2024年8月19日週まで直近のM&A情報
目次
ロジスティード、アルプス物流の完全子会社化
JT、Vector Group Ltd.の買収
Flexware(日立製作所の米国グループ会社) 、米国の製薬エンジニアリングサービス企業 Castle Hill を買収
GMOメディア、株式会社趣味なびの株式取得(子会社化)
じげん、保険マンモス株式会社の株式取得(連結子会社化)
長谷川香料、 ABELEI, INC.の株式取得(孫会社化)
ロジスティード、アルプス物流の完全子会社化
JT、Vector Group Ltd.の買収
当事者
買主:日本たばこ産業株式会社(JT)グループ
売主:記載なし
対象企業:Vector Group Ltd.(VGR 社)
案件に関する概要
案件目的
たばこ事業の Combustibles におけるトップライン成長に向けた投資を実行しつつ、ROI 改善を目指す経営計画 2024 の実現
世界第 2 位の規模で収益性の高い米国市場におけるプレゼンス拡大
為替変動の影響を受けづらいハードカレンシー市場からの安定的なキャッシュ・フロー創出による、HTS を優先とした RRP への投資原資確保や財務基盤強化
案件概要
JT グループが VGR 社の全発行済株式を公開買付けにより取得し、VGR 社を 100%連結子会社化
買収完了時期は 2024 年度中を予定
買収完了後、VGR 社は JT の 100%連結子会社となり、ニューヨーク証券取引所での上場廃止予定
対象企業概要
名称:Vector Group Ltd.
所在地:米国フロリダ州マイアミ
代表者:President & CEO, Howard M. Lorber
事業内容:紙巻たばこの製造及び販売等
資本金:15,598 千米ドル(2023 年 12 月 31 日時点)
設立年:1873 年
取得価額
約 24 億米ドル(約 3,780 億円)
会社概要(事業概要含む)
日本たばこ産業株式会社(JT)は、世界中で事業を展開するグローバルたばこ企業です。事業セグメントは、たばこ事業、医薬事業、加工食品事業の3つに分かれています。中核事業であるたばこ事業では、紙巻たばこに加えて、加熱式たばこなどのRRP(リスクを低減した製品)にも注力しています。
対象市場・競合状況
JTは、グローバル市場で事業を展開しています。たばこ事業では、フィリップ モリス インターナショナル、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、インペリアル・ブランズなどの国際的なたばこ企業と競合しています。特に、加熱式たばこ市場では、各社が新製品を投入し、競争が激化しています。
経営課題
JTが直面する主な経営課題は以下の通りです。
喫煙に対する健康懸念の高まり: 喫煙に対する健康への意識の高まりは、たばこ製品の需要に影響を与えています。
規制強化: 各国におけるたばこ製品の規制強化は、JTの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
競争激化: たばこ市場、特に加熱式たばこ市場における競争激化は、JTの市場シェアに影響を与える可能性があります。
経営戦略
JTは、これらの経営課題に対処するために、以下の経営戦略を掲げています。
RRPへの注力: 加熱式たばこなどのRRPの開発・販売を強化し、変化する消費者ニーズに対応します。
グローバル展開の強化: 新興国市場を中心に、グローバル展開を強化し、持続的な成長を目指します。
コスト削減: 効率的な事業運営を通じてコスト削減を推進し、収益性の向上を図ります。
財務概要(2024年度通期見込み)
売上収益: 3兆1,090億円(前年度比9.4%増)
営業利益: 6,600億円(前年度比1.8%減)
調整後営業利益: 7,100億円(前年度比2.5%減)
当期利益: 4,750億円(前年度比1.5%減)
フリーキャッシュフロー: 3,760億円(前年度比677億円の減少)
関連資料
Flexware(日立製作所の米国グループ会社) 、米国の製薬エンジニアリングサービス企業 Castle Hill を買収
当事者
買主:Flexware Innovation, LLC (日立製作所の米国グループ会社)
売主:記載なし
対象企業:Castle Hill Technologies, LLC
案件目的
ライフサイエンス分野の事業を加速するため
案件概要
Flexware Innovation, LLC が Castle Hill Technologies, LLC を 2024 年 7 月 31 日に買収。
対象企業概要
1999 年設立の米国のエンジニアリングサービス事業者。
プロセスオートメーション、オーナーズ・レプレゼンタティブ・サービス、バリデーションサービス、大型プロジェクトマネジメントに関する知見を持つ。
デジタルトランスフォーメーション推進のために、オーナーズ・レプレゼンタティブ・サービス、バリデーションサービス、システム統合、データソリューションを提供。
プロセスとオートメーションの設計、エンジニアリング、安全評価まで対応。
関連資料
GMOメディア、株式会社趣味なびの株式取得(子会社化)
当事者
買主:GMOメディア株式会社
売主:伊東祐輔、株式会社キールス、株式会社エアトリ、その他非開示の事業会社及び個人
対象企業:株式会社趣味なび
案件に関する概要
案件目的 GMOメディア株式会社は、「コエテコカレッジ byGMO」等の教育サービスを展開しており、趣味なびのリアルを中心とした趣味教室プラットフォームとの連携により、オンラインでの展開を強化し、新たな顧客層の獲得を目指しています。
案件概要 GMOメディア株式会社が株式会社趣味なびの株式を取得し、子会社化します。
対象企業概要(事業概要含む) 趣味なびは、全国の趣味教室やワークショップの検索プラットフォームを運営しています。リアルを中心に19,248教室(2024年7月末現在)、300以上のジャンルを掲載し、先生と参加者のマッチングだけでなく、コミュニティを活用したマーケティングや、コンテンツの外部展開なども行っています。
取得価額
総額:約2億7百万円(概算額)
株式会社趣味なびの普通株式:2億2百万円
アドバイザリー費用等:5百万円
GMOメディアの概要
事業概要
インターネットを通じて様々なサービスを提供する企業です。
主な事業は、メディア事業とソリューション事業の2つです。
メディア事業では、広告ゲームやポイ活サービスなどの収益事業に加え、プログラミング教育領域「コエテコ」や美容医療領域「キレイパス」といった成長領域への投資育成事業も行っています。
ソリューション事業では、自社開発のシステムソリューションを提携パートナーに提供し収益化を支援しています。具体的には、ポイントサイト構築支援ツール「GMOリピータス」やアフィリエイトASP「affitown」などを提供しています。
従業員数: 219名(連結子会社を含む、2024年6月末時点)
設立: 2000年10月
主要運営サービス数: 9サービス
対象市場・競合状況
メディア事業
ゲーム&ポイ活
カジュアルゲーム市場は成長傾向にありますが、広告単価下落の可能性も存在します。
ソーシャルゲーム市場は停滞気味です。
ポイ活市場は、ポイント導入企業の増加により成長が見込まれます。
ブロックチェーンゲーム市場は、大手ゲーム会社参入により国内市場の形成が加速する可能性があります。
教育
国や自治体のリスキリング支援により需要増加が見込まれます。
子供向けプログラミング教育市場は着実に成長しています。
エンジニア採用市場も成長傾向です。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の認定スクール拡大も期待されます。
大学入試科目に「情報」が採用されたことで、受験科目市場としての成長も期待できます。
美容医療
美容医療市場は成長傾向にあり、女性の美容意識の高まりが背景にあります。
美容クリニックDXのニーズも高まっています。
一方で、美容クリニックを選ぶチャネルの多様化により、競合や代替サービスが増加する可能性もあります。
ソリューション事業
ポイントCRMツール、アフィリエイトASP
市場環境についての具体的な記載はありませんでしたが、GMOリピータスのシステムリプレイスにより提携パートナーのさらなる拡大が期待されます。
経営課題
メディア事業
広告事業における広告単価下落の可能性
美容医療領域での競合や代替サービスの増加
ソリューション事業
アフィリエイト事業におけるインターネット回線需要の低迷
経営戦略
全社
AIの積極活用による生産性向上と経費削減
ストック事業の強化による安定的な収益確保
メディア事業
カジュアルゲームプラットフォームのコンテンツ拡充と提携サービス拡大によるユーザー獲得
教育事業におけるサービス成長加速のための積極的な取り組み
美容医療領域におけるオンライン決済機能導入などによる利便性向上
ソリューション事業
システムリプレイス後のGMOリピータスによる提携パートナー拡大
財務概要(2024年12月期通期見込み)
売上高: 6,900百万円
営業利益: 650百万円
経常利益: 640百万円
親会社株主に帰属する四半期純利益: 420百万円
関連資料
じげん、保険マンモス株式会社の株式取得(連結子会社化)
当事者
買主:株式会社じげん
売主:古川 徹 他
対象企業:保険マンモス株式会社
案件目的
Living Tech 領域の成長戦略である新規領域への拡張
ユーザー、顧客に対する提供価値の向上
案件概要
株式会社じげんが保険マンモス株式会社の株式の 66% を取得し、連結子会社化
対象企業概要
本社所在地:東京都港区芝5丁目29 番20 号 クロスオフィス三田807
代表者:代表取締役 古川 徹
事業内容:保険相談サービス事業、イベント事業 等
資本金:35.8 百万円
設立年月日:2005 年8月
主な事業:
保険相談サービス事業:保険情報サイトからユーザーを集客し、集客したユーザーと提携FP のマッチングを行い、保険相談の機会を創出
イベント事業:日本全国で主に子育て中のユーザーに対して、子供の写真撮影会とライフプラン相談会をセットにしたイベントを開催し、提携FP とのライフプラン相談の機会を創出
強み:2005 年に保険情報サイト「保険マンモス」を業界に先駆けて展開していること、それに伴う業界最大級のFP 提携数を有すること
取得価額
株式取得価額:660百万円
アドバイザリー費用等:6百万円
合計:666百万円
会社概要
株式会社じげんは、ライフイベント領域に特化したインターネットメディア事業を展開しています。事業セグメントは「Vertical HR」「Living Tech」「Life Service」の3つに分類され、それぞれ人材、住まい、暮らしに関するサービスを提供しています。
Vertical HR: 特定業界・職種に特化した人材紹介サービスや求人メディアを運営。主なサービスとして、介護領域に特化した人材紹介サービス「タイズ」や、アルバイト求人情報サイト「リジョブ」などがあります。
Living Tech: 不動産・住宅領域に特化したメディアを運営。主なサービスとして、不動産投資型クラウドファンディングサービス「スモッカ」や、リフォーム比較サイト「リショップナビ」などがあります。
Life Service: 旅行・結婚・保険など、暮らしにまつわる様々なサービスを提供。主なサービスとして、法人向け旅行サービス「APW」や、留学情報サイト「School With」などがあります。
対象市場・競合状況
Vertical HR
人材業界の中でも特に専門性の高い領域に注力し、競合との差別化を図っています。
高成長が見込める介護、建設、不動産、製造、物流などの領域で事業を展開しています。
市場規模: 人材ビジネス市場全体では約8.2兆円、その中のVertical HR市場は約2.2兆円と推定されています。
Living Tech
不動産テック市場は競合が多く、レッドオーシャン化していますが、じげんはメディアを起点とした顧客基盤や集客ノウハウを活かして成長戦略を描いています。
市場規模: 賃貸市場は約20兆円、国内売買市場は約30兆円と推定されています。
Life Service
旅行業界はコロナ禍からの回復途上にあり、競争環境は激化しています。じげんは業務渡航や高付加価値サービスに注力し、差別化を図っています。
市場規模: 旅行市場全体では約26兆円と推定されています。
経営課題
Vertical HR:
採用ニーズが高い一方で、人材不足が深刻化しているため、顧客企業への質の高い人材の紹介が課題となっています。
各事業の連携強化やデジタルマッチングの推進など、業務効率化とサービス向上を両立させる必要があります。
Living Tech:
リフォーム市場は、資材価格の高騰や巣ごもり需要の反動減などの影響を受けています。
競争の激しい不動産テック市場において、顧客獲得と収益性の向上を図る必要があります。
Life Service:
旅行市場はコロナ禍からの回復途上であり、特に円安の影響を受ける海外旅行の需要喚起が課題となっています。
比較メディア事業では、広告出稿需要の鈍化やユーザーの行動変化に対応する必要があります。
経営戦略
Vertical HR
各事業の強みを活かした連携強化を図り、シナジー効果を創出します。
経営効率改善とサービス向上のため、デジタルマッチング型のビジネスモデルを推進します。
採用・育成体制を強化し、質の高いサービス提供を維持・向上させます。
Living Tech
メディアを起点とした領域拡張とビジネスモデルの拡張を図り、収益源の多角化を目指します。
リフォーム、不動産売買、エネルギーなどの領域でクロスセルを強化し、顧客生涯価値の向上を図ります。
DX推進やマーケティングノウハウを活かし、高収益なビジネスモデルへの転換を図ります。
Life Service
旅行事業では、業務渡航に加え、海外旅行需要の回復に合わせたサービス拡充を図ります。
ホテル予約や空港送迎などのクロスセルを強化し、収益性向上を目指します。
比較メディア事業では、広告以外の収益源の確保やユーザー体験の向上に取り組みます。
財務概要(2025年3月期 通期見込み)
売上収益: 275億円(前期比+16.0%)
営業利益: 63億円(前期比+22.5%)
EBITDA: 77億円(前期比+20.4%)
当期利益: 43億円(前期比+22.4%)
EPS: 41.9円
関連資料
長谷川香料、 ABELEI, INC.の株式取得(孫会社化)
当事者
買主:T. HASEGAWA U.S.A., INC.(長谷川香料株式会社の連結子会社)
売主:Abelei社の既存株主(詳細は非公開)
対象企業:ABELEI, INC.
案件に関する概要
案件目的
長谷川香料グループは、米国市場を魅力的な市場と位置付け、積極的な投資を行っています。連結子会社であるTHUSA社は、北米を拠点にフレーバー事業を展開し、堅調に業績を伸ばしています。Abelei社は、米国中西部を基盤とする香料メーカーで、高品質なフレーバーの製造販売で実績があります。
THUSA社とAbelei社は顧客基盤が重複せず、相互補完性が高いことから、Abelei社の買収により、販売面・製造面でのシナジー効果、ひいては米国市場での更なる成長が期待されます。これが、今回の株式取得の目的です。
案件概要
長谷川香料の連結子会社である T. HASEGAWA U.S.A., INC. が、ABELEI, INC.の株式を100%取得し、完全子会社化します。
対象企業概要
社名:ABELEI, INC.
所在地:米国 イリノイ州
事業内容:各種食品香料の製造・販売
設立:1981年
概要:1981年の設立以来、米国中西部を基盤として、顧客の要望に応じた高品質なフレーバーの製造販売に従事しています。食品、飲料、菓子、乳製品、健康・栄養など、幅広い用途向けのフレーバーを提供しており、長年の取引がある優良顧客との関係を深めつつ、新規顧客の開拓も進めています。
取得価額
総額(概算):約4,800万ドル(約70億800万円)
取得価額には、株式に加えて取得する関連資産の取得価額も含まれます。算定に際しては、デューデリジェンスやDCF分析等の各種価値分析手法を用いて、適正な価格であることを確認しています。
会社概要(事業概要含む)
長谷川香料株式会社は、食品香料と香粧品香料の調合香料に特化した香料メーカーです。
原料には天然香料と合成香料を使用し、フレーバリストやパフューマーと呼ばれる研究者が顧客の要求に基づいて処方箋を作成し、調合香料を製造しています。
長谷川香料は、食品香料を主に扱う「フレーバー事業」と、香粧品香料を主に扱う「フレグランス事業」の2つの事業を展開しています。
フレーバー事業では、飲料、乳製品、菓子、即席麺、調味料など、様々な食品業界に向けて香料を提供しています。
長谷川香料はグローバル展開にも力を入れており、米国、中国、マレーシアなどに子会社を設立し、海外での事業拡大を積極的に進めています。
対象市場・競合状況
世界の香料市場は約325億ドル(約4.5兆円)規模で、アジア、ヨーロッパ・アフリカ・中東、北米の順に市場規模が大きく、年平均成長率は約3%です。
長谷川香料は、世界の香料市場において売上高シェア1.2%で10位に位置しています。上位にはIFF、ジボダン、Symriseなどの欧米企業が名を連ねています。
日本の香料市場においては、長谷川香料は売上高シェア18.5%で3位に位置しています。1位は高砂香料工業、2位はT.HASEGAWA CO.,LTDとなっています。
国内香料市場では、フレーバーの割合が約80%を占めており、長谷川香料の売上構成も、フレーバー部門が約90%を占めています。
長谷川香料は、競合と比較して付加価値の高い調合香料に特化しており、多品種少量生産を得意としています。
また、売上高営業利益率は11.6%と、競合であるT.HASEGAWA CO.,LTDの1.2%と比較して高い水準となっています。
経営課題
原材料費の高騰:香料の原材料となる天然香料や合成香料の価格は、世界的な需要の高まりや供給の不安定化などにより高騰しています。
為替変動リスク:海外での事業展開を積極的に進めているため、為替変動による影響を受けやすい状況にあります。
競争の激化:世界の香料市場では、大手香料メーカー同士の競争が激化しており、価格競争や技術開発競争が激しくなっています。
人材確保と育成:高度な専門知識と技術を持つフレーバリストやパフューマーなどの人材の確保と育成が重要な課題となっています。
経営戦略
長谷川香料は、「調合香料拡大」「国内収益確保」「海外事業拡大」という3つの基本戦略を掲げています。
国内では、ソリューション営業の推進、研究開発力強化、香料用途拡大への対応などを重点項目としています。
海外では、米国ではオーガニックな成長と買収による規模拡大の両立、中国では営業体制強化による未参入分野や潜在需要の開拓、東南アジアでは拠点間の連携強化による売上拡大などを目指しています。
また、人的資本経営の推進、サステナビリティへの取り組み強化なども経営戦略の重要な要素としています。
財務概要(2024年9月期通期計画)
売上高:665億円(前期比4.0%増)
EBITDA:131億円(前期比8.4%増)
当期純利益:68億円(前期比1.2%増)
海外売上高比率:47.2%
関連資料
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