マナーや礼儀作法を子どもに教えるには?《毎日日記20》
歩いていたら梅が綺麗に咲いているところがあり、寒くても季節は少しずつ春に向かっているのだな、と希望を抱く日曜日です。
さてさて。
梅の花とは全く関係ない話で恐縮ですが。
マナーや礼儀作法を子どもに教えるって、たぶんすごく難しいのです。「教える」というより「伝える」という方が的確な表現の気もしますが。1つの文化なので。
大人にとっては人付き合いや社会生活の上で大切なマナーも、子どもにとっては「なんでやねん?」という疑問しかないものも多いのです。子どもにしてみれば、「お辞儀」すらも、意味不明でしょう。「こういう時はこうするものなの!」とか、押し付けられても絶対できないものです。
日本に暮らす中で、大人がお辞儀をする場面を何度も目にしたり、幼稚園や保育園や小学校で「さぁみんなでお世話になった○○さんにお礼を言いましょう」「どうもありがとうございました」(ペコリ)、みたいな場面で、文化として伝えられ、いつの間にか自分もやるようになる・やらないとなんか居心地悪い感じがする、というように育っていくのだと思います。それ以外の近道は、おそらくないでしょう。
そんななので、「経験が全て」という感じでしか身につかないものが、マナーや礼儀作法なのではないかと思います。周りの大人の責任が重大というわけです。
昨日の《毎日日記19》で書いたことと関連するのですが、0歳から聞けるクラシックのファミリーコンサートを主催・出演した友人に、今日も会いまして。どうも浮かない顔していたのですが、やはり運営する側も何かと大変な思いをしたようです。
理由はいろいろあるようですが、どうもその中の1つは、「クラシック音楽を鑑賞する上でのマナーを来場者と共有しきれなかったこと」のようでした。
「0歳からクラシック音楽に親しんで欲しい」という気持ちと共に、「幼いうちから鑑賞のマナーも身につけて欲しい」という気持ちが彼女にはあったようですが、後者はうまくいかなかった、と。連れてきている保護者側にまず、鑑賞マナーを教えないといけないのか……と溜息。
まあ、うちの3歳次女の鑑賞態度も結構ぐちゃぐちゃだったし、私もクラシックコンサートを聞く時のマナーをわかっているか?というと全く自信ないので、耳の痛い話なのですが。
彼女は中学校から音大附属で学んでいるので、クラシック音楽の「演奏の流儀」も「鑑賞のマナー」も、おそらく当たり前のように身につけて育ってきたのでしょう。そうしたことが身につくよう、周りの大人が導いてくれる環境にいたのだろうと推測。すると、そのマナーを知らない人の気持ちが、たぶんわからない。コンサートの演奏中に、どのレベルまで子どもが大きな声を出したらNGなのか、どの程度まで座席を立ってウロウロしたらNGなのか、それは保護者それぞれで判断して欲しかったけれど、彼女の思う基準と、来場者の思う基準にどうもズレがあったようで……もちろん、0歳から鑑賞OKとしてる時点で、ある程度のところまでは主催者側としても許容するつもりでいたものの……まぁ、難しい問題です。それは仕方ない、と、両方の気持ちがわかる私としては思うのですが。
子どもは周りの大人の行動からしかマナーについては学ぶことができないので、大人がそもそもその場のマナーについてよくわかっていなかった場合、伝えるすべがない……
クラシック鑑賞に限らず、社会の様々な場面を想定して考えると、これ結構、恐ろしい話なのではないかと思います。マナーや礼儀作法が文化として継承されずに滅びるという……滅びた先に何が待っているのか?想像すると、結構、血の気が引きます(一部すでにそれに近い状況が現れてきているようにも思いますが)。
もし、自分が身につけそびれていて、子どもに伝えきれないと思う「文化としてのマナーや礼儀作法」があるならば、今からでも遅くないので、それを当たり前のように実践している人を見つけて、学び直してもいいように思います。その気になれば、大人は理屈からでも学んで身につけられるので。私は夫の実家島根の「ご近所づきあいのマナー」的なものを、結婚してから豪速でお義母様の姿から学んで身につけました(笑)
小学受験対策の世界では、保護者の皆様にとって「子どもがマナーや礼儀作法を身につけられるかどうか」は切実な問題です。
小学受験には親子面接があるので、必然的に5歳や6歳の子どもも面接時のマナーを学ぶことになります。入る時に「失礼します」と言うとか、お辞儀をきちんとするとか、お行儀よく座っているとか、聞かれたことに対して「~です。~ます。」と受け答えするとか……
普段走り回って遊んでいるような5~6歳児が、面接のその時だけお行儀よくできるわけもなく。
いったいどうすれば?という問いに、面接指導の講師の先生が保護者皆様に向かってこのように言ったことがありました。
「『本物』を経験させてあげなさい。高級レストランでフレンチのフルコースをいただくもよし、クラシックコンサートを聞きに行くもよし。そしてその場で大人が礼儀正しく振る舞う様を子どもに見せてあげるのです。そうすれば、あらたまった場ではどのように振る舞うべきか、子どもは自然と学んでいくことでしょう」
この言葉に尽きます。
子どもにマナーや礼儀作法を教えたければ、まず大人が実践するしかない。
「挨拶をしなさい」とすぐ子どもに言う大人がいますけど、「しなさい」と100回言うよりも、大人がきちんと挨拶してる姿を1回見せる方が伝わります。
そうしたことを、日々意識できるかどうかだと思うのです。