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深紅のチャイナドレスを着たのなら
『上海女子図鑑』を視聴。
感動してしまった、、いや、良すぎた。
『北京女子図鑑』の華やかな容姿を武器にできるタイプの主人公と対照的に
整形なしのナチュラルな美しさを持つ上海主人公。
始まりこそ地味ですが、男に全く媚びず頼らず(だがモテる)自分の力を信じて直進する生き方が本っっっっっ当に素敵だった。
日本のトレンディドラマ以外でドラマにわくわく出来たのは何億年振りだろうか。
今の日本ドラマにはない互いの価値観をぶつけ合うガチンコ喧嘩の時の台詞回しがめちゃくちゃ良い!
上海女子の
どんな金持ちのおっさんに言い寄られても媚びない姿勢を見習いたい!
さて、この『北京/上海女子図鑑』は共に日本の「東京女子図鑑」を手本にして作られたドラマ―・・なのだけど何せ舞台は中国。スケールが大きい!
東京―とは全く違うものとして楽しむのが良いかと。
ちなみに北京女子図鑑は、東京―に寄せて作られている。
今回私が激推しする上海女子に比べるとやや軽薄な印象を持つかもしれないが、個人的にはどちらも違った楽しみ方が出来る。(2つの物語が交錯する場面もあったり)
両物語ともテーマは東京―とほぼ同じ、
首都、都会で生きることを選んだ地方出身の女子の20代から30代後半までを描いた物語。
とはいえ偽ブランドバッグ、整形、など中国ならではのエピソードが散りばめられている。以下私が気に入った部分を書き連ねる。
まず、不動産!!!
北京/上海共に物語の裏テーマでもある不動産!
(両物語共、持つべきものは不動産に精通した友人!)
映像内の家の造りや間取りがいつも気になって仕方のない私ですが、
両物語に登場するマンションの造りがもうめちゃくちゃ良いのですよ。
特に上海―、の鍵になった主人公が1人で初めて借りた部屋!
ここは物語のシンボルにもなる部屋ですが、古い石造りのベランダが素敵過ぎる!
同じく上海、主人公の有能上司スカーレットさんが、若い恋人と結婚後に幸せそうに暮らすマンション。
おそらく彼女にとってはややこじんまりしたサイズ感だと思われますが、このマンションがわたくし一番気に入りました。
窓枠から見渡す景色、歴史的な建物や緑!素晴らしい!
北京/上海共に
主人公が住む2つ目の部屋で既に、日本の新婚一般家庭であればそこそこ満足しそうな一室という演出。だが物語上、彼女らは更に上を目指す、
こんな中途半端な住まいで人生の歩みを止めるには早すぎんだろバーロー、と。
さすが当時のび盛りの中国。
(国の声ごと代弁するような気持ちの投影がうまい)
そしてこの『不動産』は物語上最も強力な有形資産であり、カップルの未来を左右するほどの効力を持つ。
上海―主人公は不動産における価値観の違いで2人もの相手との結婚を見送り、
北京ー主人公は、お金持ちの恋人の愛を不動産で計り、
結局北京戸籍目当てで別の相手と結婚するも、家を持つ際に名義をどうするかで義理の両親と揉め、離婚にまで至っている。
不動産の如何で2人の未来が決まると言っても過言ではない。
別枠として
上海主人公が仕事で、新築マンションの広告イメージとして提案し評価された
『鳳凰を招き、巣箱を作る』
というコピーも印象的だった。
マンションポエム風に訳すなら
『鳳凰の住まう煌めきの頂点』みたいな感じか()
いずれにせよ「鳳凰」を違和感なく使える中国、よい。良いぞ。
しかし不動産にばかり気を取られていもいられない。とにかく見所がありすぎる。
上海、北京共に
30代中盤/2015年位から大きな変化が見て取れる。
若者達がスマホでアプリゲームをしている。
フォロワーの数を誇る若者が謎にドヤりはじめる。(そう、インフルエンサーの台頭だ)
特に上海―主人公はそういった時代の曲がり角をもきれいに乗りこなしてゆく様子が鮮やかに描かれていた。
また、早い段階でエンジニア男性を物語に出し、違和感なくアプリゲームのエピソードを恋愛に絡めてゆく描き方も見事だった。
このドラマが中国の女性にとって現実的か非現実的かはそう問題ではない。
画面の中の世界が作り物だということは誰もが知っている。
きっと日本の80年代のドラマがそうであったように、
人の夢の乗った状態を見せることに意義や役割があるのだと思う。
『上海女子図鑑』の主人公の言葉には心から共感出来た。
以下、彼女の言葉を借りて締める。
「ゲームみたいにチートなしでステージクリアしたい。その過程を楽しみたい。」
結婚をしてもしなくても誰といても
いつでも
『自由で独立した魂でありたい。』
作り物のストーリーでもかまわない。気持ちが動いてしまった心に嘘はつけない。
私は私の夢を乗せる。