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2024年10月28日週まで直近のM&A情報

目次

  • エキサイトHD、ONE MEDICAL株式会社の株式取得

  • 日本ペイントホールディングス、AOC社の株式取得

  • 日本電気株式会社(NEC)、NECネッツエスアイ株式会社(ネッツエスアイ)株式に対する公開買付け

  • 豊田通商、エレマテック株式の公開買付け

  • クラウドワークス、株式会社CLOCK・ITの株式取得(子会社化)

エキサイトHD、ONE MEDICAL株式会社の株式取得

当事者

  • 買主: エキサイトホールディングス株式会社 (東証スタンダード:5571)

  • 売主: 勝俣 篤志 (ONE MEDICAL株式会社 代表取締役社長)、他個人株主1名

  • 対象企業: ONE MEDICAL株式会社

案件概要

  • 案件目的:

    • 「両利きの経営」戦略に基づき、既存事業の成長に加え、M&Aによる事業ポートフォリオ強化、新たな事業の柱の構築を図る。

    • オンライン診療支援事業への注力、事業規模拡大。

    • エキサイトHDの事業資産・顧客基盤を活用したONE MEDICAL社への送客拡大、シナジー創出。

  • 案件概要: エキサイトHDがONE MEDICAL株式会社の全株式(5,290,478株)を取得し、完全子会社化する。

  • 対象企業概要(事業概要含む):

    • オンライン診療支援事業、メディア事業を展開。

    • オンライン診療支援事業は2022年開始から急成長し、月商約1億円を達成。

    • 設立: 2014年3月31日

    • 資本金: 15百万円

  • 取得価額: 3,862百万円 (デューデリジェンス費用等17百万円を含む概算合計は3,879百万円)

日本ペイントホールディングス、AOC社の株式取得

当事者

  • 買主: 日本ペイントホールディングス株式会社

  • 売主: LSF11 A5 Parent, L.P.

  • 対象企業: LSF11 A5 TopCo LLC(AOC社)傘下のAOC, LLC、AOC AGなど

案件に関する概要

  • 案件目的:

    • 株主価値最大化(MSV)の実現

    • 既存事業の成長に加え、M&AによるインオーガニックなEPSの積み上げ

    • 買収初年度からのEPSへのプラス貢献

  • 案件概要: 日本ペイントホールディングス株式会社が、LSF11 A5 TopCo LLC (AOC社) の全持分を取得し、子会社化する。

  • 対象企業概要(事業概要含む):

    • 米国・欧州を中心に事業を展開するスペシャリティ・フォーミュレーター。

    • コーティング周辺製品向けに、不飽和ポリエステルやビニルエステル等の配合設計・製造・販売を行う。

    • 幅広い顧客基盤、高度にカスタマイズ可能な技術力、柔軟な物流網を保有。

    • 優れた収益性とキャッシュ創出力、低い設備投資負担。

    • 北米市場のリーダー、欧州市場でもリーディングポジション。

    • 2023年実績:売上高 1,496百万USD(216,907百万円)、EBITDA 528百万USD(76,571百万円)、EBITDAマージン 35.3%

  • 取得価額: 2,304百万USD(334,080百万円) (株式価値ベース) / 4,350百万USD(630,750百万円) (企業価値ベース)

日本電気株式会社(NEC)、NECネッツエスアイ株式会社(ネッツエスアイ)株式に対する公開買付け

案件概要

NECは、ネッツエスアイの普通株式全て(NECが実質保有する株式とネッツエスアイの自己株式を除く)を対象とした公開買付けを実施します。買付価格は1株あたり3,250円で、買付予定数の下限は22,756,305株(所有割合15.27%)です。上限は設定されていません。公開買付けが成立した場合、ネッツエスアイ株式は上場廃止となります。

案件目的

ネッツエスアイを完全子会社化し非公開化することで、NECグループ内での経営資源の迅速かつ柔軟な相互活用を可能にし、企業価値の最大化を図ります。具体的には、NECの消防防災事業をネッツエスアイに、SME事業をNECネクサソリューションズにそれぞれ承継させ、その後、新たに設立する中間持株会社傘下にネッツエスアイとNECネクサソリューションズを置くグループ内再編を計画しています。

買主と対象企業の関係性

NECはネッツエスアイの親会社であり、現在51.36%の株式を保有しています。両社間には長年の資本関係、人的関係、取引関係が存在し、ネッツエスアイはNECグループのネットワークソリューション領域における中核会社と位置付けられています。

案件背景

ネットワークソリューション市場およびITサービス市場は成長が見込まれる一方、競争が激化しています。AI、IoT、5Gといった技術革新や、DX投資の拡大、デジタル田園都市国家構想の推進といった市場環境の変化に対応するため、NECグループの経営資源をより緊密に統合・活用する必要性が高まりました。現状の資本関係では、NECがネッツエスアイに経営資源を提供しても、利益の一部がネッツエスアイの一般株主へ流出するため、NECにとって経済合理性が低いという課題がありました。

案件後の経営方針

ネッツエスアイの非公開化およびグループ内再編により、国内地域におけるDX領域と社会公共インフラ領域の事業基盤強化、経営資源の相互活用による競争力強化と経営効率化、迅速な意思決定体制の構築と中長期的な投資・事業改革の実行を目指します。ネッツエスアイの経営体制は、その独自性を尊重しつつNECグループとのシナジー効果を最大化できるよう、買収後に協議の上決定されます。従業員の処遇やブランディング向上についても検討されます。

案件検討の経緯

2024年5月下旬にNECが初期検討を開始し、7月下旬に財務アドバイザー等を選任。8月6日にNECがネッツエスアイに意向表明書を提出。ネッツエスアイは特別委員会を設置し、財務アドバイザー等を選任。その後、両社間で買収価格に関する協議・交渉を複数回実施。当初提案価格2,815円から段階的に引き上げ、最終的に3,250円で合意に至りました。

取引スキームの特徴点

公開買付け後、NECの保有比率が90%以上になった場合は株式売渡請求、90%未満の場合は株式併合により、ネッツエスアイを完全子会社化します。いずれの場合も、一般株主には公開買付価格と同額の金銭が交付されます。

取締役会の意見

ネッツエスアイの取締役会は、本公開買付けに賛同し、株主に対して応募を推奨する決議を行いました。これは、特別委員会からの答申、財務アドバイザーからの意見、株式価値算定書等を踏まえた判断です。

価格の算出方法

公開買付価格は、第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券による株式価値算定をベースに決定されました。算定には、市場株価分析、類似会社比較分析、DCF法が用いられました。DCF法では、2025年3月期から2029年3月期までのNECによるネッツエスアイの財務予測に基づき、将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引くことで株式価値を算出しています。シナジー効果は算出が困難なため加味されていません。大和証券、プルータス・コンサルティングも同様にDCF法を用いた算定を実施しており、公開買付価格はそれらの算定結果の範囲内となっています。

豊田通商、エレマテック株式の公開買付け

案件概要

豊田通商株式会社(公開買付者)は、エレマテック株式会社(対象者)の普通株式(対象者株式)に対し、1株あたり2,400円で公開買付け(本公開買付け)を実施する。公開買付者は既にエレマテック株式の58.63%を所有しており、本公開買付けはエレマテックを完全子会社化することを目的とする。買付予定数の下限は3,291,600株 (8.04%) で、上限は設定していない。公開買付けが成立したものの全株式を取得できなかった場合は、株式併合等のスクイーズアウト手続きを実施予定。対象者取締役会は本公開買付けに賛同し、株主への応募を推奨している。

案件目的

エレマテックを完全子会社化することで、公開買付者と対象者の間の構造的な利益相反を解消し、経営資源(人材、財務基盤、顧客基盤、営業情報、ノウハウ等)を迅速かつ柔軟に相互活用できる体制を構築し、両社の企業価値の向上を図る。

買主と対象企業の関係性

豊田通商は、2012年の公開買付けによりエレマテックを連結子会社化(当時49.36%の株式取得)し、その後市場外取引や株式分割を経て、現在58.63%の株式を保有している。

案件背景

エレクトロニクス業界は、技術革新、グローバル化、産業構造の変化等により競争が激化している。車載、AIサーバー向け等の市場拡大が見込まれる一方、ソフトウェアやITエンジニアリング機能の重要性が増している。海外メガディストリビューターのM&Aや国内商社の統合・再編も活発化している。このような状況下、エレマテックの持続的成長のためには、公開買付者グループとの迅速かつ柔軟な経営資源の相互活用が不可欠であり、そのためには完全子会社化が最善の選択肢と判断された。

案件後の経営方針

公開買付者グループと対象者の連携を加速させ、クロスセルや人材交流による総合力強化を図る。対象者の企業文化を尊重し、経営体制、組織、人事制度等については対象者と誠実に協議の上決定する。従業員の雇用と雇用条件は、原則として維持する。

案件検討の経緯

2024年5月下旬に豊田通商が完全子会社化の検討を開始。6月中旬に野村證券(FA、第三者算定機関)と西村あさひ法律事務所(リーガルアドバイザー)を選任。7月16日に豊田通商からエレマテックに完全子会社化検討の通知、エレマテックは社内検討体制構築とリーガルアドバイザー選任を開始。8月9日に豊田通商から初期的提案書を提出。エレマテックはアンダーソン・毛利・友常法律事務所(リーガルアドバイザー)と大和証券(FA、第三者算定機関)を選任。9月4日にエレマテックは特別委員会を設置。9月上旬から豊田通商によるデューデリジェンス実施、両社間で価格や条件の交渉開始。10月9日に豊田通商から最初の価格提案(2,100円)、その後特別委員会の要請を受け価格を引き上げ、最終的に2,400円で合意。10月29日、両社取締役会で本公開買付けを決議。

取引スキームの特徴点

金銭対価による公開買付けとその後のスクイーズアウトによる完全子会社化スキーム。公開買付け後、公開買付者が90%以上の議決権を取得した場合は株式売渡請求、90%未満の場合は株式併合を実施する。少数株主の権利保護のため、いずれの場合も最終的には公開買付価格と同額の金銭が交付される。

取締役会の意見

エレマテック取締役会は、本公開買付けに賛同し、株主の皆様に本公開買付けへの応募を推奨する決議を行った。これは、本公開買付けがエレマテックの企業価値向上に資すると判断したため。

価格の算出方法

公開買付者側の第三者算定機関である野村證券は、市場株価平均法、類似会社比較法、DCF法を用いて株式価値を算定。DCF法では、2025年3月期から2028年3月期までの4期分のエレマテックの事業計画(豊田通商による確認済、シナジー効果は未反映)に基づき、将来生み出されると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを割引率(開示なし)で現在価値に割り引いて算定し、1株あたり1,715円~2,771円と算定した。
対象者側の第三者算定機関である大和証券も同様にDCF法を実施し、2,327円~2,712円と算定。割引率は8.4%~9.4%、永久成長率は0.0%~1.0%を使用。公開買付価格は、これらの算定結果に加え、デューデリジェンス結果、対象者取締役会の賛同状況、応募見通し等を総合的に勘案し、対象者との交渉を経て決定された。

クラウドワークス、株式会社CLOCK・ITの株式取得(子会社化)

当事者

  • 買主: 株式会社クラウドワークス

  • 売主: 東 俊輔氏、飯沼 優輔氏

  • 対象企業: 株式会社CLOCK・IT

案件に関する概要

  • 案件目的:

    • エンジニア/デザイナー領域における付加価値の高い提案の実現

    • クラウドワークス登録フリーランス人材のCLOCK・IT案件への参画による両社の成長促進

  • 案件概要:

    • 株式会社クラウドワークスが株式会社CLOCK・ITの発行済株式100%を取得し、連結子会社化。

    • 株式譲渡実行前に、CLOCK・ITはベビーシッターマッチングサイト事業及びノーコード作成マッチングサイト事業を新設分割する。新設会社株式はCLOCK・ITの代表取締役である東俊輔氏と飯沼優輔氏に配当される。

  • 対象企業概要(事業概要含む):

    • 社名:株式会社CLOCK・IT

    • 所在地:東京都渋谷区広尾一丁目3番15号岩崎ビル7F

    • 代表者:代表取締役 東 俊輔、飯沼 優輔

    • 事業内容:システムインテグレーション、Webアプリケーションの受託開発、自社メディアの企画・開発・運営等

    • 資本金:12百万円

    • 設立年月日:2016年3月10日

    • 直近3年間の業績:売上高は増加傾向、営業利益、経常利益、当期純利益も黒字で推移。

  • 取得価額: 1,160百万円 (アドバイザリー費用等 81.8百万円 概算を含む)

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