ちいここ下甑島ツアー4日目(2024/8/29)
さてお久しぶりです。
8/29、元々帰る予定だった日になってしまいましたが、バッチリ避難中です笑
夜トイレに行ったら一瞬停電してびっくりしたのですが、朝起きるとバッチリ電気が止まってしまっていました。エアコンも扇風機もつけられなくて、暑い。
お腹が空いたのでご飯に!昨日の残りとメロンをいただき、悪くなってしまうからとさつま揚げも焼いていただきました。
簡易フライパン(キャンプ用らしいです)を用意していただいて。じゅーじゅーと美味しそうな音を立てていました...!
さつま揚げは、お魚のすり身と米粉(小麦粉)などなどを混ぜて、基本は揚げますが焼いてつくることもあるんだとか。
大好物なので家で作れるようになりたいものですね。
そうこうしているうちに風も大分落ち着いてきたので、家に帰ることに。
しっかり片付け、掃除をして、一旦帰宅。
帰ったはいいものの電気が付かず、やっぱり暑い。行ったメンバー4人で恋バナをしました。知らなかったことがたくさん知れたし、盛り上がって楽しかったです笑
お昼ごはんは持ち寄った食べ物の残りをいただいて、その後13:00ごろから手打診療所の見学に行かせていただけることになりました。
手打診療所では24時間365日診療を行っており、入院の病床は全部で19床、そのうち5-10床ほど賀埋まっているのが基本なんだとか。
職員は30人ほど、そのうち医師が2名、看護師が15名だそうです。
事務の方はいらっしゃいますが、技師さんはいらっしゃらないので、医療的資源の管理や血液検査などを看護師が担っているそうで、その仕事の広さが特徴だそう。
月に2回、月火水の3日に渡って、本土から支援の先生がきてくださるそう。離島の支援をすることにより国からもらえるお金が上がるそう。島にいるお医者さんからしても、本土から働きにくるお医者さんからしても嬉しい制度になっているんだとか。
病棟はまだ面会制限が残っているそう。2階が病棟と透析室になっていました。
月に1回の頻度で、救急シュミレーションを行われているそうで、この制度が開始されてから、急変の方の心拍再開が増えたんだとか。
こういった勉強会やお互いの知識の共有が、実際に診療成績をあげているというのは素敵なことだと思いました。
島での救急対応について詳しくお話を伺いましたが、本当に大変…
何か急なことがあって、診療所では対応できないような患者さんは、鹿児島市立病院というところに送ることになっています。
鹿児島市立病院までは、日中のみ出ているドクターヘリで20分。こちらは、患者さんの負担もほぼないので、基本はこれを選択。
夜間は、船+本土移動で2時間ほど。
費用は患者さんの負担が10万ほどだそうで、中甑島の観光船と契約して、24時間出せるようになっているんだとか。
あとは自衛隊ヘリを使うという選択肢があるようですが、自衛隊ヘリは来るまで3時間かかるそうで、そうなると船の方が早いんだとか。
ただし、今回台風の被害に遭って、実体験を通して学んだことですが、船は天候が悪いと使えない。その場合は自衛隊ヘリを使うそうです。
雷などが鳴ったり天候が相当不安定になって風が強くなったりしてしまうとヘリも飛ばなくなってしまうので、その場合は落ち着くのを待つしかないとか…
救急で出血多量の方がいらっしゃっても、島に輸血の準備はありません。その理由としては、在庫管理が大変だから。輸血には型もありますし、何より期限が短い。輸血が必要となる頻度はそう高くないので、常備するのはコスパが悪い。
だから、そういった場合は、いかに早く救急搬送できるか、そのスピードをあげることを1番に考えていらっしゃるそう。
資源の管理は本当に重要で大きな問題点で、内服薬も、金額と使用期限のバランスをとって最低限の量を購入しているそうです。
薬があれば一発でよくなる疾患でも、薬の足が早く頻度の低い疾患であれば、それを置いておくのは経営的効率が悪いので、何を置いておくかとても悩むんだそう。
測定できる項目としては、骨密度、ct、x線。市町村合併があってから20年が経ちますが、機械のメンテナンスは毎年行われているんだとか。血管系、腫瘍系の病気を疑う場合は造影ctの方が精度は高まりますが、数年前までは造影はできなかったそう。以前、上腸間膜動脈閉塞の患者さんがいらした時、腹痛は訴えられているけど、造影ができず特定できなかったことがあったんだとか。その事例の反省を活かして、整備を進められたんだとか。
整備を進めると言っても、市立の病院なので、予算をつける(機械や薬を購入するためのお金を手に入れる)には、まず見積もりを立て、予算案を作り、議会にそれを提出し、可決される必要があります。欲しい機械を買うのには思い立ってから2年ほどかかるんだとか。
検査にも様々な特徴が。例えば、X線検査は、都会の大病院などでは検査技師さんによって行われるものです。しかし、手打診療所では、検査、準備までは看護師さんが担当し、最後の撮影(ボタン押し)は医師が担当しているんだとか。
また、大きい病院で行うと40-60分かかる血液検査も、待ちがないために20分ほどしかかからないそう。造影CTも、どこの病院よりも最速で撮れるんだとか。
手打診療所には透析室もあります。普段透析をされている患者さんは5-8人で、その管理は基本看護師さんがなさっているそうです。
以前、島に帰りたいけど透析できないから帰ることができない、という患者さんがいらっしゃったそう。同じことが起こらないよう、薬局ができた代わりに今まで薬の購入販売に充てていた予算や人員を、透析(午後のみ)にまわすことで、島でも透析が出来るようになったんだとか。限られた資源の中で、ニーズをキャッチし、諦めることなくやりくりしていく力強さを感じました。
行政の担当者は3、4年で次の方に交代になります。だから、病院について深く全てを理解していただくのは難しい。だからこそ、行政の方との交渉、新しい物品の購入などは困難を極めることもあるんだとか。医療者と行政の担当者、それぞれの立場の違いで視点が異なること、そして行政のシステムをきちんと理解することがストレスを減らすための第一歩だそう。
一方で、院内で新しい診療(禁煙外来とか)を始めるのに許可はいらないそう。実際、禁煙支援外来はスムーズに開始でき、現在も診療所の前には禁煙支援外来の札が飾られています。
そして最後に。手打診療所の素敵な基本理念。
「下甑島における地域医療の拠点として地域包括医療を推進し、「離島住民の医療に対する不安」の解消に努めます」
この不安の解消、というのがすごく刺さりました。医療を施した先に目指すものは、その人を健康な状態に戻すでもなく、十分な処置を行うなどでもなく。この場では不可能な処置や検査があることは認めつつ、だからと言って患者さんが不安を抱えるような状態にはしない。出来る限りのことをして、不安を取り除く。これはすごく素敵な理念だと思いました。
手打診療所に別れを告げ、少し島内探検に。
まだパラパラと雨は続いていましたが、まずは滝へ!下甑島の西側、瀬尾地区に位置し、長浜港から車で約10分のところにある瀬尾観音三滝公園。
滝壺の傍らに祠があり、観音様が納められているのでそう呼ばれているんだとか。昔から「諸人万人の薬水」と言われ、滝の水を求めて遠方から多くの人が訪れているそうです。
滝の水は、台風のおかげですごい量になっていました。
そしてこんなものも発見。
地籍多角点とは、地籍調査の際に設置される基準点のことなんだとか。国土地理院が設置した三角点(1等~4等)を基に、各地区に設置され、土地が国土のどの部分に位置しているのかを明確にする目的で設置されているんだとか。公共の測量には用いられませんが、一般測量には使用できるものなんだそうです。
さて滝を離れ、次は灯台へ!
避難所でお会いした方が、昔、下甑島の南方に位置する釣掛埼灯台で働かれていたというお話を聞き、足を運んでみることに。
灯台の灯りを囲うガラスに、少しでも汚れが付くと光の届く距離が短くなってしまうので、螺旋階段で上まで登ってガラスを磨かれていたんだとか!
また、灯台近くに父親と2人でお住まいだったそうで、お家も残っていたりするのかも、と楽しみに向かったのですが.…
台風でなぎ倒された木が行手を阻み、辿り着くことはできませんでした。
滝から灯台まで2つのルートがあったのですが、どちらも以下の写真の通り、折れた木のせいで通ることができず…
避難所の中ではぬくぬくと過ごしていましたが、台風の恐ろしさを実感させられた出来事でした。
そして、海岸周辺や手打を車で少し巡らせていただきました。
スーパーエグチにも、郷土館にも行ってみたかったですが、そろそろ晩御飯。
宿泊させていただいた旧迫田邸には炭火を使える設備があって、BBQをやろう!というお話に。
火を熾したのも、鰹の背中?の部分やマグロの内臓を食べたのも、いい思い出です。
ついに2日後には帰れそうだというお話が出て、帰る時間や方法を相談。私は本土でもう一泊することを決意。
そして、島で結婚式を挙げた方(看護師さんだそう)のお話を伺いました。砂浜に会場を設営して、島の皆さんが出席して執り行われたとか。
素敵な写真を沢山見せていただき、心が穏やかになりました。
雨の様子を見ながら、明日は鹿島・上甑島の方に行ってみようというお話をして、随分と夜遅くに就寝。
それではまた機会をお楽しみに。
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