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スピッツ「空も飛べるはず」の個人的な解釈

スピッツの名曲「空も飛べるはず」の歌詞について、自分はこう感じます。という文章を書きます。
歌詞解釈はあまり粋じゃないように思いますが、こういう捉え方をしている記事がなかったので、公開することにしました。

歌詞↓


結論から申し上げますと、この曲は「音楽で売れることに対するあこがれと、君の存在」について歌った曲だと僕は思っています。

そう感じる理由について書いていきます。

まず、背景として「空も飛べるはず」がリリースされる前のスピッツはいわゆるブレイク前夜の状態で、おそらく草野さん自身「売れなくては」というようなプレッシャーがあったと思うのです。

その点を踏まえて歌詞を見ていきます。

幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて

https://www.uta-net.com/song/5344/

「幼い微熱」というのは音楽に対する情熱のことだと僕は感じます。たとえば正しい道のひとつとされる会社勤めをして出世してゆくのではなく、他人からみたらある種「幼く」映る夢を追いかける情熱、それが「幼い微熱」だと思うのです。
そして「神様の影を恐れて」というフレーズ。私はこれを神様=絶対的なもの、と捉えました。たとえばいずれ訪れる「死」あるいは「バンドを続けられなくなる」ような状況がちらついて恐ろしい、というようなことを歌っているのではないかと感じます。

隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた

https://www.uta-net.com/song/5344/

続く「隠したナイフが似合わない僕」というのも「決して表には出さないものの、心の奥底で燃えている、たとえば怒りや不満」が似合わない自分自身のことを表現している(草野さんが自身を卑下するような表現ですね)のではないでしょうか。そんな自身を下げるような自身のない「僕」を「君」がおどけた歌でなぐさめた、というフレーズだと感じます。

色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて

https://www.uta-net.com/song/5344/

この部分は特にこの曲のメッセージが強く出ていると思います。
音楽業界に揉まれ、リスナーのニーズも分からず削られてゆく中で自分自身が色褪せ、ひび割れ、そんな中で希望を求めてゆく、そんな一節だと思います。

そしてサビがやってきます。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる きっと今は自由に空も飛べるはず

https://www.uta-net.com/song/5344/


「自由に空も飛べるはず」というのはあらゆるしがらみから解き放たれて自由になれる、と解釈することができるかと思います。
「君」と出会ったことによって、プレッシャーから逃れた状態で「きっと」輝くすべを手に入れることができるというようなイメージを抱いています。

夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい

https://www.uta-net.com/song/5344/

ですが、完全に有頂天になっているわけではなく「売れる」という「夢」を濡らしてしまうほど悲しくて流した涙が「海原へ流れたら」、つまり母なる海へと還ったら(この部分は夢が潰えたら、といったところでしょうか)「君」に「ずっとそばで笑っていてほしい」これは愛の告白ですね。ある意味エゴイスティックでもありますが、こういうナイーブな心境をひねくれつつ歌うところが好きです。

切り札にしてた見えすいた嘘は 満月の夜にやぶいた
はかなく揺れる 髪のにおいで 深い眠りから覚めて

https://www.uta-net.com/song/5344/

「見え透いた嘘」というのは売れないことに対する、本心ではない言い訳のことではないかな、と感じます。ここの部分の解釈にはちょっと自信がないのですが……(だって、草野さんは常に音楽に全力で向き合っていると思うからです)もしくは、本作以前の楽曲では歌詞に「嘘」があり、それを売れるための切り札にしていた……という感じでしょうかね。

このセクションはその「嘘」を「やぶいた」ことと、「深い眠りから覚め」たことによって虚勢を張ったりせずに等身大の自分で戦っていくぞ、という意思表明めいたものだと感じます。

ゴミできらめく世界が 僕たちを拒んでも
ずっとそばで笑っていてほしい

https://www.uta-net.com/song/5344/

「ゴミ」というのはなかなか解釈が難しいのですが、僕個人は「ろくでもないものであふれる世界」から僕たちが拒絶されてしまっても、という風に捉えています。夢を捨てきれず、結局消耗してしまってこのろくでもない世界から除け者にされたとしても君とふたりきりでいたい、そして、笑っていてほしい。そういうメッセージに聞こえます。


と、非常に個人的な感想なので「それはちょっと違うんじゃないの~?」と思われる方もいらっしゃるかとは存じますが、そういう捉え方もあるんじゃないかなあ、という意見表明としてこの記事を書きました。


おわり

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