2024年9月16日週まで直近のM&A情報
目次
トランコムのMBO
Casa、株式会社プロフィットセンターの株式の取得(子会社化)
セイコーエプソン、印刷プロセスのデジタル化をリードするFiery社を完全子会社化
INFORICH、ChargeSpot Digital Service Co. Ltd.の株式取得
エムスリー、株式会社エランの連結子会社化
トランコムのMBO
Casa、株式会社プロフィットセンターの株式の取得(子会社化)
当事者
買主:株式会社Casa
売主:株式会社ダイレクト・ホールディングス
対象企業:株式会社プロフィットセンター
案件目的
不動産賃貸管理市場における顧客満足度向上のため、(株)プロフィットセンターの持つ専門性の高いコールセンター業務のノウハウや技術を取り込み、新たな付加価値サービスを提供し、企業価値向上を目指す。
案件概要
株式会社Casaが、株式会社プロフィットセンターの発行する全株式を取得し、子会社化することを決定。
対象企業概要
社名: 株式会社プロフィットセンター
所在地: 東京都立川市曙町二丁目34番6号コクーンビル3F
代表者: 代表取締役 千原 秋子
事業内容:
通信販売事業に関連するコンサルティング業務
電話による販売促進関連業務
資本金: 5百万円
設立年月日: 2017年7月12日
取得価額
株式会社プロフィットセンターの普通株式 350百万円
アドバイザリー費用等(概算額) 32百万円
合計(概算額) 382百万円
会社概要(事業概要含む)
事業内容: 不動産管理会社や自主管理家主向けに、家賃債務保証サービス、賃貸管理アプリサービス、不動産経営プラットフォーム(ソリューションサービス)などを提供。
事業規模:
代理店社数:約1.3万社
年間申込件数:約19万件
年間契約件数:約13万件
売上高:112億円(FY2023実績)
従業員数:304人
対象市場
不動産管理会社市場
自主管理家主市場(特に相続対策家主と投資家主が増加傾向)
不動産テック市場
経営課題
中期経営計画2025における課題:
営業ツールのリプレース
新規代理店獲得
セキュリティ強化
デジタル及びAI技術の向上
既存代理店の利用率向上
事業用保証サービスの拡大
審査基準のアップデート
事務業務効率の向上
売上原価圧縮に向けた滞納の抑制と回収効率の向上
システムに伴う課題対応
人材の確保と育成
経営戦略
基本戦略:
顧客満足度の追求: 保証DXを推進しサービス領域を拡大、持続的な成長を目指す
売上拡大に向けた戦略: 代理店の獲得と利用率の拡大、新規出店による市場拡大
利益拡大への取り組み: 売上原価圧縮に向けた滞納の抑制と回収効率向上
保証DXの促進: 持続可能な成長と顧客満足度向上
具体的な戦略:
営業戦略: 新規代理店獲得、既存代理店利用率向上、営業人員確保、ソリューション営業確立
債権管理強化: 債権分類と回収手法見直し、コールセンター効率向上、訴訟期間短縮、与信と回収のローリング、AI活用審査基準導入
保証DX推進: 営業・審査・事務・顧客管理プロセスのデジタル化・効率化
成長ストーリー:
2024年:企業理念への回帰
2025年:保証DX推進
2026年:サービス領域拡大
2027年:顧客体験向上
財務概要(FY2027 通期見込み)
売上高:154億24百万円
営業利益:1,956百万円
EBITDA:2,592百万円
営業利益率:12.7%
成長率:+10.3%(FY2026比)
関連資料
セイコーエプソン、印刷プロセスのデジタル化をリードするFiery社を完全子会社化
当事者:
買主:セイコーエプソン株式会社 (以下、エプソン)
売主:Siris Capital Group, LLCの関連会社及びElectronics For Imaging, Inc.
対象企業:Fiery, LLC (以下、Fiery社)
案件に関する概要:
案件目的:
エプソンは、Fiery社を買収することで、商業・産業印刷領域における成長を促進し、アナログ印刷市場のデジタル化を加速・革新させることを目指しています。Fiery社の持つデジタル印刷技術とエプソンのハードウェア技術を組み合わせることで、顧客の生産性向上を支援し、デジタル印刷市場におけるプレゼンスを高めます。
案件概要:
エプソンは、Fiery社の全持分を取得する契約を締結しました。買収完了は、必要な規制当局の承認等を経て、2024年内を予定しています。買収完了後も、Fiery社はエプソングループ傘下で現在の社名と組織体制を維持します。
対象企業概要(事業概要含む):
Fiery社は、印刷業界向けにDigital Front End (DFE)サーバーやワークフロー・ソリューションを提供するリーディングプロバイダーです。
DFEは、印刷データを処理・印刷プロセスを管理するためのソフトウェア及びハードウェアの総称です。
Fiery社の製品は、高速パフォーマンス、優れた色表現、高印刷品質などの特徴を持ち、商業印刷、工業印刷、パッケージング、サイン・ディスプレイグラフィックなど、多様な業界で導入されています。
Fiery社は、全世界で200万台以上のDFE導入実績があり、30年以上にわたるサポートとサービスで顧客、ディーラー、パートナーとの強固なコミュニティを築いています。
取得価額: 不明
INFORICH、ChargeSpot Digital Service Co. Ltd.の株式取得
当事者
買主:株式会社INFORICH
売主:ChargeSPOT Taiwan Limited
対象企業:ChargeSpot Digital Service Co. Ltd.
案件目的
台湾における「ChargeSPOT」サービスのフランチャイズ展開を担ってきたDigital社を子会社化し、相互の連携を深めることで、台湾のみならずグローバルでの市場拡大を図る。
台湾でのサービスローンチを実現してきたグローバル人材とともに、INFORICHグループの海外展開拡大を目指す。
今回の買収事例を、今後のフランチャイズ展開のインセンティブとする。
案件概要
INFORICHがDigital社の発行済株式の100%を取得し、子会社化。
株式取得資金の一部として、三井住友銀行から借入を実施予定。
対象企業概要
名称:ChargeSpot Digital Service Co., Ltd.
所在地:台湾台北市松山區八德路2段358號5樓之1
代表者:董事長 姜建丞
事業内容:台湾におけるモバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」の運営
沿革:
2019年2月設立。
2019年から台湾で「ChargeSPOT」のフランチャイズ展開を開始。
2023年に黒字化達成。
2024年6月末時点でバッテリー設置台数約8,700台、月間アクティブユーザー20万人超。
取得価額
ChargeSpot Digital Service Co., Ltd.の普通株式:2,670百万円
アドバイザリー費用等(概算額):16百万円
合計(概算額):2,686百万円
エムスリー、株式会社エランの連結子会社化
案件概要
エムスリー株式会社(以下、エムスリー)は、株式会社エラン(以下、エラン)の株式を公開買付けにより取得することを決定しました。買付価格は 1 株あたり 1,040 円で、買付予定数は 30,360,200 株から 33,329,453 株です。公開買付け後もエランは上場を維持する予定です。
案件目的
エムスリーは、エランを連結子会社化することで、両社の事業基盤と顧客基盤を組み合わせ、中長期的な企業価値向上を図ることを目指しています。具体的には、クロスセルによる販売力強化、エムスリーグループのサービスとの連携による新規事業創出と既存サービスの拡大、エムスリーグループの経営資源を活用したエランの競争力強化、そしてエランの海外展開支援などが挙げられます。
案件背景
エムスリーは、医療従事者専門サイト「m3.com」などを運営する医療関連サービス企業です。エランは、CSセット(ケア・サポート・セット)と呼ばれる入院・入所者向けサービスを主力事業とする企業です。2022 年 6 月、エムスリーはエランの櫻井会長との間で、病院向けサービスにおける業務提携の可能性について協議を開始しました。その後、協議を重ねる中で、両社の協業体制を強化し、早期にシナジーを実現するためには、業務提携に加えて、エムスリーがエランを子会社化することが望ましいと判断し、本公開買付けに至りました。
案件検討の経緯
2022 年 6 月: エムスリーとエランの櫻井会長との間で、業務提携の可能性に関する初期的な議論を開始。
2024 年 5 月 8 日: エムスリーが櫻井会長との間で、エランの子会社化を念頭に置いた資本業務提携の可能性に関する協議を開始。
2024 年 6 月 7 日: エムスリーが櫻井会長に対し、エランの上場維持を前提に子会社化について本格的に協議を進めたい意向を伝達。
2024 年 6 月下旬: エムスリーが、ファイナンシャル・アドバイザーとしてみずほ証券株式会社を、リーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業を選任。
2024 年 7 月 9 日: エムスリーがエランに対し、公開買付けによる子会社化と資本業務提携契約の締結を提案。
2024 年 7 月中旬から 8 月中旬: エムスリーがエランに対するデュー・ディリジェンスを実施。
2024 年 8 月 20 日: エムスリーが櫻井会長に対し、買付価格 900 円での公開買付けを提案(初回提案)。櫻井会長から 1,080 円への増額要請を受ける。
2024 年 8 月 27 日: エムスリーが櫻井会長に対し、買付価格 1,000 円での公開買付けを提案(第 2 回提案)。櫻井会長から再度 1,080 円への増額要請を受ける。
2024 年 8 月 30 日: エムスリーが櫻井会長に対し、買付価格 1,040 円での公開買付けを提案。櫻井会長から、価格について検討する旨の回答を得る。
2024 年 9 月 9 日: エムスリーが櫻井会長との間で、買付価格 1,040 円、買付予定数の下限 30,360,200 株で合意。
2024 年 9 月 10 日: エムスリーがエランに対し、買付価格 1,040 円、買付予定数の下限 30,360,200 株、上限 33,329,453 株での公開買付けと資本業務提携契約の締結を提案。
2024 年 9 月 19 日: エムスリーが取締役会において、買付価格 1,040 円での公開買付け実施と資本業務提携契約の締結を決定。エランも取締役会において、本公開買付けに賛同することを決議。
取引スキームの特徴点
公開買付け後もエランは上場を維持 する予定であり、いわゆる「二段階買収」スキームではありません。
エムスリーは、エランの筆頭株主である櫻井会長をはじめとする主要株主から、株式を取得する公開買付応募契約を締結しています。
エムスリーは、市場株価にプレミアムを上乗せした価格で公開買付けを実施します。
エムスリーは、エラン上場維持のため、**買付上限を 55%**としています。
取締役会の意見
エムスリー: 本公開買付けは、両社の企業価値向上に資すると判断し、実施を決定しました。
エラン: 本公開買付けは、エランの企業価値向上に資すると判断し、賛同の意見を表明しました。また、株主に対しては、公開買付けに応募するか否かの判断は、株主の皆様の判断に委ねるとしています。(応募推奨はしていません)
価格の算出方法
エムスリーは、買付価格決定にあたり、独立した第三者算定機関であるみずほ証券株式会社に株式価値算定を依頼しました。
DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)
基礎データ: エランが提示した 2024 年 12 月期から 2027 年 12 月期までの 4 年間の事業計画を基礎とし、直近までの業績動向、エムスリーが実施したデュー・ディリジェンスの結果、公開情報などを考慮して、エムスリーが一定の調整を行いました。
算出方法: 将来の収益予測に基づき、エランが 2024 年 12 月期第 2 四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて、企業価値と株式価値を算定しました。
算定結果: 1 株あたり 827 円から 1,310 円。
留意点: 本公開買付けの実行によるシナジー効果は、現時点で具体的に見積もることが困難なため、算定には反映されていません。
最終決定
エムスリーは、上記の算定結果に加え、デュー・ディリジェンスの結果や、エランの主要株主との協議・交渉の結果などを総合的に勘案し、買付価格を 1 株あたり 1,040 円とすることを決定しました。
買付価格決定までの過程
エムスリーは、エランの主要株主に対して、 1 株あたり 900 円で公開買付けを行うことを提案しましたが、主要株主からは、株主への利益配分の観点から不十分だとして、 1,080 円への増額を要請されました。
エムスリーは、再度 1,000 円に増額して提案しましたが、再度増額要請を受けました。
最終的に、エムスリーは 1,040 円に増額し、主要株主もこれに合意しました。
最終的な買付価格は、公開買付け公表日の前営業日の終値に対して 23.96%、過去 1 ヶ月の終値平均に対して 26.37%、過去 3 ヶ月の終値平均に対して 21.21%、過去 6 ヶ月の終値平均に対して 18.18%のプレミアムを加えた水準となりました。
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