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大台町自然環境リテラシー実習

こんにちは。のまです。
今回この記事では、2021年12月11日、12日の2日間に渡って行われた三重県大台町での自然環境リテラシー学実習についてお話ししたいと思います。

自然環境リテラシー学実習とは、三重大学が行なっている実習で、三重の豊かな自然環境についてや、自然環境が私たちに与える影響、また同時に私たちが自然環境に与える影響について、海でカヤックを漕いだり、山でキャンプしたりなど実際に自然の中で過ごす体験を通して学ぶことができる実習です。
また、学んだことを多くの人に伝えること(リテラシー)もこの実習の大きなテーマです。

今回私はこの実習に大台町で旅行会社をされているVerde大台ツーリズムのインターンシップ生という立場で参加しました。

今回インターンシップに参加させていただいた理由は

・自分で1から自然体験プログラムを作ってみたかった
・自然ガイドとして食べていくということはどういうことなのか学びたかった

の2つです。
私は大学に入学して以降、自然環境リテラシー学実習には学生、学生スタッフ、インストラクターとさまざまな立場で参加させていただきましたが、全て先生方やガイドさんらが作ってくださったプログラムの中で役割をこなすだけでした。
一度、プログラムを作る側とはどんな風なのか、どのような違いがあるのかを知りたくて今回インターンシップに参加させていただきました。

また、大学1年生の頃からたくさんの自然ガイドさんたちのお世話になってきましたが、自然ガイドをして食べていくことの厳しさや楽しみをより近くで見て学びたかったのも理由です。

当日前準備

今回インターンシップをするにあたって、Verdeの代表であり、今回の実習のメインガイドである野田さんから宿題が出されました。

宿題① テーマ・コンセプトを考える
宿題②   今回含む3回分の実習の企画アイデアを考える

これらの2つの宿題を今回一緒にインターン生として参加したあゆみちゃんと相談して、3人でのオンラインミーティングまでに決めてくるのが今回のインターンシップ最初のステップでした。

2人で電話をしたりしながら話合いを進めました。
「大台ならではの空気感を楽しんでほしい」
「海とはまた違った安心感というか」
「けどキャンプ指定地とか、キャンプのルールについてもちゃんと触れたい」
「自由に、けどルールを守って的な…」
「自由っていうのもただ好き勝手、とかじゃなくて自分次第で自由に楽しめるようにするというか…」

最初の話し合いではなかなかうまくテーマがまとまらず、言いたいことは分かるけどなんかしっくりこないよね…という状況になっていました。

そんな時、あゆみちゃんがとてもしっくりくる言葉を見つけてくれました。

Liberty

libertyもfreedomと同じ自由という意味ですが、freedomより能動的に不自由な状態から自由を自分で取りに行くという意味があります。


普段よりも電波も届きにくくて寒い不便な場所にいるけれど、楽しむために自分で自由を見つけて欲しい、という意味をこめて今回のリテラシーのテーマはLibertyに決まりました。

次に宿題②の3回分の企画アイデアは、大台町の空気感を味わってほしい、山キャンプを経験してほしい、Verdeのすごいガイドさん達からいろんなことを学んでほしいなど色々と欲張った結果

・総門山登山
・薪割り体験
・キャンプ飯
・キャンプルールについて
・クリスマスリースづくり
・ロープワーク
・レスキューについて

と盛りだくさんになりました。

当日


今回の実習でVerdeからの企画として行ったのは

・総門山登山
・薪割り体験
・キャンプルールについて
・ちょこっとキャンプ飯

の4つです。
このうち総門山登山は野田さんが担当してくださり、それ以外の3つを私とあゆみちゃんが担当するというプランでした。

キャンプルールについて

まず学生さんらが到着して健康チェックやブリーフィングを行った後、野田さんから大台町のキャンプ指定地についてや、今回キャンプをさせていただいたという場所に関するお話がありました。
薗は現在キャンプ地としては使われていませんが、将来的にキャンプ地にできたら、と今回特別に場所を使わせていただきました。また、普段から地元の方も多く通られる場所なので、しっかりとルールを守ってキャンプをしなくてはいけない場所です。

今回のキャンプ地「薗」

そこから私にバトンタッチしていただき、今回のリテラシーでのキャンプルール、マナーについて話をしました。

・トイレについて(キャンプ地)

上も書いたように普段から地元の方も多く訪れる場所である薗で、大人数が好き勝手に用を足すと不衛生ですし、景観にも悪影響を与えます。
なので、今回は三重大学から災害用トイレセットをお借りして、参加者の皆さんにはそれを使ってもらうことにしていました。

災害用トイレの使い方は簡単です。
1.テントを組み立て、折り畳み式簡易トイレを組み立てる
2.トイレに蓄便袋をセット
3.凝固剤を袋に入れる
4.用を足す
5.畜便袋を取り外す
6.消臭袋に入れる

災害用トイレについての説明


・トイレについて(アクティビティ中)

山や川でのアクティビティ中のトイレに関しても今回の実習ではルールを設けました。
自然の中でトイレをする際、使用したトイレットペーパーをどうせ分解されるからと、地面に埋めるなどして放置する人が多いですが、トイレットペーパーなど人工的なものは思っているよりも分解に時間がかかります。
放置されたトイレットペーパーは景観に悪影響ですし、またそこはトイレをしていい場所なんだと後から訪れた人に思われてしまい、何度も用を足される不衛生な場所が生まれてしまいます。夏場であれば排泄物の匂いに連れられて寄ってきた鹿などの爪に付着したヒルが溜まり、ヒル沼のようになってしまいます。

使用したトイレットペーパーは必ず持って帰る。

それが今回のルールです。
上のルールを守ってもらうために皆さんにはアクティビティ用トイレセットを作ってもらいました。

準備するもの
紙封筒、黒いビニール袋、トイレットペーパー(ティッシュ)

ビニール袋とトイレットペーパーを紙封筒の中に入れてセットは完成です。用を足した後、使用済みのトイレットペーパーをビニール袋に入れた後、紙封筒に入れると匂いも漏れにくいですし、見た目的にもトイレのゴミを持っている、とならないのでおすすめです。
野田さんも普段ガイドされるときには何セットか持っていき、お客さんがトイレに行きたいとおっしゃられた時にお渡ししているそうです。

・焚き火について
今回の薗では直火を禁止しました。
理由は何度目かになりますが、薗は普段から人が訪れる場所であり焚き火の後を残すのは景観に悪影響であるから、また地面を掘ったり石を積んだりなどしてかまどを作る方法はありますが、薗にはあまり大きな石はなく、また地面もとても固く掘りにくいことなどから直火はなしで焚き火台の使用をルールとしました。

また、灰や燃え残った炭についても説明を加えました。
まだ黒い炭はもちろんですが、燃え尽きて白くなった灰は土に混ぜるとすぐに分解されると思っている人も多いかもしれませんが、意外と分解されません。
焚き火の跡として長く残ってしまうことになるのでそれらもきちんと処理することが大切です。

処理されずに残ったままの焚き火跡

今回は三重大学から炭壺をお借りしたので、燃え残った炭や灰は全てそこに入れるよう参加者の皆さんにはお願いしました。


薪割り体験

いよいよ主となるプログラム、薪割り体験です。
今回薪割り体験では、
・チェーンソーでのスウェーデントーチづくり
・斧やキンドリングクラッカーなど様々な道具での薪づくり、また次回以降の実習で使用するための燻製用チップづくり
の2つを行いました。
チェーンソーでのスウェーデントーチづくりの指導、安全管理は1日目は野田さんの旦那さんで普段林業のお仕事をされている野田直樹さん、2日目は大杉谷山岳救助隊隊長で、山のガイドもされている森さんにお願いし、もう一つの薪づくり、チップづくりを私とあゆみちゃんの2人が担当しました。

チェーンソーを用いたスウェーデントーチづくり

薪割り(斧)
薪割りのデモストレーションや安全管理は三重大学の先生方にお願いしていましたが、1日目は森さんが来てくださり、薪割りのデモストレーションをしてくださりました。また、斧を使った薪割りだけでなく、くさびを用いた薪割りの方法や、効率よく薪を割る方法などさまざまなことを教えてくださいました。

薪割りの指導をしてくださる森さん
薪割りをする学生

キンドリングクラッカー
キンドリングクラッカーの説明、安全管理は私とあゆみちゃんで行いました。

キンドリングクラッカーの使い方は
1.薪割りで割られた1/4くらいの丸太をセットする
2.ハンマーで薪を叩く

ととてもシンプルですが、ここでも安全管理などのためにいくつかの説明を加えました。

・ハンマーは滑って飛んでいってしまうと危ないので軍手はしない
・ハンマーを振る際は周囲(特に前と後ろ)に人がいないか確認する
・振り下ろした際にハンマー持っている手がキンドリングに当たらないように柄の先の方を持つ
・からぶったときに足にあたらないよう足を開いておく
・木は外側から内側に向けて割れやすいので、年輪に垂直に刃が当たるようにキンドリングクラッカーにセットする
・木をセットして最初数回軽く叩くとき、指を叩かないよう、木の横を持ち、上に手を置かない。

キンドリングクラッカーで薪を割る受講生

チップづくり
チップづくりは事前に森さんに安全な方法を教えていただき、それを私たちが受講生の方に説明しました。

1.ヨキを薄めの丸太に刺す
2.固定されたヨキの刃に木を当て、カンナのように削っていく

注意した点は
・刃の向こうに指がいかないようにする
・木のささくれなどで怪我しないよう、軍手をする
・ヨキの固定が緩んできたらすぐにまた刺し直す
・ヨキに軽く手を当てておき、固定する

などです。

ヨキを用いた燻製用チップづくり

最初、薪割り体験だけで受講生の皆さんは満足してくれるだろうか、楽しんでくれるだろうか、怪我する人がでないだろうか、と色々とかんがえてしまいましたが、森さんや先生方のおかげもあり、皆さんすごく薪割りやチップづくりを楽しんでくださり、また怪我人も出ず無事プログラムを終えられたので本当によかったです。

ちょこっとキャンプ飯


実習中の夕食、朝食は次回以降の本格的なキャンプ飯への導入として、簡単なキャンプ飯づくりを行いました。

メニューは
1日目夕食
・シャケのホイル焼き
・お米
・肉まんあんまん

2日目朝
・焼きおにぎり
・スパム

これまでの実習でのご飯は食材を切るなどの作業がないレトルトのものが中心だったので受講生の皆さんは初めてのアウトドアでの本格的な調理になり、またお米も今まではレトルトのものやリゾットなどだったので炊飯も初めての経験でした。

焚き火を囲んで食事を楽しむ受講生ら

食材焦げたりしないか、うまくお米が炊けるか、量が足りるかなど色々と悩みましたが、皆さんうまく調理して美味しそうにご飯を食べていたので安心しました。

また、2日目の朝、もともとは焼きおにぎりとスパムというシンプルなメニューでしたが、受講生のうちの何人かの人は昨日の残りの食材を使ってチャーハンのようなものを作ったり、持参したパンでホットサンドを作ったりと各自自由に食事を楽しんでくれていたのが、今回のテーマであるLibertyそのものだなととても印象に残っています。

最後に

今回3回中初めの実習をおえて、至らぬ点、ご迷惑をおかけしたことなど次回以降たくさんの課題があるなと痛感しました。

特に、1日目の夜野田さんもおっしゃっていたように
実習における自分のニーズとはなんなのか
それをもっと深く考えて行動しなくてはいけないなと思いました。
野田さんや直樹さん、森さんなどプロのガイドの方がいる中での大学生の自分のニーズは

実習生により近い立場で考え、動けること

だと思います。

1.2年前からアウトドアを初めて、一応先輩という立場ではあるもののまだまだアウトドア慣れしていない自分だからこそ、初めての冬キャンプでどういった点が不安か、初めての本格的な野外調理で何が困ったかなど、初心にかえって受講生の皆さんに寄り添うことが大切で、自分が実習に参加している意義だと思います。

次回以降はそういった点を踏まえて、受講生の皆さんにより丁寧に寄り添って実習を楽しんでもらえればと思います。

また、今回初めてプログラムを1から作るという経験をしましたが、改めて自分は今まで沢山の人たちのおかげで実習を安全に楽しく過ごすことができていたんだな、と思い、加えて今回も三重大学の先生方やガイドさん方、三重県庁の皆さんのおかげで守られた状態でインターンを行うことができているんだなと実感しました。

キャンプ泊の様子


長くなりましたが、今回のノートはこれで終わりにさせていただきます。
次回以降の記事もまたあゆみちゃんと一緒に書いていきますので、またぜひご覧ください!

お読みいただきありがとうございました。

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