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2024年11月11日週まで直近のM&A情報

目次

  • ノジマ、VAIO株式会社およびVAIO株式を保有するVJホールディングス3株式会社 の株式取得

  • カヤバ株式会社による知多鋼業株式会社に対する公開買付け

  • 西本Wismettacホールディングス株式会社のMBO

  • 大和重工のMBO

  • 出光興産によるアグロ カネショウ株式公開買付け

  • マネーフォワード(クラウド経営管理コンサルティング)によるアウトルックコンサルティングへの公開買付け

  • CVCによるマクロミル株式に対する公開買付け

  • フリークアウト・ホールディングスによる、UUUM株式会社への完全子会社化

ノジマ、VAIO株式会社およびVAIO株式を保有するVJホールディングス3株式会社 の株式取得

当事者

  • 買主: 株式会社ノジマ、およびノジマが管理する特別目的会社

  • 売主:

    • VJホールディングス3株式会社の株式:日本産業第四号投資事業有限責任組合、Shepherds Hill Fund II, L.P.、Manaslu Fund II, L.P.、Sonora Fund II, L.P.

    • VAIO株式会社の株式:JIPキャピタル事業成長パラレル投資事業有限責任組合

  • 対象企業: VAIO株式会社、VJホールディングス3株式会社

案件に関する概要

  • 案件目的:

    • ノジマグループの事業領域拡大とシナジー創出

    • VAIOの持続的な事業拡大の支援

    • 顧客基盤の相互活用による事業機会の創出・拡大

    • ノジマグループの財務基盤を活用したVAIOの財務戦略強化

  • 案件概要: ノジマは、特別目的会社を通じて、VAIO株式を保有するVJホールディングス3株式会社の全株式と、VAIO株式会社の発行済株式の約1.6%を取得する。これにより、ノジマは直接および間接的にVAIOの発行済株式の約93%を取得し、子会社化する。

  • 対象企業概要(事業概要含む):

    • VAIO株式会社: PC事業における企画、設計、開発、製造および販売。国内外でPC事業を展開し、法人向け事業に注力している。

    • VJホールディングス3株式会社: 会社の株式または持分を所有することにより、当該会社の事業活動を支配、管理する業務。実質的にVAIO株式会社の持ち株会社。

  • 取得価額: VJHD3およびVAIOの普通株式の取得価額は概算で111億円、アドバイザリー費用等は概算で1億円、合計で概算112億円

カヤバ株式会社による知多鋼業株式会社に対する公開買付け

案件概要

カヤバ株式会社(公開買付者)は、知多鋼業株式会社(対象者)の普通株式を公開買付けにより取得することを決定しました。買付価格は1株あたり2,010円で、買付予定数の下限は5,276,700株(所有割合55.11%)です。上限は設定されておらず、全ての発行済株式(公開買付者が既に保有する株式と対象者の自己株式を除く)の取得を目指します。公開買付けが成立したものの全株式を取得できなかった場合は、スクイーズアウト手続きにより完全子会社化を目指します。公開買付け開始は2025年1月下旬頃を目途としていますが、独占禁止法に基づく手続き完了等を前提条件としています。

案件目的

対象者を完全子会社化し、一体的な経営を行うことで、協業体制の構築、事業成長への経営資源の集中、人材を含む経営資源・ノウハウの共有化、意思決定の迅速化・簡素化を図り、公開買付者グループ及び対象者グループの一層の事業拡大及びサプライチェーンの安定化を目指します。

買主と対象企業の関係性

公開買付者は、対象者株式の11.56%を保有する筆頭株主です。2006年の第三者割当増資への参加を契機に資本関係を持ち、その後、共同出資による海外合弁会社の設立等を通じて協業関係を構築してきました。対象者は、公開買付者グループにとって重要部品であるばねを供給する主要サプライヤーであり、その売上高の約3割を公開買付者グループ向けが占めています。

案件背景

地政学リスクの高まりによるサプライチェーンの分断・混乱、自動車産業におけるコストアップ圧力など、事業環境が厳しさを増す中で、サプライチェーンの強靭化やコスト削減が課題となっています。公開買付者は、対象者との資本関係を強化し、一体的な経営を行うことで、これらの課題を解決し、シナジー効果を発揮できると判断しました。対象者側も、経営人材の確保・育成、新規顧客開拓の難しさといった課題を抱えており、完全子会社化による公開買付者グループの経営資源活用、上場維持コストの削減等をメリットとして捉えています。

案件後の経営方針

対象者の現在の経営体制を尊重しつつ、双方の企業価値向上を目指し、公開買付者と対象者間で協議の上、新経営体制を決定する予定です。具体的な内容は未定です。

案件検討の経緯

公開買付者は2024年7月下旬に本取引の検討を開始し、8月8日に対象者へ意向表明書を提出。デューデリジェンスを経て、買付価格について協議・交渉を重ねました。当初1,400円だった提案価格を、対象者側からの複数回の引上げ要請を受け、最終的に2,010円とすることで合意に至りました。対象者側は、独立した特別委員会を設置し、ファイナンシャルアドバイザー、リーガルアドバイザー、第三者算定機関の助言を得ながら検討を行い、買付価格の妥当性や手続きの公正性を確認しました。

取引スキームの特徴点

公開買付け後、公開買付者の所有割合が90%以上に達した場合は株式売渡請求、90%未満の場合は株式併合により、対象者の完全子会社化を目指します。いずれの場合も、公開買付けに応募しなかった株主には、買付価格と同額の金銭が交付されます。

取締役会の意見

公開買付者、対象者ともに取締役会は本取引に賛同し、対象者取締役会は株主に対し公開買付けへの応募を推奨しています。対象者側の決議は、公開買付者の従業員を兼務する取締役を除く、利害関係のない取締役全員の一致によるものです。

価格の算出方法

公開買付者側の第三者算定機関であるみずほ証券は、市場株価基準法、類似企業比較法、DCF法を用いて対象者の株式価値を算定しました。DCF法では、対象者から提供された2025年2月期~2027年2月期の3期分の事業計画を基に、将来キャッシュフローを現在価値に割り引く方法がとられました。公開買付者は、この算定結果に加え、デューデリジェンスの結果、市場株価の動向、過去の類似案件のプレミアム水準などを総合的に勘案し、最終的な買付価格を決定しました。シナジー効果は算定に含まれていません。

買付価格決定までの過程

公開買付者と対象者は、買付価格について複数回の交渉を行いました。対象者側の特別委員会は、第三者算定機関による株式価値の算定結果などを基に、当初提案価格では対象者の企業価値を十分に反映していないとして、複数回にわたり価格の引上げを要請しました。公開買付者はこれらの要請を真摯に受け止め、最終的に2,010円とすることで合意に至りました。この価格は、公表前営業日の終値に対して135.09%、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値平均に対してそれぞれ130.50%、122.59%、111.80%のプレミアムを上乗せした水準です。また、上場来高値1,420円に対しても41.55%のプレミアムを含んでいます。

公正性担保措置の内容

公開買付者及び対象者双方に独立した第三者算定機関を選定し株式価値の算定を実施しました。対象者側には、公開買付者から独立した特別委員会を設置し、取引の公正性・妥当性を検討させました。公開買付者の買付予定数の下限をマジョリティ・オブ・マイノリティ(公開買付者と利害関係のない株主が保有する株式の過半数)を上回る数に設定することで、少数株主の意見を尊重しています。また、マーケットチェックの機会を確保するため、取引保護条項は設けられておらず、公開買付期間も法定最短期間である20営業日よりも長い30営業日を設定しています。

西本Wismettacホールディングス株式会社のMBO

案件概要

ワイエス商事株式会社(公開買付者)が西本Wismettacホールディングス株式会社(対象会社)の普通株式に対して公開買付け(本公開買付け)を実施し、MBOにより非公開化を目指す。本公開買付け価格は1株当たり1,930円。公開買付者は買付予定数の上限を設定しておらず、応募された株券等の全てを買付ける。

案件目的

対象会社株式の非公開化を通じて、短期的な市場評価にとらわれずに中長期的な成長戦略を実行し、企業価値の向上を図る。具体的には、上場維持に必要なコストを削減し、迅速かつ機動的な意思決定を可能にすることで、成長投資や事業改革を推進する。

買主と対象企業の関係性

公開買付者の代表取締役である洲崎良朗氏は、対象会社の代表取締役会長CEOであり、かつ対象会社の主要株主(19.19%)でもある。公開買付者は洲崎氏が議決権の全てを所有する対象会社の関連当事者に該当する。また、洲崎氏が関係する多津巳産業株式会社(43.75%)と公益財団法人洲崎福祉財団(9.12%)も対象会社の主要株主である。これら3者は本公開買付けに応募しない旨の合意を締結している(本不応募合意)。

案件背景

対象会社は、アジア食グローバル事業とアグリ事業を展開しているが、世界的な食市場の変化、技術革新、地政学的リスク、コスト上昇、国内市場の停滞といった経営環境の激変に直面している。こうした状況下で中長期的な成長を実現するには、積極的な投資や事業改革が必要となるが、上場企業である限り短期的な業績へのプレッシャーから、これらの施策を実行することは困難であると判断した。

案件後の経営方針

MBO後も洲崎良朗氏が経営を継続し、非公開化のメリットを活かしつつ、以下の施策を迅速かつ積極的に推進する。

  • アジア食グローバル事業における積極的な拡充投資

  • 高度なデジタル化・AI化投資による業務プロセスの合理化

  • 各種人事制度の見直し

  • 強靭かつ効率的なサプライチェーンの構築

  • アグリ事業の収益基盤の強化

案件検討の経緯

洲崎良朗氏は2024年6月下旬にMBOによる非公開化を検討し始め、三井住友銀行と協議を開始。その後、ファイナンシャル・アドバイザーにSMBC日興証券株式会社、リーガル・アドバイザーにTMI総合法律事務所を選任。対象会社は、特別委員会(本特別委員会)を設置し、公開買付者との協議・交渉を開始。本公開買付価格は、本特別委員会からの複数回の増額要請を経て、最終的に1,930円に決定された。

価格の算出方法

プルータス・コンサルティングが第三者算定機関として、市場株価法、類似会社比較法、DCF法を用いて対象会社株式の価値を算定。

  • DCF法: 2024年12月期から2027年12月期までの対象会社作成の事業計画をベースにフリー・キャッシュ・フローを算出。割引率(WACC)は5.1%~8.0%、継続価値はEBITマルチプル(6.0倍~9.0倍)およびEBITDAマルチプル(4.2倍~6.7倍)を用いて算定。算定された株式価値は1株当たり1,515円~2,719円。

買付価格決定までの過程

公開買付者から提示された最初の買付価格は1株当たり1,750円だったが、本特別委員会はこれを少数株主の利益に不十分と判断し、増額を要請。その後、複数回の交渉を経て最終的に1,930円に決定。これは、公表日前営業日の終値に対して44.46%、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値単純平均値に対してそれぞれ44.68%、40.98%、36.98%のプレミアムに相当し、同種のMBOにおけるプレミアム水準の中央値を上回っている。

公正性担保措置の内容

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: 本公開買付けでは設定されていない。これは、本不応募合意株主が既に議決権の3分の2以上を保有していること、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定すると公開買付けの成立が不安定になり、株主の利益を損なう可能性があること等から、本公開買付けにおいては不要と判断されたため。

  • マーケットチェック: 積極的なマーケットチェックは実施されていない。情報管理の観点に加え、公開買付者と本不応募合意株主が既に議決権の3分の2以上を保有しており、対抗提案の可能性が低いことから、積極的なマーケットチェックの意義は乏しいと判断された。ただし、公開買付期間を法定最短期間よりも長い30営業日とすることで、間接的なマーケットチェックは実施されている。また、対抗提案を妨げるような取引保護条項も設けられていない。

大和重工のMBO

案件概要

大和重工は、会社役員を中心とする特別目的会社(SPC)である(株)大和重工ホールディングスを通じて、マネジメント・バイアウト(MBO)を実施する。買付価格は一株当たり1,620円。

案件目的

経営の自由度を高め、迅速かつ柔軟な意思決定を可能にすることで、中長期的な企業価値向上を目指す。短期的な業績変動に左右されず、大胆な投資や事業再編を実行し、持続的な成長を実現する。

買主と対象企業の関係性

買主である(株)大和重工ホールディングスは、大和重工の会社役員が出資する特別目的会社(SPC)である。

案件背景

近年、大和重工を取り巻く経営環境は大きく変化しており、短期的な業績重視の風潮から、長期的視点に立った戦略的な経営が求められている。上場維持に伴うコストや時間的制約を解消し、機動的な経営を実現するために、MBOを選択した。

取締役会の意見

取締役会は、本MBOが大和重工の中長期的な企業価値向上に資すると判断し、応募を推奨している。特に、非公開化による経営の自由度向上と迅速な意思決定の実現は、今後の成長に不可欠であると認識している。

価格の算出方法

DCF法を主たる手法として算出。将来キャッシュフロー予測は、経営陣作成の事業計画に基づき、2024年12月期から2033年12月期までの10年間を対象期間とした。割引率は、CAPMを用いて算出したWACC 8.1%〜9.0%を使用。将来キャッシュフローの永続価値は、保守的にターミナル成長率0%〜3%で算出。これらの前提条件に基づき算出した株式価値に基づき、買付価格を決定した。

出光興産によるアグロ カネショウ株式公開買付け

案件概要

出光興産株式会社(公開買付者)は、アグロ カネショウ株式会社(対象者)の普通株式の全て(対象者保有の自己株式を除く)を、1株当たり1,900円で公開買付けにより取得することを決定しました。買付予定数の下限は8,077,300株(所有割合66.67%)で、下限に満たない場合は買付けを行いません。上限は設定しておらず、下限以上であれば全ての応募株券等を買付けます。

案件目的

対象者を公開買付者の完全子会社化し、出光興産の農薬事業を拡大、強化することです。公開買付け後に対象者を非公開化することも目的としています。

買主と対象企業の関係性

公開買付け時点では、出光興産の連結子会社であるエス・ディー・エス バイオテックと対象者の間で、IPM製品の普及販売に関する業務提携契約に基づく取引関係があるのみです。資本関係や人的関係はありません。

案件背景

出光興産はバイオ・ライフソリューション事業を重点領域として農薬事業の拡大を目指しており、そのためのパートナーを探していました。エス・ディー・エス バイオテックを通じて対象者と業務提携を行い連携を深める中で、両社の技術・販売網の補完性、シナジー効果創出の可能性に着目し、完全子会社化による事業拡大を検討するに至りました。対象者は、他の候補先とも協議を行っていましたが、最終的に出光興産を最適なパートナーとして選択しました。

案件後の経営方針

対象者とエス・ディー・エス バイオテックの製品ポートフォリオの相互補完、技術・バリューチェーンの活用による研究開発促進、国内外販売強化等を通じて農薬事業基盤の強化・拡大を目指します。両社の完全親会社となる中間持株会社設立も検討されています。対象者は監査等委員会設置会社から監査役設置会社に移行予定で、従業員の雇用・処遇は基本的に現状維持の方針です。

案件検討の経緯

出光興産は2024年2月上旬に対象者に買収を打診しましたが、対象者が他の候補先とも協議中だったため一度検討保留となりました。その後、2024年7月中旬に対象者から検討再開の申し入れがあり、デューデリジェンス、シナジー効果の協議、価格交渉を経て、最終的に1株1,900円で合意に至りました。対象者側は特別委員会を設置し、独立したファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーの助言を受けながら、価格交渉や本取引の妥当性について検討を行いました。

取引スキームの特徴点

公開買付けによる取得を行い、公開買付けで全株式を取得できなかった場合は、株式売渡請求または株式併合により完全子会社化を目指します。少数株主保護のため、いずれの場合も裁判所への価格決定申立てが可能です。

取締役会の意見

公開買付者の取締役会は本公開買付けの実施を決定しました。対象者の取締役会も、特別委員会の答申を受け、本公開買付けに賛同し、株主への応募を推奨する決議を行いました。

価格の算出方法

公開買付者はEYに、対象者側は野村證券に、それぞれ株式価値算定を依頼しました。
EYは、市場株価法とDCF法を採用しました。DCF法では、公開買付者が対象者より提出された事業計画を修正したものを用い、本取引によるシナジー効果を見込んで算定しました。

買付価格決定までの過程

公開買付者と対象者(特別委員会)の間で複数回の価格交渉が行われました。公開買付者からの提案は1,600円、1,650円、1,850円と段階的に引き上げられ、最終的に1,900円で合意に至りました。対象者側は、野村證券が算定した株式価値や過去の類似案件のプレミアム水準を参考に、価格の引き上げを要求しました。最終価格は、2024年11月11日の終値に対して41.05%、過去1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の終値平均に対してそれぞれ43.07%、43.40%、52.12%のプレミアムとなっています。

公正性担保措置の内容

  • 特別委員会の設置: 対象者側に設置された特別委員会が、独立した立場から本取引の公正性・妥当性を検討しました。

  • 独立したアドバイザーの起用: 公開買付者、対象者ともに、独立した第三者算定機関及びリーガル・アドバイザーから助言を受けました。

  • マーケットチェック: 公開買付期間を法定最短期間よりも長く設定(30営業日)することで、対抗買付けの機会を確保し、間接的なマーケットチェックを実施しています。「マジョリティ・オブ・マイノリティ」条項は採用していませんが、上記の措置により少数株主の利益に配慮したとされています。

マネーフォワード(クラウド経営管理コンサルティング)によるアウトルックコンサルティングへの公開買付け

案件概要

マネーフォワードの子会社であるマネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング(MFCC)が、アウトルックコンサルティング(証券コード:5596)の普通株式を公開買付けにより取得し、資本業務提携契約を締結する。

案件目的

MFCCは、アウトルックコンサルティングをマネーフォワードの連結子会社化することを目的とする。買付予定数の下限は1,834,800株(所有割合50.10%)、上限は2,197,400株(所有割合60.00%)に設定。公開買付け後もアウトルックコンサルティングの東京証券取引所グロース市場への上場は維持される予定。

買主と対象企業の関係性

案件発表時点で、マネーフォワードグループはアウトルックコンサルティングの株式を保有していない。マネーフォワードはアウトルックコンサルティングの商品の販売に係る取引を行っている。

案件背景

マネーフォワードは経営管理領域への事業拡大を目指し、M&A戦略の一環としてアウトルックコンサルティングへの出資を検討。アウトルックコンサルティングの大株主であるAG2号投資事業有限責任組合(本応募合意株主)も投資回収の機会を検討していたため、両社の意向が一致した。

案件後の経営方針

アウトルックコンサルティングの上場は維持される予定。現在の経営体制も概ね維持されるが、MFCCから3名の取締役が派遣される予定。両社は、クロスセル、製品・データ連携、人材活用等を通じてシナジー効果創出を目指す。

案件検討の経緯

マネーフォワードはアスパラントグループ(本応募合意株主の業務執行組合員)からの紹介を受け、アウトルックコンサルティングと協議を開始。デュー・ディリジェンス、経営陣との面談等を経て、公開買付けによる連結子会社化を決定。

取引スキームの特徴点

公開買付け後も対象会社の上場を維持する点が特徴。買付予定数の上限を60%に設定することで、過度の株式取得を避け、少数株主の利益にも配慮している。

取締役会の意見

アウトルックコンサルティングの取締役会は、公開買付けに賛同の意見を表明。株主に対しては、応募の是非を個々の判断に委ねている。なお、利害関係のある取締役は審議・決議に参加していない。MFCCの取締役会は本公開買付け、資本業務提携契約締結、応募合意契約締結を決議。

価格の算出方法

MFCCは、独立した第三者算定機関であるみずほ証券に株式価値算定を依頼。みずほ証券は、市場株価基準法(995円~1,111円)、類似企業比較法(1,380円~1,837円)、DCF法(1,503円~1,973円)を用いて算定を実施。DCF法では、対象者から提供された2025年3月期~2029年3月期までの5年間の事業計画を基に、マネーフォワードがデューデリジェンス結果等を考慮して調整した将来収益予想を用いている。2025年3月期には、前期計上された固定資産売却の影響がなくなることによるフリーキャッシュフローの大幅な減少を見込んでいる。

買付価格決定までの過程

マネーフォワードは当初1,500円を提案したが、本応募合意株主から価格の引き上げ要請を受け、最終的に1,656円で合意。アウトルックコンサルティングは、主要株主である本応募合意株主に交渉を委任したため、MFCCと直接交渉は行っていない。1,656円は、発表前営業日の終値に対し63.15%、過去1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の平均終値に対しそれぞれ66.43%、65.43%、49.05%のプレミアムとなる。

公正性担保措置の内容

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: 対象会社の取締役会において、利害関係のない取締役のみで公開買付けへの賛同を決議。

  • マーケットチェック: 実施されていない。ただし、公開買付け後も上場が維持されるため、少数株主は公開買付けに応じないという選択肢を持つことができる。また、第三者からの対抗提案があった場合、応募合意株主は公開買付けへの応募を撤回できる旨が契約に定められている。

CVCによるマクロミル株式に対する公開買付け

案件概要

CVC Capital Partners Asia VI Limitedにより間接的に全株式を所有されているTJ Holding Limitedの完全子会社であるTJ1株式会社(公開買付者)が、マクロミル株式会社(対象会社)の普通株式及び第4回新株予約権の全てを対象とした公開買付け(本公開買付け)を実施する。買付価格は普通株式1株につき1,150円、新株予約権1個につき60,000円。公開買付期間は2024年11月15日から12月26日までの30営業日。下限は25,660,500株で上限は設定されていない。

案件目的

公開買付者は、本公開買付けを通じて対象会社を完全子会社化することを目的とする。

買主と対象企業の関係性:

資本関係、人的関係、取引関係、関連当事者への該当状況いずれも無し。

案件背景:

マクロミルは、オンラインリサーチ市場のリーディングカンパニーとして成長してきたが、市場環境の変化(競合他社の積極的な資本投下、AI活用による生産性向上等)に対応するために、機動的な投資やM&Aが必要となった。上場を維持したままでは短期的な業績への影響を懸念する市場からの圧力を受け、中長期的な成長戦略の実行が困難となる可能性があるため、戦略的パートナーの下で非公開化を選択肢の一つとして検討を開始した。

案件後の経営方針

CVCは、マクロミルの中長期的な成長を支援するため、DX/AI投資、採用戦略強化、M&A支援、人材育成、マーケティング強化、ライフサイエンス事業成長加速、グローバル展開加速等の施策を計画している。非公開化により短期的な業績に左右されずに、これらの施策を実行し企業価値向上を目指す。

案件検討の経緯

マクロミルは、企業価値向上のための様々な選択肢を模索する中で、複数のプライベート・エクイティ・ファンドと協議を重ね、最終的にCVCとの協議を進めることとした。CVCは、初期デューデリジェンス、正式提案、デューデリジェンス、価格交渉を経て、最終的に買付価格1,150円、新株予約権買付価格60,000円で合意に至った。

取引スキームの特徴点

下限を設けた公開買付けを行い、公開買付け後に対象会社の株主構成に応じて、株式等売渡請求または株式併合による完全子会社化を目指す二段階買収スキーム。

取締役会の意見

取締役会は、本公開買付けに賛同し、株主及び新株予約権者に対し応募を推奨する。

価格の算出方法

  • DCF法: マクロミルが作成した2025年6月期から2029年6月期までの5期分の事業計画を基に算定。買収シナジーは含まれていない。算定結果は1株当たり1,068円~1,509円。

  • その他、市場株価分析(802円~825円)、類似企業比較分析(689円~850円)も実施。

買付価格決定までの過程

CVCは、マクロミルの財務情報、デューデリジェンス結果、市場株価などを考慮し、価格を提示。マクロミルは、特別委員会を設置し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券をFAとして、価格交渉を実施。CVCは5度にわたり価格を引き上げ、最終的に1,150円で合意した。この価格は、2024年11月13日終値に対して42.68%、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値平均に対してそれぞれ42.50%、43.39%、39.39%のプレミアムとなっている。

公正性担保措置の内容

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: 買付予定数の下限を、公開買付者と利害関係のない株主が保有する株式数の過半数を上回る数に設定することで、少数株主の意思を尊重。

  • マーケットチェック: 対抗的買収提案を制限するような合意は締結しておらず、公開買付期間も法定最短期間よりも長い30営業日を設定することで、間接的なマーケットチェックを実施。

  • その他、独立した特別委員会の設置、独立したFA及びリーガルアドバイザーの起用、少数株主保護規定に基づく価格決定申立権の確保なども実施。

フリークアウト・ホールディングスによる、UUUM株式会社への完全子会社化

案件概要

UUUM株式会社(以下、UUUM)の支配株主である株式会社フリークアウト・ホールディングス(以下、フリークアウトHD)は、UUUMの普通株式及び新株予約権の全てを取得し、UUUMを完全子会社化するための公開買付け(以下、本公開買付け)を実施する。買付価格は1株あたり532円。新株予約権の買付価格は、権利行使価額と買付価格の差額に基づき決定され、行使条件未充足のものは1円となる。

案件目的

フリークアウトHDは、本公開買付けを通じてUUUMを完全子会社化することにより、資本関係を強化し、少数株主との利益相反の懸念を解消する。これにより、協業体制の構築、経営資源・ノウハウの最大化、意思決定の迅速化・簡素化、事業成長への経営資源の集中を図り、UUUMの収益力向上と更なる企業価値向上を目指す。

買主と対象企業の関係性

フリークアウトHDは、既にUUUM株式の50.97%を保有する親会社であり、UUUMはフリークアウトHDの連結子会社である。両社間には資本業務提携契約が締結されており、役員兼任や取引関係も存在する。

案件背景

フリークアウトHDは、インフルエンサーマーケティング事業の更なる成長を目指しており、その戦略においてUUUMを中核子会社と位置付けている。しかし、UUUMが上場会社であることによる少数株主との利益相反が、事業提携や意思決定の迅速化を阻害する要因となっていた。加えて、本資本業務提携開始後のUUUMの売上高は減少傾向にあり、更なるコスト最適化と売上向上のためにも完全子会社化が必要と判断された。

案件後の経営方針

フリークアウトHDは、UUUMの現経営陣による経営継続を尊重する方針を示しているが、具体的な経営体制は今後協議の上決定する。UUUMは、フリークアウトHDの子会社として独立性を持ちつつ、インフルエンサー領域やエンターテイメント領域の更なる成長を目指す。商号やブランドの変更は現時点では予定されていない。

案件検討の経緯

フリークアウトHDは2024年6月上旬に本取引の検討を開始し、UUUMとの協議を経て、デューデリジェンスを実施。その後、買付価格について複数回の交渉が行われた。当初、フリークアウトHDは460円を提案したが、UUUM側からの要請を受けて段階的に引き上げ、最終的に532円で合意に至った。

取引スキームの特徴点

本公開買付け後、フリークアウトHDが90%以上の議決権を取得した場合には株式等売渡請求を行い、90%未満の場合には株式併合を実施してUUUMを完全子会社化する二段階買収スキームを採用している。少数株主の権利保護のため、いずれの場合も少数株主は裁判所への価格決定申立てが可能。また、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件は設定されていない。

取締役会の意見

UUUMの取締役会は、本公開買付けに賛同の意見を表明し、株主に対して応募を推奨している。これは、本取引がUUUMの企業価値向上に資すると判断したためである。新株予約権についても、権利行使価額と買付価格の差額に基づき算定された買付価格であれば応募を推奨し、行使条件未充足のものについては株主の判断に委ねるとしている。

価格の算出方法

フリークアウトHDは、みずほ証券を第三者算定機関として選定し、市場株価基準法、類似企業比較法、DCF法を用いてUUUMの株式価値を算定した。DCF法では、UUUMから提供された2025年9月期~2029年9月期の事業計画を基に、フリーキャッシュフローを割引率で現在価値に割り引いて算定。事業計画には、コスト管理の徹底や注力分野への投資による営業利益の増益、設備投資額の増減によるフリーキャッシュフローの変動などが含まれる。シナジー効果は算定に含まれていない。

買付価格決定までの過程

フリークアウトHDとUUUM(特別委員会)の間で買付価格に関して複数回の交渉が行われた。フリークアウトHDの当初提案価格460円に対し、UUUMは当初の事業計画の下方修正などを理由に価格の引上げを要求。交渉の結果、最終的に532円で合意に至った。この価格は、公表前営業日の終値に対して46.56%、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値単純平均に対してそれぞれ45.75%、38.54%、29.44%のプレミアムとなっている。

公正性担保措置の内容

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: フリークアウトHDは既にUUUM株式の過半数を保有しているため、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定すると本公開買付けの成立が不安定になり、応募を希望する少数株主の利益を損なう可能性があるとして、本公開買付けでは設定していない。

  • マーケットチエック: フリークアウトHDは、対抗的買収提案者との接触を制限する合意をUUUMと締結しておらず、公開買付期間も法定最短期間よりも長い30営業日を設定している。これは、間接的なマーケットチェックとして機能し、他の買付者からの買付け機会を担保するための措置とされている。

追加事項

UUUMは、2024年10月15日に通期業績予想を下方修正しているが、これは本公開買付けとは無関係に実施されたものであり、本事業計画の作成過程及び内容に不合理な点はないとしている。また、前回公開買付けにおける買付価格727円との乖離は、前回公開買付け後の環境変化やUUUMの業績・株価の推移を反映したものとされている

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