財政運営の「不都合な真実」を直視する重要性
△概要
この記事は、元財務官の矢野康治氏が日本の財政運営における問題点を指摘し、改善の必要性を訴える内容です。矢野氏は、一橋大学から大蔵省(現財務省)に入省し、事務次官まで務めた経験を持ち、上司や国会議員に対しても臆せず意見を述べてきたと述べています。1990年代以降、政治主導の体制が進む中で、官僚の役割が低下し、政策決定において矛盾が生じていると指摘しています。特に、岸田文雄政権の政策については、経済状況に合わないバラマキ政策であると批判しています。矢野氏は、官僚が自己検証を行い、正しいと思うことを主張することの重要性を強調し、退官後も日本の財政状況について講演を行い、危機感の共有を図っています。
□自己検証と意見具申の重要性
○矢野康治氏は、若い頃から自分の考えが現行制度や上司と異なる場合、徹底的に自己検証を行い、正しいと思ったことは主張してきました。彼は、論敵を目的とせず、間違いや不足があれば再検証し、必要なら再び意見を述べる姿勢を貫いてきました。このような姿勢が評価され、上司に対しても臆せず意見を述べることができたと述べています。彼の経験から、自己検証と意見具申の重要性が強調されています。
□政治主導の体制と官僚の役割
○1990年代以降、日本では政治主導の体制が進み、官僚の役割が低下してきました。特に第2次安倍晋三政権以降、官邸主導で矛盾する政策決定が行われることが増えました。矢野氏は、官僚が官邸や政治家に嫌われたくないという理由で、指示通りに職務をこなすだけの姿勢が一般化していると指摘しています。官僚が国民の税金から給与を受け取り、政策を良くするために働くべきであるにもかかわらず、私心や保身から口をつぐむことは職責を果たしていないと述べています。
□岸田政権の政策への批判
○矢野氏は、岸田文雄政権の所得税・住民税減税などの政策について、経済状況に合わないバラマキ政策であると批判しています。彼は、発足当初は期待していたものの、岸田内閣は戦後最低最悪のバラマキ内閣であると述べています。矢野氏は、政策がきちんとした根拠に基づいているかどうかを重視し、政府が事実に基づく説明責任を果たすことの重要性を訴えています。
□「不都合な真実」を直視する必要性
○矢野氏は、2021年に月刊誌「文芸春秋」に寄稿した「財務次官、モノ申す」で、日本の財政赤字が深刻な状況にあることを指摘しました。彼は、衆院選を控えた与野党の財政出動の公約を「バラマキ合戦」と批判し、多方面で議論を巻き起こしました。矢野氏は、日本の財政状況がタイタニック号が氷山に突進しているような状況であるとし、衝突を回避しようという危機感が乏しいと述べています。
□退官後の活動と財政再建への期待
○矢野氏は退官後、全国各地で講演会を行い、日本の財政状況と対応策について話しています。彼は、危機感への理解が着実に広がっていると感じており、特に政治家には「不都合な真実」を直視し、知性と理性を研ぎ澄ませて財政再建に取り組んでほしいと強く願っています。彼の活動は、日本の財政問題に対する意識を高め、より良い政策決定を促すことを目的としています。
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