別世界
今朝。
月と星が対をなして、明け方の空に光っていた。
暗い中、微かに、けどしっかりと光る2つは、2人だけの世界を持っていた。
運転をする。
サイドミラー越しに見える朝焼け。
鏡を通じて見える世界は、自分の目で見るよりも何か不思議な美しさを持っていた。
ランニングをする。
建屋の上から覗く太陽の光。
束の間、オレンジに染まっていた。
朝、陸橋の上からだけ、見える世界。
切り取らなければ気がつかないけれど、
世界は幾つもに分かれている。
美しい世界、楽しい世界、静かな世界、暗い世界。
切り取れば、自分は今、この、世界だけに生きている訳ではないと知る。
今が楽しくても、他の世界がある。
今が辛くても、他の世界がある。
かならず、別世界がある。
私の今はひとつじゃないのだ。