間隔に配置された灯が後方へと流れて行った。ここがパリ郊外のシャルル・ド・ゴール空港であると認識させるものは、機体がターミナルに繋留されるまで何もなかった。外はまだ闇に包まれているのだ。それもそのはず、予定より1時間早い、まだ早朝の5時になったばかり。空が薄明を帯びてくるにはまだ1時間ほどあるだろう。早い到着だからとい