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2024年11月4日週まで直近のM&A情報

目次

  • エフ・コード、株式会社SpinFlowの株式の取得(子会社化)

  • ヤマトHD、株式会社ナカノ商会の株式取得(連結子会社化)

  • KDDI、ラックの完全子会社化

  • SCSK、ネットワンシステムズ株式会社に対する公開買付け

  • サーラコーポレーション、安江工務店の完全子会社化

エフ・コード、株式会社SpinFlowの株式の取得(子会社化)

当事者

  • 買主: 株式会社エフ・コード (コード番号:9211 東証グロース)

  • 売主: 平嶋 哲也 (SpinFlow社代表取締役)

  • 対象企業: 株式会社SpinFlow

案件概要

  • 案件目的:

    • DX市場・デジタルマーケティング領域における顧客体験改善テクノロジー・SaaS事業の強化

    • 生成AIに関するコンサルティング/リスキリング/業務支援の知見を活用し、クライアント企業への最適なDX推進支援

    • 顧客価値の最大化、収益性向上、競争力強化

  • 案件概要:

    • 株式会社エフ・コードが株式会社SpinFlowの株式の50.1%を取得し、子会社化。

  • 対象企業概要(事業概要含む):

    • 社名: 株式会社SpinFlow

    • 所在地: 東京都渋谷区千駄ヶ谷一丁目5番7号

    • 代表者: 代表取締役 平嶋 哲也

    • 事業内容: 生成AI活用コンサルティング・リスキリング研修事業

    • 資本金: 1万円

    • 設立年月日: 2024年4月23日

    • 直近半年間の業績(2024年4月~9月): 売上高288百万円、営業利益101百万円、経常利益100百万円、当期純利益65百万円

  • 取得価額:

    • 株式取得価額: 174百万円

    • アドバイザリー費用等: 7百万円

    • 合計: 181百万円 (概算額)

    • 業績進捗に応じた譲渡対価の調整に関する合意があり、追加対価の支払または取得対価の減額調整が発生する可能性がある。

ヤマトHD、株式会社ナカノ商会の株式取得(連結子会社化)

当事者

  • 買主: ヤマトホールディングス株式会社

  • 売主: 沼澤 宏 (ナカノ商会 代表取締役社長、株式81.6%保有) 、株式会社N.Sサポート (株式18.4%保有)

  • 対象企業: 株式会社ナカノ商会

案件に関する概要

  • 案件目的:

    • コントラクト・ロジスティクス(CL)事業の拡大

    • エクスプレス(EXP)事業とのシナジー創出

    • 両社リソースの共同利用等によるコストシナジー創出(CL・EXP事業)

    • 法人ビジネス領域の拡大

  • 案件概要:

    • ヤマトホールディングス株式会社が、株式会社ナカノ商会の発行済株式の87.7%を取得し、連結子会社化。

    • 株式譲渡および第三者割当増資の引受により株式を取得。

  • 対象企業概要(事業概要含む):

    • 設立: 1988年8月16日

    • 本社所在地: 東京都江戸川区中葛西3-18-5

    • 代表者: 代表取締役社長 沼澤 宏

    • 事業内容: コントラクト・ロジスティクス事業等

      • 保管・庫内作業・輸送サービス

      • 顧客仕様に再構築した物流施設のサブリース

      • 主な顧客: 小売事業者、食品等のメーカー・サプライヤー、EC事業者の上流の物流領域

      • 従業員数: 約3,100名 (フルタイム1,500名、パートタイム1,600名)

      • 拠点数: 国内51カ所 (東北・関東・関西・九州の主要都市に展開) 、顧客へのサブリース提供物件 約100カ所

      • 車両: パートナー車両含め1日3,500~5,000運行 (自社保有車両 約400台)

  • 取得価額: 469億円 (株式譲受及び第三者割当増資の払込合計)

SCSK、ネットワンシステムズ株式会社に対する公開買付け

案件概要

SCSK株式会社(公開買付者、住友商事の連結子会社)が、ネットワンシステムズ株式会社(対象者)の普通株式等に対し、公開買付け(TOB)を実施し、完全子会社化を目指す。買付価格は1株あたり4,500円、新株予約権は1個あたり1円。下限買付数は52,960,600株(所有割合66.67%)。上限は設定なし。TOB成立後、90%以上の株式取得に至らなかった場合は、株式売渡請求または株式併合によるスクイーズアウト手続きを実施予定。

案件目的

対象者を完全子会社化し、SCSKのITインフラ領域を強化、アプリケーション領域とのシナジー創出による企業価値向上を目指す。最終的には両社の合併も視野に入れている。

案件背景

  • SCSKはアプリケーション開発に強みを持つ一方、ITインフラ領域の強化が必要と認識。

  • ネットワンシステムズはネットワークインテグレーション事業でリーディングポジションを確立。

  • 両社の経営理念・企業文化の親和性が高い。

  • 両社経営陣の協議により、経営統合によるシナジー効果が期待できると判断。

案件後の経営方針

  • 対象者はSCSKグループの中核事業を担う主要グループ会社となる。

  • 当面は対象者の独立性を尊重し、既存経営陣による事業運営を継続。

  • シナジー早期発揮のため、両社社長を責任者とする合同推進タスクチームを設置。

  • 2026年4月を目処に両社の合併を検討開始。

  • 従業員の雇用は原則維持、処遇は統合によるシナジー効果を反映し向上を目指す。

案件検討の経緯

  • 2023年9月:SCSKとネットワンシステムズ経営陣間で意見交換開始。

  • 2024年2月:ネットワンシステムズが戦略的パートナー選定プロセスを開始、SCSKも参加。

  • 2024年9月:SCSKが4,400円でTOB提案も、ネットワンシステムズは価格の再検討を要請。

  • 2024年10月:SCSKが4,500円に価格を引き上げ、独占交渉権を獲得。その後も交渉を継続。

  • 2024年11月:4,500円で最終合意。

取引スキームの特徴点

  • 完全子会社化を目指すTOB。

  • 下限買付比率を設定し、不成立の場合の撤退も可能とする。

  • TOB不成立時は、株式売渡請求または株式併合によるスクイーズアウト手続きを実施。

取締役会の意見

ネットワンシステムズ取締役会は、本TOBに賛同の意見を表明し、株主への応募を推奨。新株予約権保有者については判断を委ねる。SCSK取締役会は本TOBの実施を決定。

価格の算出方法 

  • ネットワンシステムズは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を第三者算定機関として選定。

  • DCF法では、2025年3月期~2027年3月期の本事業計画に基づくフリーキャッシュフローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて算定。

  • DCF法による算定結果は1株あたり4,026円~4,944円。買付価格4,500円はこのレンジ内。

  • プレミアムは、公表前営業日の終値に対して25.91%、直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値平均に対してそれぞれ26.94%、30.66%、42.14%。

公正性担保措置の内容 

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: ネットワンシステムズは、特別委員会を設置し、利害関係のない取締役全員がTOBに賛同。

  • マーケットチェック: ネットワンシステムズは、複数の企業と資本業務提携を検討するプロセス(第一次、第二次プロセス)を実施し、最も有利な条件を提示したSCSKを選定した。これにより、市場における他の買収機会を検討したと言える。

KDDI、ラックの完全子会社化

案件概要

KDDI株式会社(以下、KDDI)は、株式会社ラック(以下、ラック)の完全子会社化を目指し、2024年11月下旬を目途に公開買付け(以下、本公開買付け)を開始予定。買付価格は1株あたり1,160円。買付予定数の下限は10,659,600株(34.42%)だが、上限は設定されていない。本公開買付けが成立しなかった場合、KDDIは株式等売渡請求または株式併合によるスクイーズアウト手続きを実施予定。

案件目的

KDDIは、生成AIやIoTの普及等によりサイバーセキュリティの重要性が増す中、ラックのサイバーセキュリティに関する知見とKDDIのネットワークを統合し、AI・IoT時代に対応したサイバーセキュリティ事業を強化することで、両社の企業価値向上と日本のサイバーセキュリティ業界の発展に貢献することを目的とする。

買主と対象企業の関係性

KDDIはラックの筆頭株主(所有割合31.59%)で、持分法適用関連会社。両社は2007年より業務・資本提携関係にあり、セキュリティソリューション事業等で協業してきた。また、KDDIデジタルセキュリティ株式会社は、KDDIとラックの共同出資会社である。

 案件背景

生成AIやIoTの台頭、人手不足によりサイバーセキュリティの重要性が増大している。KDDIは、ラックとの連携強化が必要不可欠と考え、完全子会社化による経営資源の集約と迅速な意思決定体制の構築が最善と判断した。

案件後の経営方針

KDDIは、ラックの現在の経営体制を尊重しつつ、両社グループ全体の成長を早期に実現するため、必要な施策を協議の上決定する予定。人材交流等で出向している従業員の取扱いについても、今後協議の上決定する。

案件検討の経緯

2024年1月上旬にKDDIがラックに本取引を初期提案。3月中旬より協議開始、6月27日にKDDIが意向表明書を提出。7月12日、ラックはデューデリジェンスへの協力を回答。7月中旬以降、デューデリジェンスと並行して具体的な協議を開始。KDDIは、910円から始まり、1000円、1080円、1110円、1140円と5度の価格提案の引き上げを経て、最終的に1160円で合意に至った。ラックは、特別委員会を設置し、SMBC日興証券をFA、アンダーソン・毛利・友常法律事務所をリーガルアドバイザーとして選任し、本取引の検討を進めた。

取引スキームの特徴点

本公開買付け後に、完全子会社化が達成されない場合、株式等売渡請求または株式併合によるスクイーズアウト手続きを実施予定。いずれの場合も、株主への対価は本公開買付価格と同額の金銭となる。

取締役会の意見

ラック取締役会は、本公開買付けに賛同し、株主への応募を推奨する決議を行った。ただし、公開買付け開始時点で、特別委員会の意見に変更がないかを確認し、改めて意見表明を行う予定。

価格の算出方法

SMBC日興証券は、市場株価法(746円~787円)、類似上場会社比較法(711円~832円)、DCF法(1,021円~1,619円)の3手法でラックの株式価値を算定。DCF法では、ラック作成の本事業計画を基に、2025年3月期第2四半期以降のフリーキャッシュフローを割引率で現在価値に割り引いて算出。なお、シナジー効果は算定に含まれていない。

買付価格決定までの過程

KDDIは、ラック、ラックの取締役会長、野村総合研究所と価格交渉を実施。当初提案価格910円に対し、ラックは少数株主の利益に配慮する観点から価格見直しを要請。その後、KDDIは複数回に渡り提案価格を引き上げ、最終的に1,160円で合意。この価格は、提案前営業日の終値731円に対し58.69%、過去1ヶ月平均終値752円に対し54.26%のプレミアムとなっている。

公正性担保措置の内容

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: KDDIは、本公開買付けにおいて、マジョリティ・オブ・マイノリティ条項を設定していない。

  • マーケットチェック: 公開買付期間を30営業日と長期に設定することで、対抗買付の機会を確保。また、本公開買付契約において、より高値の対抗買付提案があった場合、ラックは本賛同意見を変更・撤回できる旨を規定(ブレークアップフィーなし)。さらに、独立した特別委員会を設置、独立したFAによる株式価値算定、情報開示の充実等により公正性を担保

サーラコーポレーション、安江工務店の完全子会社化

案件概要

株式会社サーラコーポレーション(公開買付者)は、株式会社安江工務店(対象企業)の普通株式および全ての新株予約権を対象とした公開買付け(本公開買付け)を実施する。買付価格は普通株式1株につき2,150円、新株予約権1個につき1円。公開買付者は買付予定数の下限を1,129,200株(所有割合62.69%)とし、上限は設定していない。

案件目的

公開買付者は本公開買付けにより対象企業の全株式および新株予約権を取得し、完全子会社化を目指す。これは、両社の事業領域・顧客基盤の親和性に基づき、シナジー創出による企業価値向上を目的とする。

買主と対象企業の関係性

公開買付者は対象企業の株式および新株予約権を保有していない。対象企業は公開買付者の株式を130株保有している。両社間には建築工事・資材販売、都市ガス工事・器具販売に関する取引があるものの、特筆すべき重要な取引関係はない。人的関係や関連当事者への該当状況もない。

案件背景

公開買付者と対象企業は、近接する地域で住宅関連事業、特にリフォーム事業を展開しており、経営理念や価値観が近い。2024年4月上旬から協議を開始し、業務提携にとどまらず資本提携、そして完全子会社化による統合がシナジー最大化に不可欠との結論に至った。対象企業を取り巻く事業環境の不透明感も、本公開買付けの検討を後押しした。

案件後の経営方針

公開買付者は、本スクイーズアウト手続き完了後の経営体制について、グループシナジー創出を最重要事項と位置付け、対象企業と協議の上でシナジー早期実現に向けた最適な体制を決定する予定。対象企業の事業特性・強みを活かし、両社の企業価値向上を目指す。

案件検討の経緯

2024年8月23日、公開買付者は対象企業に完全子会社化の意向を表明。対象企業は特別委員会を設置し、公開買付価格や取引条件の妥当性などを検討。公開買付者は当初1,850円の買付価格を提案したが、対象企業側からの要請を受け、複数回の交渉を経て最終的に2,150円で合意に至った。

取引スキームの特徴点

本公開買付けは、完全子会社化を目的とした公開買付けである。公開買付け後、公開買付者が90%以上の議決権を取得できなかった場合、株式等売渡請求または株式併合による完全子会社化を目指す二段階買収スキームとなっている。

取締役会の意見

対象企業の取締役会は、本公開買付けに賛同し、株主に対して応募を推奨する決議を行った。ただし、新株予約権者に対しては、買付価格が1円であることから判断を委ねている。なお、対象企業の代表取締役社長は応募予定株主であるため、利益相反回避の観点から、取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議および決議には参加していない。

価格の算出方法

公開買付者は野村證券に、対象企業はプルータス・コンサルティングに、それぞれ株式価値算定を依頼した。プルータスは、市場株価法、類似会社比較法、DCF法を用いて算定を実施。DCF法では、2024年2月発表の中期経営計画をベースに、直近の業績などを反映した2024年12月期~2026年12月期の3期分の事業計画を基に算定。フリーキャッシュフローの増加要因として2025年に想定される子会社取得費用が2026年には減少することが挙げられている。なお、シナジー効果は算定に含まれていない。算定結果は1,974円~2,535円。

買付価格決定までの過程

公開買付者と対象企業・特別委員会間で複数回の価格交渉が行われた。公開買付者の提案価格は、1,850円→2,000円→2,100円→2,150円と推移し、最終的に2,150円で合意。最終価格は、公表日前営業日の終値に対して41.91%、直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値平均に対してそれぞれ38.44%、49.00%、54.57%のプレミアムとなっている。

公正性担保措置の内容

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: 買付予定数の下限は、公開買付者と利害関係のない株主の過半数の賛同が必要となる水準に設定されている。

  • マーケットチエック: 公開買付期間を法定最短期間の20営業日よりも長い30営業日に設定。また、対抗的買収提案者との接触を制限するような合意は締結していない。これにより、対象企業株主の判断機会と、対抗的買付けの機会を確保している。

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