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アフターイベント「帰りの会」について

みなさまこんにちは。
いよいよ12月に王子小劇場にて上演する『夫婦』の情報をお届けできました。
一年近く準備をしてきて、ようやく、という感じです。

今回の情報公開に併せて、私が作品同様に力を入れているアフターイベント「帰りの会」についてお話させてください。
時間がない方はなぜ帰りの会をやることにしたのかだけでも読んでいっていただけたら嬉しいです。


帰りの会とは?

「帰りの会」は公演をご覧になっていただいたお客様に、終演直後の劇場にて、お茶とお菓子を召し上がっていただきながら気ままに作品を振り返っていただく時間です。

どんなことができるの?

  • 作品について思いの丈を存分にお話いただけます
    よかった!というお声だけでなく、批判のご意見も忌憚なくどうぞ!

  • 劇場内でお茶とお菓子をお召し上がりいただけます
    観劇中は喉カラッカラ、小腹も空きますよね。少しでも潤してから劇場を後にしていただけたら!

  • セットを自由にご覧いただけます
    見ごたえあるセットなのでぜひ隅々まで見てください!

  • 作品について気になったことを演出の廣川に聞くこともできます
    裏話やこぼれ話がついてくるかも・・・✨

どうやったら参加できるの?

「帰りの会」参加チケットをお持ちの方がご参加いただけます
観劇いただいたお客様を対象にしておりますので、ご観劇されていない方のご参加はオススメしません

「帰りの会」参加チケットはどこで購入できるの?

予約サイトで下記のチケットをご選択いただきますとご購入いただけます。

・前売り+「帰りの会」参加チケット
・ふうふ割+「帰りの会」参加チケット
・稽古も一緒に楽しむチケット(序)
・稽古も一緒に楽しむチケット(破)
・稽古も一緒に楽しむチケット(急)
・稽古も一緒に楽しむチケット(序破急) 
・スペシャルチケット
・お弁当差し入れチケット 

なお、事前にご参加予定がなかったお客様の当日飛び込みでのご参加も大歓迎です!!⇐ここ大事!!
劇場で受付をされる際に「帰りの会」参加チケットを追加でご購入いただけますし、上演後に「帰りの会」が始まるタイミングで「帰りの会」参加チケットをご購入いただくことで参加いただけます。

つまり、どんなタイミングでもご参加いただけるのです!!

「帰りの会」参加チケットの特典は?

・「帰りの会」に参加できます
・お茶がついてきます
・お菓子がついてきます
・「帰りの会」限定グッズがついてきます

なぜ「帰りの会」をやることにしたのか

客席内で「ジントニック、プリーズ!」の原体験

私は小学生から観劇という体験をしてきました。
子どものころは夏休みの能楽教室で能を見に行き、当時熱をかけてやっていたクラシックバレエのプロの公演を見に行き、と、割とクラシックなものを見てきました。
クラシックバレエを習っていた教室の先輩が黒柳徹子さん主演の『幸せの背くらべ』に出演されたので、みんなで見に行ったのがストレートプレイを見た最初だと記憶しています。

高校に入ると、友人が観劇を趣味にしていたので、そこにくっついていって、NODA MAPを知り、蜷川さんを知り、歌舞伎を見て、劇団四季をみて、劇団☆新感線を知ったという流れでいくつもの作品を見ていました。

どの劇場でも基本的に上演前にスタバでお茶して、開場時間になったら劇場に行って、終演したら帰宅するという流れでした。

歌舞伎でお弁当をいただける席があることは知っていましたが、その席以外でご飯を食べたり、お茶を飲むことはなかったし、そういう行為をしていたら注意されるような時代でした。(今でも蓋付きの飲み物以外はだめか・・・)

そんな時代に、まだこの世界に足を踏み入れる前の大学生の私はブロードウェイに芝居を見に行きました。

そこでは、客席内にバーがあって、お酒飲みながら塩味のカシューナッツを食べている外国人がいました。
なんなら主演の女優さんのここぞ!という見せ場で、「ジントニック、プリーズ!」と注文していました

まずもって客席内にバーがあることがカルチャーショックだったし、まして上演中にお客さんが飲み物を頼んでいるその自由さにもカルチャーショックでした。

このくらいおしゃれなバーだった記憶

日本に戻ってきて、客席にも、もっといえば劇場にもバーがない景色をみて、「ジントニック、プリーズ!」は一体何だったんだろうと反芻したことも数回ありました。
でもね、すぐ忘れちゃったんですよ・・・

シアターカフェの衝撃

それからしばらくして、私自身演劇の世界に足を踏み入れて、作品のことを気にすることは増えたけど、劇場の機能について気にすることは減っていました。

開演前にトイレに行って、作品を見て、終わったら作品について考えながら帰る。時にはSNSに感想を呟いてみる
そんな観劇ルーティンでした。

ところが30歳くらいのころにふとドイツに芝居を見に行くチャンスが回ってきました
アメリカのブロードウェイは行ったことがあったし、イギリスのウエスト・エンドの存在は知っていたけど、ヨーロッパに思いを馳せることはありませんでした。

ドイツ??? ドイツの演劇って全然知らない。

知らないならチャンスだし行ってみようと、ドイツの地に降り立ちました。

ドイツと言えばここ
THE ALFEEさんがここで演奏していたのかっこよかったな

ベルリナー・アンサンブルやドイツ座、シャウビューネで連日違う作品を見て回って、毎日「なんじゃドイツの演劇!!! やってることクレイジー! 日本で見たことない自由さ!!!」って脳みそがグワングワンして、自分の知らない芸術の扉を教えてもらった気になってたんです。

と同時にシャウビューネの劇場がめちゃめちゃ気になって。

チケットカウンターから舞台に行く間にカフェがあって。
そこで開演までの時間を過ごしている人がたくさんいて。

で、驚きなのは、終演後そこでまた時間を過ごしているんですよ!
カフェでザワークラウトつまみながら、ビール片手に楽しそうに作品を見た話をしているんです。
みんなニコニコしてて、口角泡を飛ばしながら、時に渋い顔をしながら、作品について話しているんです。

まじか!!!!

この衝撃はすごくて。劇場って終演後すぐに帰る場所だと思ってたけど、ドイツの現地の人にとってはずっといる場所で。
そんなことあっていいんだ!って思いました。

みんながふらっと芝居を見に来て、それを介在させて一緒に来た人とお喋りして。

確かに私もだれかと一緒に作品をみたら、そのあとご飯食べながら感想を言い合って、自分が気づかなかったことに気づいたり納得したり、疑問に思ったりしながら、その作品から受けた影響を流さずに体に染み込ませていたなと思いました。

帰国後、シアター風姿花伝のスタッフをしている方とお話するチャンスがあって、その方が、

ヨーロッパではカフェだけでなくて、レストランも併設してて、チケットを予約すると予約完了メールにレストランの予約の案内が来たりするんだよ

と教えてくれて、ドイツで感じた衝撃がもっと体中を駆け巡りました。

「演劇を見に行く」が単体じゃなくて、日常の延長線上なんだ

と思って。すごく羨ましくて。
感覚として、演劇を見に行くって特殊な趣味と思われていると思うんです。映画は見に行くけど、ドラマは見るけど、舞台は見ないってかなり多い気がしていて。

私は演劇に救われた人間なので、演劇の可能性を信じていて。
でもそんなに世の中の人は演劇に興味ないって事実に何度も頭をもたげて来たことがあって。
だから、もっと観て貰うだけじゃないやり方で演劇に触れる機会を増やしたいなと思っていて。

シアターカフェって、その触れる機会のおっきいひとつなんじゃないかと思いました。

ちなみに、シアター風姿花伝さんはその後劇場の1階にカフェを併設され、劇場として演劇を届けるだけじゃなく、コーヒーを届けることでコミュニケーションの場を創設されています。

『こどものじかん the Children's Hour』リーディング公演の交流会を経て

誰かと作品を分け合えたら幸せなんじゃないか?

自分の体験と見聞きした話を受けて、ヨーロッパで行われていることは、「演劇が人々の生活に根付く」ことに役立っているのでは?と強く感じています。

観劇をして、おしゃべりをして、もう一つ持ち帰るものが多くなって帰っていく。
一人で見ていたのではなく、いつの間にか”誰か”といっしょに見ていた。

みんなが見たものを通して相手と向き合う。
見たものを通して自分と向き合う、他者と向き合う。

それってとってもリッチな体験だなって思うんです。

リッチな体験を私もしてみたいな〜とずっと思っていました。

いざ、自分が主催者となって公演をやるとなった時に、「その場でしか集まれない」というめっちゃアナログな部分をもっと豊かな時間にしてお客様にお返ししたい。そういう場所を作りたいとつよく願いました。

そして誕生したのが”交流会”です。

作品を見終わった後に作品についてみんなで話してみる=交流会

リーディング公演上演後にご観劇いただいたお客様と私で作品を聞いた感想からお話をはじめ、時代背景や、そこから考えたことなどをシェアしていただく時間を設けました。

SNSで告知したときの画像

交流会という仕組みはほとんどほかの団体さんでは見たことがなかったので、お客様に受け入れられるのか不安だったのですが、予想に反して多数のお客様(=ご覧頂いたお客様の6割くらい!!)が残ってくださり、作品について多様な感想をくださいました。

感想を言う方だけでなく、感想を聞く方だけの方もいらっしゃり、
作品を介して人が集う
という求めていた場を作ることができました。

みなさん、ご自身の意見をどんどん言語化してくださって、作品がその方にとって染み渡る土壌を作ってから会場を去ってくださる様子がとても嬉しかったし、中には交流会でたまたま意見が重なり、そこから連絡先を交換してお話するようになったという方まで出現しました。

コミュニティとしてひとつの成果が出たと思います。

だからこそ、一過性のものにしたくなくて、お客様が感じたものとより持ち帰りやすくするためにも交流会は形をブラッシュアップしながら残したいなと考えていました。

交流会+シアターカフェ=帰りの会

そういうわけで、みなさんが見たものを言語化したり、他の人の感想を聞くことで作品を通して交流したこととシアターカフェでの作品を介したゆるやかな時間が掛け合わされたらもっといいのでは?

そう思い「帰りの会」を開催することにしました。

「帰りの会」という名前

小学校の頃授業の最後に「帰りの会」というのがあった記憶があって。
その日の出来事を振り返ったり、明日に向けての話をする時間があった気がしていて、ちょっとだけでもその日の出来事を振り返ることは大切だったんじゃないかと思いました。

そこから拝借して「帰りの会」という名前をつけました。
可愛らしい音でもあるので気に入っています。


気持ちがありすぎて長い事書き連ねてしまいましたが、あまり深いことを考えずに、ちょっとお茶のもっかな?の気持ちでご参加いただけたら嬉しいです!

参加したことで見えてくるものはたくさんあるはず。

ご観劇後、あなたの姿を「帰りの会」でみれたら嬉しいです。

それでは、劇場でお待ちしています〜!

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