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2024年12月2日週まで直近のM&A情報

目次

  • 三菱UFJ銀行、ウェルスナビの完全子会社化

  • アイキューブドシステムズ、ワンビ株式会社株式公開買付け(子会社化)

  • スターゼン豪州の牛肥育農場関連企業の子会社化

  • 紀伊國屋書店、旭屋書店および東京旭屋書店の株式取得

  • 千趣会、ベルメゾンロジスコの株式取得

三菱UFJ銀行、ウェルスナビの完全子会社化

案件概要: 株式会社三菱UFJ銀行(公開買付者)は、ウェルスナビ株式会社(対象者)の普通株式および新株予約権の全てを、公開買付けにより取得することを決定しました。買付価格は1株あたり1,950円で、新株予約権の買付価格は本公開買付価格と各新株予約権の対象者株式1株当たりの行使価格との差額に各新株予約権1個の目的となる対象者株式の株式数を乗じた価格です。

案件目的: 対象者を完全子会社化し、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のリテール事業強化、特にデジタル戦略を加速させることを目的としています。

買主と対象企業の関係性: 公開買付者は既にウェルスナビ株式の15.13%を保有する持分法適用関連会社であり、2024年2月に資本業務提携を締結しています。また、公開買付者向けにロボアドバイザー「WealthNavi for 三菱UFJ銀行」を共同開発・提供しています。

案件背景: 政府の資産所得倍増プランやNISA制度の拡充を背景に、資産運用サービスへの需要が高まっています。MUFGはリテール顧客基盤強化を推進しており、ウェルスナビの技術力と開発スピードをグループに取り込むことで、デジタルサービスの強化、特に「一人別提案」の実現を加速させたいと考えています。

案件後の経営方針: ウェルスナビの現経営陣による経営執行を継続する方針です。特に、柴山CEOは一定期間、現任のまま代表取締役CEOを継続する予定です。従業員の雇用も原則として同水準の処遇で継続されます。

案件検討の経緯: 2024年8月、公開買付者はウェルスナビとの連携強化を検討開始。9月に完全子会社化を前提とした買収意向を表明し、デューデリジェンスと価格交渉を経て、最終的に1株1,950円で合意に至りました。価格交渉は、公開買付者の提示価格1,450円から始まり、対象者側からの複数回の値上げ要請を経て、最終合意に至っています。

取引スキームの特徴点: 公開買付け後、公開買付者が90%以上の議決権を取得した場合は株式等売渡請求、90%未満の場合は株式併合により、完全子会社化を目指します。

取締役会の意見: ウェルスナビ取締役会は、本公開買付けに賛同し、株主に対して応募を推奨する決議を行いました。これは、独立した特別委員会の答申に基づいています。

価格の算出方法: 公開買付者は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に株式価値算定を依頼。市場株価分析、類似企業比較分析、DCF法を用いて算定されました。DCF法では、ウェルスナビ作成の事業計画を基に、2025年12月期から2029年12月期までの5年間のフリーキャッシュフローを予測。ロボアドバイザー事業、新規事業への送客による顧客基盤拡大を見込み、大幅な増益を計画しています。シナジー効果は算定に含まれていません。

買付価格決定までの過程: 公開買付者と対象者(特別委員会)の間で複数回の価格交渉が行われました。公開買付者は当初1,450円を提示しましたが、対象者側はこれを不十分として値上げを要求。最終的に1,950円で合意に至りました。この価格は、公表前営業日の終値に対して84.31%、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値平均に対してそれぞれ78.24%、71.65%、57.00%のプレミアムとなっています。

公正性担保措置の内容:

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: 買付予定数の下限を、公開買付者およびその特別関係者以外の株主が保有する株式数の過半数(マジョリティ・オブ・マイノリティ)を上回る水準に設定することで、少数株主の意向を尊重しています。

  • マーケットチェック: 公開買付期間を30営業日と法定最短期間よりも長く設定することで、対抗的な買付けの機会を確保しています。積極的なマーケットチェックは実施していません。また、独立した特別委員会を設置し、MUFGグループから独立した立場で本取引の妥当性などを検討しています。

アイキューブドシステムズ、ワンビ株式会社株式公開買付け(子会社化)

案件概要: 株式会社アイキューブドシステムズ(公開買付者)は、ワンビ株式会社(対象者)の株式350,000株(所有割合47.43%)を1株当たり1,200円で公開買付けにより取得し、対象者を連結子会社化することを決定しました。本公開買付けは、対象者株式の上場廃止を企図するものではありません。

案件目的: 対象者を連結子会社化することにより、両社の事業シナジーを最大化し、公開買付者グループ全体の企業価値向上を図ることです。

買主と対象企業の関係性: 公開買付者は、以前から対象者からWindows端末向けの管理・セキュリティのためのソフトウェアの提供を受けており、オプションサービスとして販売していました。

案件背景:

  • 公開買付者は、主力事業であるCLOMO事業(モバイル端末管理サービス)のWindows端末向け機能強化・サービス拡充のため、M&Aを検討していました。

  • 対象者は、Windowsに特化したセキュリティサービスを提供していますが、経営資源の制約から事業拡大が困難であり、iOS/Android端末管理に強い企業との協業を模索していました。

  • 両社は、互いの強みを補完し合える関係にあり、協業によるシナジー効果が期待できることから、資本提携を含む協議を開始しました。

案件後の経営方針: 対象者の事業特性・強みを活かした経営を行い、公開買付者とのシナジー効果を最大化するための体制作りを目指します。具体的には、対象者の取締役の員数を増員し、その一部を公開買付者が指名する予定です。ただし、対象者の現経営体制を尊重し、現在の取締役の多くは留任する予定です。

案件検討の経緯:

  1. 公開買付者は、事業計画会議においてWindows端末向けサービス強化のためM&Aを検討。

  2. 対象者との協議を開始し、当初は完全子会社化を目指していましたが、対象者側の意向を踏まえ、連結子会社化を目指すことに変更。

  3. デュー・ディリジェンス、株式価値算定、本応募合意株主との価格交渉等を経て、公開買付けの実施を決定。

取引スキームの特徴点: 対象者上場維持を前提とした公開買付けです。買付予定数の上限と下限を同数に設定しており、公開買付け成立後に対象者株式を追加取得する予定はありません。

取締役会の意見: 公開買付者取締役会は、本公開買付けの実施を全会一致で決議しました。対象者取締役会も(利害関係者を除く)賛同の意見を表明しています。

価格の算出方法:

  • DCF法を採用。税理士法人AKJパートナーズによる算定の結果、対象者株式1株当たりの価値は960円~1,312円と試算されました。

  • 対象者の中期経営計画をベースにフリー・キャッシュ・フローを算出し、WACC(加重平均資本コスト)を用いて割引率を算出しています。

  • なお、シナジー効果は算定に含まれていません。

買付価格決定までの過程:

  1. 公開買付者は、DCF法による算定結果、デュー・ディリジェンス結果、対象者上場日における初値(1,200円)等を総合的に勘案し、1株当たり1,200円を提案。

  2. 本応募合意株主と交渉し、1,200円で合意。対象者側は価格交渉に関与していません。

  3. 最終的に公開買付者取締役会において、1株当たり1,200円で公開買付けを実施することを決議しました。

公正性担保措置の内容:

  • マジョリティ・オブ・マイノリティ: 対象者取締役会において、公開買付けに関する議決は、公開買付者との間で応募契約を締結している取締役を除く、利害関係のない取締役のみで行われました。

  • マーケットチェック: 対象者株式はTOKYO PRO Marketに上場していますが、上場日以降取引が成立していないため、市場株価による比較は行われていません. しかし、上場初値と同額での買付価格設定は、流動性の低い市場における株主の売却機会提供という側面も考慮されています。

  • 独立した第三者算定機関による株式価値算定: 公開買付者、対象者それぞれが独立した第三者算定機関に株式価値算定を依頼しています。

スターゼン豪州の牛肥育農場関連企業の子会社化

当事者

  • 買主:スターゼン株式会社

  • 売主:個人(非開示)

  • 対象企業:YORKRANGE Pty Ltd (BROAD WATER DOWNS Pty Ltdの親会社)

案件に関する概要

  • 案件目的:

    • 中期経営計画における「新規事業への挑戦」「海外事業の強化」戦略の一環。

    • 豪州Wagyuをはじめとする豪州産牛肉の取扱いを拡大。

    • 豪州Wagyuの生産に直接関与し、中国や東南アジアを中心とした第三国への販売までを担うサプライチェーンの強化。

    • 将来的な日本産和牛の生産頭数減少への対策。

    • 自社での牛肥育事業経営による品質向上とブランド牛の価値向上。

  • 案件概要:

    • スターゼン株式会社がYORKRANGE Pty Ltdの発行済株式100%を取得し、子会社化。

    • YORKRANGE Pty LtdはBROAD WATER DOWNS Pty Ltdの発行済株式100%を保有しており、BROAD WATER DOWNS Pty Ltdはスターゼンの孫会社となる。

  • 対象企業概要(事業概要含む):

    • YORKRANGE Pty Ltd: 土地管理及びBROAD WATER DOWNS Pty Ltdへの土地賃貸事業

      • 22年6月期~24年6月期の業績推移(概算、1豪ドル=100円換算):売上高1.2億円→2.0億円→1.7億円、当期純利益0.2億円→3.3億円→5.0億円

    • BROAD WATER DOWNS Pty Ltd: 肥育事業、繁殖事業、農業事業

      • 22年6月期~24年6月期の業績推移(概算、1豪ドル=100円換算):売上高6.1億円→9.8億円→10.9億円、当期純利益1.3億円→1.0億円→△2.2億円

  • 取得価額: YORKRANGE Pty Ltdの株式取得費用55.9億円、アドバイザリー費用等3.5億円、合計59.4億円(概算)

紀伊國屋書店、旭屋書店および東京旭屋書店の株式取得

当事者

  • 買主:株式会社 紀伊國屋書店

  • 売主:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 (CCC)

  • 対象企業:株式会社旭屋書店、株式会社東京旭屋書店

案件に関する概要

  • 案件目的: 旭屋書店および東京旭屋書店の持続可能な経営の推進。紀伊國屋書店の経営資源やサービス基盤を活用し、顧客への新たな価値提供と地域文化への貢献を強化。

  • 案件概要: CCCの子会社である旭屋書店および東京旭屋書店の全株式を紀伊國屋書店が取得する株式譲渡契約を締結。

  • 対象企業概要(事業概要含む):

    • 旭屋書店:1946年創業。関東、関西を中心に11店舗を展開。書籍・雑誌・文具・雑貨の販売を行う。

    • 東京旭屋書店:1965年創業。関東、関西を中心に11店舗を展開。(旭屋書店と合わせて11店舗)書籍・雑誌・文具・雑貨の販売を行う。

    • 両社とも2018年よりCCCグループに参画し、CCCグループのシステムを軸とした書店運営を行い、「本」を通じて地域文化に貢献してきた。

  • 取得価額: 不明

千趣会、ベルメゾンロジスコの株式取得

当事者

  • 買主: 株式会社 千趣会

  • 売主: 住商グローバル・ロジスティクス株式会社 (SGL社)

  • 対象企業: 株式会社ベルメゾンロジスコ (BML社)

案件に関する概要

  • 案件目的: 千趣会は、SGL社、BML社、千趣会の3社によるBML社への共同事業の目的とした成果が一定程度得られたため、SGL社保有のBML社株式を取得し、BML社を完全子会社化することで、更なる物流サービスの改善を含めた通信販売事業の競争力強化を図る。

  • 案件概要: 千趣会がSGL社保有のBML社株式(発行済株式の66.6%)を取得する株式譲渡契約を締結。これによりBML社は千趣会の完全子会社となる。

  • 対象企業概要(事業概要含む): BML社は、通信販売業界向け物流センターの企画・運営・管理を主な事業とする。岐阜県可児市及び岐阜県美濃加茂市の2カ所で物流センターを運営し、主に千趣会の通信販売事業「ベルメゾン」で取り扱う商品の発送業務を行っている。

  • 取得価額: 不明 (株式取得先との協議により非公表)

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