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自分にとっての仕事の最優先事項は実感だった
ボクは20年ほど医療職をしていたけれど、5年前にやめてしまった。
その理由の1つとして、患者さんの役に立てていないという思いをずっと抱えていたというのがある。
その思いが消えなかったから、やめてしまった。
まわりからは、医療職だから患者さんの役に立ってると思われがちだ。
その証拠に、周囲にやめると言った時も「なんで、もったいない」「いい仕事なのに」と言われた。
けれど自分のしたことで、患者さんをいい方向に導けたかと言われれば、自信を持ってイエスとは言えなかった。
はたから見れば、患者さんが良くなったのはボクのおかげのように見えていたかもしれないけれど、関わった本人のボクはそう思えなかった。
自分だけは誤魔化せない。
だからその当時のボクは、自分の職業を人に言いたくなかった。
自分が役立つことをできてなかったから、言いたくなかったんだと思う。
思えばボクは仕事に実感を追い求めてきたのかもしれない。
自分が少しでも役に立てている実感があれば、充実した日々を過ごせた気がする。
しかしそうではなかった。
患者さんやそのご家族から、ありがとうと言われるけど「ぜんぜん大したことできなくてすみません」という申し訳ない気持ちだった。
そんな気持ちだから、いつも消化不良ですっきりしない。
でもほかの仕事をする勇気がなかったから20年も続けてしまった(いくらなんでも長すぎ)。
今はまったく違う仕事をしているけど、自分のやったことに納得できている。
直接お客さんと接することはほぼないけど、これをすればお客さんはよろこんでくれる。
満足してくれる。
そういう姿がイメージしやすい。
自分がほんの少し役に立ってるんだと感じられる。
だから仕事に行くのも苦痛ではないし、むしろ楽しい。
なんなら毎日だって働いてもいい。
すみません、言い過ぎました(週6ならギリできるかも)。
医療職のような専門職ではないけれど、ボクにとってはこちらの方が実感を持てる仕事なのだ。
ということを医療職を離れ、別の仕事についてみて思った。
世間から立派と言われるような職業だったけど、ボクにとっては適職ではなかったんだろうなあ、と今は思う。
そういう世間の評価にとらわれず、自分が役に立っていると実感できる仕事をボクはこの先していきたい。
自分の仕事の最優先事項が分かるのに20年の歳月を費やしてしまったからこそ、これからはそこだけはブレずに働いていこうと思う。
そしてそうすることで自分の毎日が、ほんの少し充実したものになるだろうから。