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CLホールディングスによるCDGの完全子会社化

案件概要

  • 公開買付者: 株式会社CLホールディングス

  • 対象者: 株式会社CDG (証券コード 2487)

  • 公開買付けの目的: 株式会社CDGを完全子会社化

  • 公開買付け期間: 2024年8月9日(金)~2024年9月24日(火) (30営業日)

  • 買付予定数: 3,168,484株

    • 下限: 1,275,495株 (応募株券等の総数がこれに満たない場合は買付けを行わない)

    • 上限: 設定なし (買付予定数の下限以上であれば全ての応募株券等を買付け)

  • 買付価格: 1株当たり1,680円

  • 決済の開始日: 2024年10月1日(火)

案件目的

今回の公開買付けの目的は、株式会社CDGを完全子会社化し、両社の連携をさらに強化することです。これにより、以下の具体的な効果の実現を目指しています。

  • 迅速かつ柔軟な意思決定と経営戦略の実行による競争力強化

    • 現在の親子上場体制では、意思決定が複雑になり、迅速な対応が難しい状況です。完全子会社化により意思決定プロセスをシンプルにし、変化の激しい市場環境において、顧客ニーズに合わせたサービスをいち早く提供することで競争力を強化します。

  • 人材の有効活用を含む経営資源の最適化

    • 現在の体制では、グループ全体での経営資源の最適化が困難です。完全子会社化により、グループ一体での運営が可能となり、人材配置の最適化、業務効率化、コスト削減を実現し、収益性の向上を目指します。

  • 親子上場における潜在的な利益相反問題の排除と、上場維持コスト等の負担軽減

    • 現在の親子上場体制では、少数株主の利益に配慮する必要があり、機動的な経営判断が難しい面があります。完全子会社化により、この問題を解消し、意思決定の迅速化を図ります。また、上場維持コストの削減も実現できます。

買主と対象企業の関係性

買主と対象企業の関係性について

公開買付者である株式会社CLホールディングスと、対象者である株式会社CDGの間には、以下の3つの関係性が認められます。

  1. 資本関係

    • 公開買付者は、2024年8月8日時点で、対象者株式の44.21%を保有する筆頭株主であり、対象者を実質的に支配していることから、連結子会社としています。

  2. 人的関係

    • 対象者の取締役9名のうち3名が公開買付者の取締役を兼任しています。

    • 公開買付者の従業員1名が対象者に出向しており、対象者の従業員13名が公開買付者に出向しています。

  3. 取引関係

    • 公開買付者は、対象者との間で資本業務提携契約を締結しています。

    • 対象者から資金の借り入れや、対象者に対する施設利用料の支払いを行っています。

これらの関係性から、公開買付者と対象者には、深い繋がりと相互依存の関係があることが分かります。特に、株式保有における支配的な地位や、取締役の兼任、従業員の相互出向といった人的関係は、両社間の連携が既に緊密に進んでいることを示唆しています。

案件背景

今回の公開買付けの背景には、大きく分けて市場環境の変化両社間の関係性の変化の2つの要因があります。

市場環境の変化

  • マーケティング市場の複雑化: 消費者の消費行動や価値観の多様化、DXの加速により、従来のマス・マーケティングから、消費者一人ひとりに合わせたマーケティング手法への転換が求められています。

  • 競争環境の激化: 大手広告代理店やIT企業の参入により、従来の販促・物販市場の枠組みを超えたサービス提供が求められており、競争が激化しています。

  • 消費者ニーズの多様化と市場の不透明感: 消費者のニーズが多様化し、高齢化や人口減少も進む中で、従来の販促市場の成長性に不透明感が増しています。

このような変化に対応するためには、より迅速かつ柔軟な意思決定、多様なサービスの提供、そして新たな事業機会の創出が不可欠となります。

両社間の関係性の変化

  • 資本業務提携と協業の進展: 2019年の資本業務提携以降、両社は人材交流、共同開発、顧客基盤の共有など、様々な連携を進めてきました。

  • コロナ禍における連携強化: コロナ禍によりデジタルマーケティングの重要性が増す中、両社の連携はさらに強化され、新たなマーケティング手法の開発や顧客ニーズへの対応を共同で行ってきました。

  • 上場子会社であるが故の制約: しかし、親子上場体制であるが故に、情報管理や少数株主への配慮など、意思決定や経営資源の活用に制約が生じていました。

案件後の経営方針

CLホールディングスは、対象者との連携をさらに強化していく方針です。具体的には、以下の点を重視していきます。

  • 経営資源の集中: CLホールディングスからの経営資源の投入を、よりスムーズに行えるようにします。

  • 意思決定の迅速化: グループ全体の意思決定プロセスを効率化し、迅速な経営判断を可能にします。

  • 経営の効率化: 業務プロセスの改善やコスト削減など、グループ全体の効率性を高めます。

これらの施策を通じて、中長期的に対象者を含むCLホールディングスグループ全体の成長を促進し、企業価値向上を目指します。

対象者事業の変更について

  • 現時点では、対象者事業の範囲(拡大、縮小、変更など)に関する具体的な予定はありません。

  • 将来的には、CLホールディングスグループ全体での成長戦略に基づき、事業内容の変更や新たな事業展開の可能性も考えられますが、現時点では未定です。

対象者の経営体制・人事施策について

  • 本取引後の対象者の経営体制、取締役会の構成、公開買付者からの役員派遣などは、現時点では未定です。

  • 本公開買付け後の対象者における労働条件の変更や人員削減などの人事施策も、現時点では検討されていません。

  • CLホールディングスグループ全体としては、「適材適所の人員配置」を基本方針として、グループ内の人材の有効活用、雇用方針や処遇の改善などを検討していく予定です。

案件検討の経緯

  • 2024年3月上旬に、公開買付者及び対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーを選任しました。

  • 公開買付者は、2024年4月25日に、対象者を完全子会社化することを目的とした本取引に関する意向表明書を対象者へ提出しました。

  • 2024年5月22日、公開買付者は対象者より、本意向表明書の内容について検討する旨の連絡を受けました。

  • 2024年6月の上旬から2024年7月の中旬まで対象者グループに関するデュー・ディリジェンスを実施しました。

  • 2024年7月中旬以降、本公開買付価格及び本株式交換に係る交換比率について対象者との間で協議・検討を続けてきました。

  • 2024年8月7日、対象者より、対象者取締役会にて承認されることを条件として、本公開買付価格を1,680円とすることに同意する旨の回答を書面にて受領しました。

  • 2024年8月8日、公開買付者は、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、本公開買付価格を1,680円とする本公開買付けを行うことを決議いたしました。

ポイント

  • 買付価格は、公開買付者と対象者、そして特別委員会の間で複数回の協議・交渉を経て決定されました。

  • 対象者側は、独立した専門家からの助言やデュー・ディリジェンスの結果を踏まえ、少数株主の利益保護の観点から慎重に検討を行いました。

  • 最終的な買付価格は、当初提案から12%引き上げられています。

  • 対象者取締役会は、全会一致で公開買付けに賛同し、株主への応募推奨を決定しました。

これらの経緯から、公開買付者と対象者の双方が、少数株主を含む全てのステークホルダーの利益に配慮しつつ、公正かつ透明な手続きを経て、今回の公開買付けに至ったことが分かります。

取引スキームの特徴点

  • 本公開買付けにおいて対象者株式の全てを取得できなかった場合には、公開買付者は、本公開買付け成立後、株式交換又は株式併合により対象者株式の全てを取得する予定です。

  • 公開買付者は、完全子会社化を実現するためのスクイーズアウトの手続として株式交換によることを志向していますが、対象者の少数株主の利益を考慮し速やかにスクイーズアウトを実施すべく、株式交換が成立しない場合には株式併合を実施することを予定しています。

取締役会の意見

公開買付者取締役会の意見

  • 公開買付けの目的の合理性: 対象者を完全子会社化することで、迅速かつ柔軟な意思決定、経営資源の最適化、親子上場における潜在的な利益相反問題の排除などのシナジー効果が期待でき、企業価値向上に繋がると判断しました。

  • 買付価格の妥当性: 独立した第三者算定機関による対象者株式の価値算定、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価の推移、本公開買付けに対する応募の見通しなどを総合的に勘案し、買付価格1,680円を妥当と判断しました。

  • 結論: 上記の観点から、公開買付けの実施を全会一致で決議しました。

対象者取締役会の意見

  • 公開買付けへの賛同: 本公開買付けが、対象者の企業価値向上に資するものであること、また買付価格が妥当であることを認め、賛同することを決議しました。

  • 株主への応募推奨: 対象者の株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。

対象者取締役会における、少数株主の利益保護の観点からの判断

  • 特別委員会の設置と答申: 独立した社外役員で構成される特別委員会を設置し、取引の公正性や少数株主の利益保護について客観的な評価を得ました。

  • 特別委員会の答申内容: 取引の目的の合理性、取引条件の妥当性、手続きの公正性が認められ、少数株主にとって不利益はないと判断されました。

  • 取締役会の決議: 特別委員会の答申を最大限尊重し、公開買付者との交渉や買付価格の妥当性などを慎重に検討した上で、公開買付けへの賛同と応募推奨を全員一致で決議しました。

少数株主への配慮

  • 買付価格の引き上げ: 公開買付者との交渉を通じて、買付価格を当初提案から12%引き上げ、少数株主の利益確保に努めました。

  • 株式交換または株式併合: 公開買付けに応募しない株主に対しても、株式交換または株式併合を通じて、CLホールディングスグループの成長の利益を享受できる選択肢を提供しています。

  • 株式買取請求権: いずれの手続きにおいても、反対株主は株式買取請求権を行使できます。

これらの点から、両社の取締役会は、少数株主を含む全てのステークホルダーの利益に配慮しながら、企業価値向上という観点から、今回の公開買付けが妥当であると判断したと言えます。

価格の算出方法

公開買付者である株式会社CLホールディングスは、買付価格の公正性を担保するために、以下のプロセスを経て対象者株式の価値評価を行い、買付価格を決定しました。

  1. 第三者算定機関の選定:

    • 公開買付者と対象者双方から独立した第三者算定機関として、SBI証券を選定しました。

  2. 株式価値算定方法:

    • SBI証券は、以下の3つの手法を用いて対象者株式の価値を算定しました。

      • 市場株価法: 過去の株価に基づいて評価する方法。

      • 類似会社比較法: 類似企業の株価や財務指標と比較して評価する方法。

      • DCF法 (Discounted Cash Flow): 将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法。

  3. DCF法の詳細:

    • 対象者: 株式会社CDG

    • 算定期間: 2024年12月期~2026年12月期 (3期間)

    • 基礎データ: 対象者作成の事業計画、直近までの業績、一般公開情報など

    • 将来キャッシュフロー: 対象者が将来生み出すと予想されるフリーキャッシュフローを、事業計画などを基に推定。

    • 割引率: 12.1%~15.1%

    • 継続価値: 永久成長率0%を前提とした永久成長率モデルを採用。

    • 事業計画における大幅な増減益: ITインフラ整備、SFA活用、顧客選別、事業ポートフォリオマネジメント、グループシナジー強化などにより、2025年12月期、2026年12月期に大幅な増益を見込んでいます。

    • シナジー効果: 本取引によるシナジー効果は、現時点で具体的に見積もることが困難なため、評価には反映されていません。

    • 算定結果: 対象者株式1株当たりの価値は、1,616円~1,834円と算定されました。

  4. 買付価格の決定:

    • 公開買付者は、SBI証券による株式価値算定結果に加え、対象者取締役会による公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価の推移、本公開買付けに対する応募の見通しなどを総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結果、最終的に買付価格を1株当たり1,680円と決定しました。

    • この価格は、SBI証券によるDCF法の算定範囲内に収まっており、市場株価法や類似会社比較法による算定結果を上回っています

    • また、公開買付け公表日の前営業日の終値に対して39.88%のプレミアムを加えた価格となっています。

CLホールディングスは、DCF法による評価を重視しつつ、市場環境やその他の要素も総合的に考慮し、対象者との協議・交渉を経て、最終的な買付価格を決定しました。この価格は、独立した第三者算定機関による評価に基づいており市場価格に対して十分なプレミアムを含んでいることから、公正かつ妥当であると考えられます。

特に、DCF法においては、対象者の今後の成長性を適切に評価するために、事業計画に基づく将来キャッシュフローを重視しています。ただし、本取引によるシナジー効果は現時点で評価に織り込まれていないため、実際の価値はさらに高くなる可能性がある点に留意が必要です。

買付価格決定までの過程

買付価格決定までの過程の詳細

買付価格の決定は、公開買付者と対象者、そして対象者に設置された特別委員会の間で、複数回の協議・交渉を経て決定されました。その過程は、買付価格の引き上げを伴う交渉の繰り返しでした。

(注) プレミアムは、提案日の前営業日の終値に対するプレミアムです。

交渉におけるポイント

  • 対象者側の主張: 対象者側は、独立した特別委員会や財務アドバイザーの意見を参考に、少数株主の利益保護の観点から、公開買付価格の引き上げを繰り返し求めています。特に、他の類似案件におけるプレミアム水準や、本取引によるシナジー効果などを考慮すべきだと主張しました。

  • 公開買付者側の対応: 公開買付者側は、当初は対象者作成の事業計画に基づくDCF法による評価を重視していましたが、交渉を通じて対象者側の主張を受け入れ、買付価格を引き上げていきました。最終的には、当初提案から180円(12%)の引き上げとなりました。

  • 合意: 最終的な買付価格1,680円は、対象者取締役会においても承認され、両社間で合意に至りました。

最終価格のプレミアム水準

最終的な買付価格1,680円は、以下のプレミアムを含んでいます。

  • 提案日前営業日の終値: 43.84%

  • 直近1ヶ月間の終値単純平均: 33.55%

  • 直近3ヶ月間の終値単純平均: 31.46%

  • 直近6ヶ月間の終値単純平均: 32.39%

これらのプレミアムは、他の類似案件におけるプレミアム中央値を上回っており、対象者側の主張が一定程度反映された結果と言えるでしょう。

公正性担保措置の内容

公開買付者である株式会社CLホールディングスと対象者である株式会社CDGは、本公開買付けが支配株主による公開買付けには該当しないものの、公開買付者による対象者株式の所有割合が44.21%と高く、公開買付者が対象者の主要株主兼筆頭株主であることから、少数株主との間の利益相反や情報の非対称性の問題が生じる可能性を考慮し、以下の公正性担保措置を講じています。

  • 少数株主の利益保護

    • 公開買付者・対象者双方での独立した第三者算定機関による株式価値算定:

      • 公開買付者はSBI証券、対象者はアイ・アールジャパンを選定し、対象者株式の価値を算定させ、買付価格の妥当性を客観的に評価しました。

    • 対象者における独立した特別委員会の設置と答申:

      • 対象者に、独立した社外役員で構成される特別委員会を設置し、取引の公正性や少数株主の利益保護について客観的な評価を得ました。

      • 特別委員会は、取引の目的の合理性、取引条件の妥当性、手続きの公正性が認められ、少数株主にとって不利益はないと判断しました。

    • 対象者における独立した法律事務所・監査法人からの助言:

      • 対象者は、独立した法律事務所や監査法人から、手続きの公正性や法的・財務的・税務的な観点からの助言を得て、少数株主の利益保護に配慮しました。

    • 対象者における独立した検討体制の構築:

      • 対象者は、公開買付者から独立した立場で取引を検討・交渉・判断する体制を構築し、利益相反の排除に努めました。

  • 市場における公正性の確保

    • マジョリティ・オブ・マイノリティ条件不設定の理由:

      • 本公開買付けでは、応募株主の過半数の賛成を条件とする「マジョリティ・オブ・マイノリティ(MOM)条件」を設定していません。

      • これは、MOM条件を設定すると公開買付けの成立が不安定になり、応募を希望する株主の利益を損なう可能性があるためです。

      • 代わりに、買付予定数の下限を設定することで、一定の株主の応募がなければ公開買付けが成立しない仕組みとし、公正性を担保しています。

    • マーケットチェック:

      • 公開買付期間を法定最短期間(20営業日)よりも長い30営業日に設定し、対抗買収提案の機会を確保することで、間接的なマーケットチェックを実施しています。

      • また、対象者が他の買収提案者と接触することを制限するような合意は一切行っていないため、市場における競争性を確保しています。

これらの措置を通じて、公開買付者と対象者は、少数株主を含む全てのステークホルダーの利益を最大限に尊重し、公正かつ透明な手続きで取引を進めるよう努めています。特に、少数株主の利益保護市場における公正性の確保という2つの観点から、多角的な対策を講じている点が特徴と言えるでしょう。

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