24/25 Chelsea FC 新加入選手紹介①Tosin Adarabioyo
はじめに
23/24プレミアリーグの全コンペティションが終了してはや数週間。感情のジェットコースターは富士急の高飛車よりも、あるいは志摩スペイン村のピレネーよりも激しいものだったと思います。
興奮冷めやらぬまま一限に出席した第12節Hシティ戦。クソみたいなクリスマスイブになった第18節Aウルブズ戦。最高の気分で運転免許を取りに行くことが出来た第31節Hユナイテッド戦。そしてチアゴシウバとのお別れ最終節Hボーンマス戦。
終わってみれば本当に楽しくて、だからこそ寂しくて。チェルシーがもっと大好きになった10ヶ月間でした。
そんなこんなであっという間に移籍市場がスタート。新監督は誰になる?から始まった今夏の移籍市場。毎日情報が錯綜し、寝て起きたら昨日とは状況が違うなんてこともしばしば。チェルシーってこんなクラブだったな…と日々感じるところです。
さて、日夜を問わず飛び出る移籍市場の噂に踊り、踊らされている皆さま。
はじめまして、が最も適した挨拶でしょうか。申し遅れましたが当note筆者、名をぽっせと申します。(この素っ頓狂な名前は湯婆婆につけてもらいました。詳しくは『湯婆婆命名チャレンジ』で検索)
移籍市場って本当に面白いですよね。試合と同じくらい大好きです。例え嘘だとわかっていても踊る、それが移籍期間の醍醐味なのではないでしょうか。
筆者も噂が出た選手の出ている試合を観たり、噂は出ていないけれどチェルシーに合いそうな選手を探してみたりと、毎日楽しくオフシーズンを満喫中。意外とロマーノHWGから公式リリースまで長いの、あるあるです。
といった感じでアイスブレイク()も手短にして、早速本題に入っていきたいと思います。皆さんもご存知の通り、マレスカチェルシーの記念すべき補強第一号はフラムから加入のトシン・アダラバイヨ(Tosin Adarabioyo)選手です!
筆者にとって初めてのnote執筆となる今回の記事は、そんな彼について筆者なりの視点から紹介していきます。恐らくとんでもない駄文ですが、おおらかな心持ちで最後まで読んで頂けたら幸いです。
基本情報・経歴
ここの項目はサラッと。
イングランド国籍を持つアダラバイヨは1997年9月24日生まれの26歳。世間一般では中堅と呼ばれるお年頃。でも今後補強戦略に大きな変化がなければ、24/25チェルシーでは年長者の部類に入ると思われます(普通に考えたらおかしいよ)。
恐らくですが、フロントもベテランとしての振る舞いを期待して獲得したのでは…と。まあ退団したチアゴ御大が残していった言葉とは少し乖離がありつつも、Blue Co.としてはかなりの方針転換かな?とも受け取れますね。
また、アダラバイヨはスラッとした体躯でありながら身長は196cmと現チェルシー所属のCBの中で最もサイズがあります。筆者的にはCBなんてデカければデカいほど助かります。
そして怪我も"比較的"少ないです。ここ数シーズンの野戦病院具合を見てると尚更助かる〜。ここもフロントが目をつけたポイントだろうと容易に予想がつきますよね。
あとはちゃっかり足も速かったりします。22/23シーズン、プレミアリーグ最速CBの名を手にしました。CBなんて足が速ければ速いほどいいですからね。
そんな彼はEDS出身。パーマーやラヴィアの先輩です。主にユースアカデミーの方で鍛錬を積みながら、18/19シーズンはウェストブロムへ、19/20シーズンはブラックバーンへとドライローンしていきます。
結局シティではポジションを掴めず、20/21シーズンに£1.65m(transfermarkt参照)でフラムへと完全移籍。在籍した4シーズンではプレミア、チャンピオンシップを通じて計120試合弱に出場しました(プレータイムなどは各自でご確認して頂けると…)。
肝心の実力面についてですが、現地で高い評価を得たり、昨冬スパーズが獲得に執着した事実が物語ります。そして今夏も複数のクラブがアプローチ。最終的には彼を巡ったチェルシーとニューカッスルの一騎打ちが勃発しました。一時期はニューカッスル優勢かと思われましたが、結果はご存知の通り。チェルシーにフリーで加入し、今に至ります。
プレースタイル
このセクションがほぼ本編です。きっとこの記事を見てくれている方もここ目的の方が多いんじゃないでしょうか。
シーズン通してアダラバイヨを観てきた訳ではないですが、そこそこの試合数を視聴して自分なりに彼のプレーのキーセンテンスを解釈してきました。それが少しでも伝われば嬉しいです。
データで見るアダラバイヨ
データ、それは昨今のサッカー界で最も重要視されているもの。そう言っても過言ではないように思います。よくiPad使ったりAirPods着けたりしてる監督やコーチ見ますよね。
と言うわけで、まずは23/24シーズンのアダラバイヨをデータの面から見ていきます。
ぱっと見で目につく長所は空中戦でしょう。196cmの巨体を生かした空中戦は迫力も勝率も抜群です。
このデータも踏まえつつ以降のセクションを読んで頂ければ、さらに理解が深まると思うのでぜひ…
似ている選手
筆者がアダラバイヨのプレーする姿を見て最初に思ったこと、それは「ジェネリックファンダイク!?」です。そう、ジェネリックファンダイク。中華ファンダイクとも言うかも。
「ちょっと大きく出過ぎじゃない?」と思ったそこのあなた。筆者も多少は自覚がありますが、そう思うのにも理由はあるわけで。
まず目を惹かれるのが立ち姿です。身体に一本の棒が入ってるとでも言うんですかね?デカいだけでも目立つのに、凛としていてとても知性を感じます。
次の理由はボールの運び方。スピードを上げすぎず、常に上体を起こしたままキャリーします。「止まってパスコース探すな!運べ!」ってよくコーチに言われる、アレです。
そして最後は守備時の振る舞いです。詳細は後述のセクションにて。
といった感じです。ちなみにデータで比較すると、以下の通り。
今季のフラムが標榜するサッカー上、Fwd Passの割合がかなり劣るのは無視。
それ以外はDuelの項目以外、似たか寄ったかの数値を記録していました(Duelの数値がここまで低い原因についても後述のヘッディングで)。
保持面
最初にざっくり言っておくと、当セクション最初のヘッディングコンテンツからも推測できるように、アダラバイヨはボール扱いが安定していて組み立て意識も高いです。EDSありがとう。
マレスカが彼にどこの位置でどんなタスクを渡すのか、まだハッキリとは分かりません。しかしながら、もし今季のレスターのスタイル(433→325可変)をそのまま踏襲するとしたら、彼には今季のヴェスターゴーアのような3-5(CB-CCB)のタスクを与えることが予想されます。
主に最終ラインでセンターレーンに陣取り、ラインコントロールをしながらコンダクターとしても振る舞うこのタスク。ここで重要になってくるのがボールの置き所です。
これは全ポジション通じて言えることですが、世界トップレベルともなるとボール1つ分置き場所が違うだけでパスコースが増えたり減ったりします。特に最終ラインからコンダクターになることが求められるこの役割では、ここを疎かにするわけにはいきません。
さて、アダラバイヨはどうでしょうか。まず彼の特徴の一つとして、ボールタッチの柔らかさが挙げられます。巨漢CBって何となくボールタッチ固いイメージありませんか?それに当てはまらないのがアダラバイヨです。置くべきところにキッチリとボールを置くことが出来ます。
基本的に置き所を間違えず、逆足を使う意識も水準以上。さらに常にルックアップしながらキャリーできるのでマレスカが渡すであろうタスクも十二分にこなせるのではないでしょうか。
また、ポジショナルプレーを軸としたポゼッションを標榜するマレスカのチームにおいて、避けては通れないのが立ち位置の問題です(ポゼッション=ポジショナルプレーではないですが)。立ち位置一つでフットボールは劇的に変化します。ここは全プレイヤーが拘るべきところだと思っています。
さて、先述のようなタスクをアダラバイヨがこなしてチーム全体が押し込みフェーズに入った時、彼に求められるのが一旦後ろに下げてやり直す「逃げ道」の役割です。
逃げ道といってもただ後ろにいるだけではいけません。今季のアダラバイヨのプレー振りからは、押し込み時にしっかりと角度を作りながら逃げ道を作ろうとする意識が強く感じられます(フラムの戦術ではGKに組み立てをあまり求めていない影響で、GKまで下げた時の角度付けはあまり見られませんでした。マレスカはここに関してかなり求めることが予想されますが、多分出来るはず)。恐らくEDSで叩き込まれたからだと思いますが、基本的に保持時の振る舞いにそこまで不満はありません。
不安要素を挙げるとすれば、観ていて「うおっ…」と思わず声が出るような結構チャレンジングなプレー選択をすることでしょうか。今季はやたら楔が引っかかってあわや被カウンターで数的同数に…みたいなシーンも一定数見受けられます。
監督の指示や味方の立ち位置の問題もあったかもしれませんし、前進意識の高さの裏返しと捉えることも出来ますが、ここはセーフティーにプレーして欲しいところ。難しいことを承知で言いますが、リスクを冒すか冒さないかの判断の部分は個人戦術単位で出来るようになって欲しいです。特に後ろの選手には。
非保持面
アダラバイヨの獲得はチアゴ退団に伴うものと断定すると(前々からチアゴ依存からの脱却を図るべきだと言われてきてはいましたが)、フロントが彼に求めるのは前任者がやっていたような「経験に裏打ちされたリーダーシップの発揮」ではないでしょうか。
流石に前任者ほどの流麗さと圧倒的さはないですし、いきなりそこのレベルを求めるのは酷です。しかしながらアダラバイヨはフロントの期待に十分応えることは可能な選手だと、筆者は自信を持って言うことが出来ます。
その根拠は一度彼のプレーに注目して試合を観てみればすぐに分かるはず。ボールウォッチャーにならずにこまめに首を振って周囲の状況を把握。そして他の選手にジェスチャーも合わせつつ指示を出す…と結構当たり前のことですが、意外と今季のチェルシー所属の選手でこれが出来ていた選手ってあんまいなかっんじゃないでしょうか。自ら発信するタイプの選手はいるだけで。
自分のマークする選手との一対一だけに集中するのではなく、周りの選手も巻き込みながら組織的に守備をする。この"当たり前"の中心に立てる選手がフリーで加入してきてくれたのは、来季のチェルシーにかなり大きなアドだと思います。
また、筆者がアダラバイヨのいい部分だな〜と思うのが、クロスを入れられる時の身体の向きです。相手選手とゴールの間に立ちつつ、マークする選手とボールとを同時に見られるように身体の向きをちゃんと変えられます。基本に忠実!偉いぞアダラバイヨ!
そんなんプロだから当たり前だろ…と思う方もいるかもしれませんが、意外とできてない選手いっぱいいます。育成年代の指導方法の違いかもしれませんが、相手を手で捕まえるタイプの選手も結構いて面白いので、ぜひ今度そこにも注目して試合を観てみてください。
しかし現状だとちょ〜っと看過できない問題も一つあるのも事実。それが先に示したデータからも見て取れる、「地上戦の弱さ」です。シンプルに当たり負けするのではなく、その原因は最後の「詰めの甘さ」とでも言うんでしょうか。なぜだか最後だけ緩慢になって、ひっくり返されたり突破されたりする。そんなシーンが散見されました。
これやられると結構イライラしますよね。蝶野正洋だったらビンタしてます。ここら辺の"軽さ"はマレスカの指導の下で改善して欲しいところ。より頼れる守備者になって欲しいです。頼むぞアダラバイヨ。
総評
さて、ここまでかなり端折ってではありますが、アダラバイヨってどんな選手?をテーマに筆を進めてきました。改めて彼のプレーの特徴をまとめてみると
ストロング
高いフィジカルスペック
水準以上のボール扱いと堅実なポジショニング
前進意識(諸刃の刃でもある)
基本に忠実な守備対応
ウィーク
時折見せる詰めの甘さ
といった感じでしょうか。この選手をフリーで獲得できたのは結構大きいと思います。
ストロング:ウィークの割合ミスってるかもしれませんが、目に余る欠点がいくつもある選手ではないはずです。あと第一印象って大事だし!そういうことにしておいてください()
以上、24/25シーズンの最初の新加入選手トシン・アダラバイヨについての紹介記事でした。このような形で自らの考えを発信するのは筆者にとって初めての試み。読みにくく稚拙な文章だったとは思いますが、ここまで読み進めていただき本っっっ当にありがとうございます。
例え評判が悪くても、今夏の新加入選手は全員このようなnoteを出す予定です。次に投稿することになる選手は誰なのか。また新たな記事が公開された暁には、また何卒よろしくお願いします…
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