安定期前に父親を看取った話
来月で私は30歳になる。
20代最後の大仕事は実父を見送る事だった。
離婚して配偶者がいないため
いろいろな責任は子供に行く。
親権があろうかなかろうが関係なく、子供に行く。
私の父はそれなりに若い。20代前半で私ができたからシンプルに50代前半。まだまだバリバリと言われる年齢。
でも昔に指定難病されている病気がわかり
合併症を起こし、ここ数年は完全に車椅子生活だった。
車椅子生活という事以外は健常者と変わらなかった。
5年前に離婚してから半絶縁状態だった。
でも。思うことが多々あり、1年半くらい前から距離を詰めるように意識をしていた。
生前は迷惑しかかけられてなかった。
なんなら死んだ今も迷惑しかかけられていない。
亡くなる半月前から腹痛を訴えていた。
正直『しらんがな』と思っていたし
胆石とか、胃腸炎とか言ってて、はぁ、、って感じだった。
亡くなる1週間前に耐えきれなくなって救急車呼んで入院になった。
亡くなる前の日が日曜だった。
緊急手術になった、きてほしいとの連絡。
妹の方が先に連絡が行き、私は後から追いかける形で病院に向かった。日曜に手術というとこで、少し不安があった。
何度も合併症で大きい手術になり、その度に山場があったが、しぶとく乗り越えてきた。
だから今回も、まさか死ぬなんて思わなかった。
また後遺症がでるかな〜大変だなぁと思いながら
妹と待合室でケーキを食べていた。
手術がおわり、担当の先生からの説明を妹と2人で受けた。
毎回思うけど、先生の話は、こう、素人の私には難しい。結論から言ってほしい。
『お腹を開いて悪いところを取ったけど、ほとんど手をつけられない状態だった。二日後にまた手術をするけど、それまで待つかわからない。確率は50%以下。今日中に心臓が止まる可能性が高い。』
要約するとこんなことを言われたけど、よくわからなかった。まじで。
あ、持病じゃないんだ????ってとこでフリーズしてしまった。
『二日後の手術まで待てば、回復するってことですか?』と聞いたけどどうやら違って、
『心臓が止まるのをギリギリ先延ばしてるだけの状態。1週間もたない方が多い』と言われて、
やっと、なんとなく理解して、もう、あぁ、死ぬんだなぁ、、と心が固くなるのがわかった。
『延命処置はどうしますか?』と。
『なにも、しなくて、いいです。ずっと頑張ってきたから、早く楽にしてあげてください。』と言った自分の声が震えていて、そこで自分が泣いている事に気づいた。
迷いはなかった。後悔もない。でも、この決断は私には重かった。でも、私しかできない決断だった。
呼吸器に繋がれた父。筋肉の緊張をどうにかする薬を使ってるから、瞼が閉じす、ぎょろぎょろ動いていた。
寝ているのか、意識があるのか、わからなかった。
血圧は40代。いわゆる危篤状態だった。
私の弟と、父の母と、お兄さん、そして、私の母(元嫁)が変わるがわるきた。
途中で、親父の意識が戻り、喋りはできないけど
顔のわずかな動きや、手の動きでコミニケーションが取れた。
最初は、本人は状況が分かってなく、少しパニックになっている様子だった。
お腹を切っているから、今は辛いけど、二日後に手術したら、楽になるから、少しゆっくりしてようね、と声をかけた。
手で一生懸命なにかを伝えようとし、紙とペンで描いてもらったけど、なかなか難しかった。
それでも、諦めずに、確認して、
『水を飲みたい』ということ、家族それぞれにメッセージ、ありがとう、とかがんばれ、とか伝えてくれた。
私はそこで、初めて、妊娠したんだよ、おじいちゃんなるよ、と伝えた。
goodポーズをしてくれた。それが、親父との最後の会話になった。
その日は、私と妹で病院に泊まることになった。
てっぺんがすぎ、なんとなくシャチレーションが悪くなり、弟とお母さんを病院呼んだ。
あーだこーだ言ってるうちに
2時になり、看護師さんが慌てて呼びにきて、部屋に行ったときには、心臓が止まっていた。
急に止まったみたいだった。
それでも、まだ暖かったし、声は聞こえてると思ったらから
ありがとう、頑張ったねって声をかけて見送った。
家族を捨てた父だったけど、最後は家族に見守られて旅立った。
本当に安らかな顔だった。ムカつくくらい。
全てから解放され、病気に勝った顔をしていた。
まぁ、全て押し付けた感は否めないけども。
それから、夜中だけど
おばあちゃんとおじさんがかけつけてくれて、
霊安室に運ばれて、葬儀屋がきてくれて、色々打ち合わせをした。
朝まで病院を出れず、昼には葬儀屋と打ち合わせになり、寝る時間がない事が確定した。
自分が妊婦であることを忘れていた。徹夜はしんどかった。
自分の気持ちを整理するためにざっと書いてみた。
なぜ絶縁してたのか
またその後距離を詰めることになったのか
危篤中に親父の彼女が押しかけてきたこととか
お葬式がカオスだったこととか、需要があれば書けたら書きたい。
当たり前が当たり前じゃないこと、そばにいる人を大切にしてほしい、そして、きちんと、言葉と態度で愛してる、と伝えてほしい。後悔のないように。